ちょっとの工夫で、あなたの話す英語はもっと好感度が上がるかも?日本テレビ系列で放送中のバラエティー番組『世界一受けたい授業』でも英語の先生を担当する、英会話講師のサマー先生ことサマーレインさんに教えていただきます。
目次
「好感度がUPする英語」とは?
コミュニケーションは、お互いが歩み寄って成り立つものです。日本語と同様、英語でも、 話し方や表現の幅で相手に与える印象は大きく変わります 。
「好感度がUPする英語」とは、上品過ぎるフレーズやネイティブにしか分からないイディオムやスラングではありません。
どんな年齢や職業の方でも、どんな目的で英語を勉強していても、普遍的に使える英語表現です。
本コラムでは、 すぐに 良い印象を与える自然なあいさつや、話しかけ方、また、相手への興味を表現する相づちの打ち方、自分の話を流れよく相手に伝える方法など、好感度が上がる英語を紹介します。
今日のトピック リスニング上達のカギ「音声変化」
英会話でコミュニケーションを取る上で、自分が言いたいことは、例え使える英語が限られていても、簡単な英単語やジェスチャーでなんとか伝えられます。しかし、相手の言うことが聞き取れないと、会話が成立しませんよね。
そういった意味では何よりもまず、リスニングスキルが大切と言えるでしょう。
英語学習者がリスニングを難しいと感じる理由の1つに、「会話スピード」があります。
実際、「テキストの音声は聞き取れるのに、実際の会話では何を言っているのかさっぱり分からない」とおっしゃる方が多くいます。
テキスト用の音声は、学習者向けにスピードが落とされていたり、ナレーターが1語1語をはっきり区切って発音していることがよくあります。それが学習者の理解を助けるのに必要なのは間違いありませんが、ネイティブスピーカーにとっては、不自然に聞こえるのもまた事実です。
そして、リスニングが難しいと感じる理由はただスピードだけではないのです。それは、スピードに加わる「音声変化」です。
ネイティブスピーカーの発音では、 単語の最後と次の語の始まりの音がつながったり 、また速く話すときには、 語句が短縮 されたり、同じ単語やフレーズでも 発音が変わったり します。こういった「音声変化」のため、実際の会話で話される英語が、テキストの音声と大きく異なることは珍しくありません。
それでは、今回は「音声変化」の基本を学んでみましょう!
なぜ音声変化が起こる?
音声変化はさまざまな 原因 で起こりますが、主に3つの理由があります。
1.イントネーションと強調
まずは、イントネーションと強調についてお話します。
言葉には、強調されるものと強調されないものがあります。その言葉一つ一つのイントネーションは文章のリズムを作り、全ての文にはそれぞれ違ったリズムがあります。例えば、Nice to meet you. という文をみてみましょう。
Nice と meet には強調がありますが、 to と you に強調はありません。
NICE to MEET you.強調される言葉はよりはっきり発音するので、比較的聞き取りやすいものだと思います。
基本的に、 動詞 (swim、go など)、名詞 (dog、 car など)、助動詞の否定形 (can’t、don’t など)、疑問詞 (what,、why など)は強調されます 。
その一方、以下のような言葉は通常は強調されません。
強調されない言葉はより速く静かに発音されるので、 単体ではっきりと発音される場合とは違う音になります 。また、前後にある言葉と合体することがよくあります。文法的にも、単語的にも簡単な文であっても、 強調しない言葉は非常に聞き取りづらい ことがあります。これが大きな 原因 で、リスニングに苦労する方が多くいます。
先ほど例に挙げた Nice to meet you.では to は前置詞で you が代名詞です。
学校などでは to は「トゥー」と発音すると習ったのではないでしょうか。しかし、 ネイティブの多くは to を文中では to は「タ」または「ダ」と発音します 。
you の場合は強調されていないので、周りの言葉と合体しやすいです。 would you とcould you は「ウッジュー」「クッジュー」と、you の前に d で終わる言葉がくれば、「ジュー」 となります。そして、 you の前に t で終わる言葉がくれば「チュー」となります 。そのため、 meet you では you の前に t があるので、「ミーチュ」という発音になります。
全文を発音すると、次のようになります。
Nice to meet you.(発音:ナイスダミーチュ)
2. リエゾン
1.ですでに触れていますが、2つ目の理由がリエゾンです。リエゾンとは、子音と母音の組み合わせなどによって、前後の単語と単語がつながって一緒に発音されることです。
それでは例文をみてみましょう。
I’ve got a lot of books.(発音:アイヴガダラダブックス)アメリカのネイティブスピーカーは、このように発音します。I と have が合体して I’ve「アイヴ」になるのと同じように got と to が合体して「ガダ」となります。ここで t の音が d に変わり、より発音しやすいもの、つまりリエゾンになっています。
特に、 「t」は音声変化する 傾向 が強い です。「t」の発音は、単語の中の強勢の置かれる位置や、周りにあるアルファベットによって変わります。アメリカでは、 母音の「a」「i」「u」「e」「o」 の間に t がある場合、d の音に変わることが非常によくあります 。
例えば、「w ate r」や「comp ute r」などでも「t」が「d」のように発音されます。なので「o」と「a」の間にある g ot a の「t」場合も、その次に来る a l ot o fの「t」も同様で、「d」になります。
さらに、Nice to meet you. の「 to 」と同じように、「of」などの前置詞の場合、通常、強勢が置かれないため、前後の単語とつながって一緒に発音されることがよくあります。of の場合、「f」の音が消えて、単に「ア」と発音されることが一般的です。なので、a lot of は、「アラダ」のように聞こえます。
3. 丁寧さ
3つ目の理由は、丁寧さです。
非常にフォーマルな場では、音声変化は比較的 少ない のですが、カジュアルであればあるほど音声変化がますます多くなります。
しかし、フォーマルな場で全く使われないというわけではありません。フォーマルで丁寧さが重んじられる場でも、基礎的な音声変化は無意識に使われています。
よくある音声変化
以下に、アメリカ英語の会話で非常によく起こる音声変化を、いくつかご紹介します。(書く場合には、SNSや携帯のメールなど、よほどくだけた文章以外では、右側のような書き方はしません。)
このような変化は、アメリカ英語ほどではなくても、イギリス英語やオーストラリア英語でも見られます。
want to → wanna (ワナ)これらはほんの一部で、他にもたくさんあります。be] going [to → [be] gonna (ガナ)
have] got [to → [have] gotta (ガダ)
I don’t know → I dunno (アイ ドノウ)
let me → lemme (レミー)
give me → gimme (ギミー)
kind of → kinda (カインダ)
音声変化を聞き取れるようになるには?
リスニングスキルを伸ばすためには、普段から実際に使われている英語を十分に聞いておくことが必要です。そう言われると、「でも日本に住んでいてそれは難しそう」と思われるかもしれませんね。そこでおすすめしたいのが、興味がある国の英語のテレビドラマを活用することです。
ネイティブスピーカーでも、育った地域や環境によって、その人それぞれ発音の仕方が異なりますし、また、同じ人でも、そのときの状況や話すスピードによって、発音が少し変わります。テレビドラマで話されている英語は、リアルな英語であり、さまざまな人の話し方に触れることができるので、上手に活用すればリスニング対策としての効果は抜群です。
もしよろしかったら、私のYou Tube チャンネルの発音講座や教材『プライムイングリッシュ』もぜひ活用してくださいね!音声変化をメインにお伝えしています。
まとめ
最後に、大切なことをお伝えさせてください。
ネイティブスピーカーの話し方や発音をまねするのは、英語が母国語でない人と話すのに慣れていないネイティブスピーカーにとって、より自然で聴き取りやすい英語にするのに役立ちます。
しかし、ネイティブスピーカーそっくりに話すことは必ずしも必要ではありません。英語が母国語であっても、1人ずつ話し方は違うのですから。
大事なのは、 音声変化という現象があるということを知り、少しずつでもいいので、変化した音に耳を慣らしていくこと です。
生の英語を聞き取れるようになるには、同じ単語やフレーズでも発音は変化するということを常に意識して、多少違う発音をされても認識できるようにしていくことが必要です。
そうすることで、テキストの音声だけでなく、実際の会話で話される英語も徐々に聞き取れるようになっていきます。あなたのリスニングスキルは飛躍的に向上することでしょう!
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文:サマーレイン https://www.summer-sensei.com
2012年に早稲田大学を卒業。2016年、大学院研究生として東京大学に入学。現在、スタンフォード大学大学院博士課程在籍中。 2008年に来日後、学業の傍ら9年間英会話講師として活動。2016年より英語教材の執筆、監修活動を開始。 YouTube 、 Instagram も 更新 中。
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