絶景プロデューサーが世界を旅して感じた「本当のコミュニケーション」とは?

絶景プロデューサーが世界を旅して感じた「本当のコミュニケーション」とは?

60カ国上の国々を旅してきた、「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサーの詩歩さん。世界で感じた文化の違いや、英語を話せない現地の人とのコミュニケーションなどについて、旅の思い出とともにお話しいただきました。

楽しいけれど、体力勝負の一面も「絶景プロデューサー」という仕事

写真集「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」シリーズも、すでに6冊になりました。息をのむような自然の造形や色彩の美、歴史や文明をたたえた建造物のたたずまい、人間の何げない営みに寄り添う風景、光や風が織り成す奇跡のようなシーン・・・。写真はお借りしたものもありますが、私が自分の足で見に行き、感動しながら撮影した「絶景」も数多く掲載しています。

そう、世界は絶景であふれています! 未知の絶景もたくさんありますから、常にリサーチは欠かせません。週1回は地方取材に行きますし、2カ月に一度は海外へ出掛けます。費用はほとんど自腹ですが、SNSなどで情報発信するためには必要な投資ですし、そのぶん頑張って仕事で回収しようという励みにもなっています。

もともと旅が好きなので、普段は行けない場所に行けるのが、この仕事の魅力です。一方、よい写真や動画をいかにたくさん撮るかということで、頭の中はいつもいっぱいというのが、私の旅の現実だったりもします。カメラのアングル、天候、理想的な光の状態までを考えて、「今だ!」という一瞬のために、早朝から夜中まで、外で粘ることも珍しくありません。

そして気が付くと、その旅もまた慌ただしく帰国日を迎えているのです。「絶景プロデューサー」の仕事は楽しいけれど、間違いなく体力勝負の世界です。

野宿をしながら道なき道を 2 泊 3 日過酷な旅の果てに見た極彩色の世界

そんなふうにして、これまで世界60カ国以上を旅してきました。どれも忘れられない旅ばかりですが、特に印象に残っている光景がいくつかあります。 カナダのイエローナイフで見たオーロラは、宇宙の神秘を感じさせる荘厳さで、本当に感動的でした。もう一度見に行きたいと今でも思います。

イタリアのランペドゥーザ島は、澄み切った海に浮かぶ船が水面から浮いているかのように見える光景で有名です。私がまだ会社員だった2012年にFacebookで紹介したとき、27万件の「いいね!」が付いた思い出があります。実際に島を訪れたのはその2年後でしたが、写真で見たものと同じ浮遊する船を目の当たりにして、感激ひとしおでした。

もう一つ、別の意味で印象に残る旅に、エチオピアのダナキル砂漠があります。周囲には道もなければ人も住んでおらず、おまけに武装強盗が出没する地帯を通るため、現地ツアーに参加して、野宿をしながら2泊3日がかりで行きました。

たどり着いたダナキル砂漠は、海抜マイナス100メートルの火山地帯。塩分、硫黄、カリウムなどを含む熱泉が噴き出し、緑や黄色に染まった極彩色の大地が広がります。同じ地球とは思えないほど、それは過酷で強烈な、そして美しい絶景でした。

非英語圏でのコミュニケーションにはスマホ画像や Google 翻訳が大活躍

海外へ行くことが多いため、常に英語のブラッシュアップはしていますし、カナダ、マルタ島、イギリスのブライトンと、短期の語学留学も3回ほど経験しました。でも世界を歩いてみると、Thank you.すら通じない国や地域もあるのです。

英語があまり通じない場所では、ビジュアルを駆使してコミュニケーションを取るようにしています。例えばタイにはよく似た名前のお寺がいくつかありますが、タクシーの運転手さんにスマホの画像を見せれば、間違いなく伝わります。いざとなればGoogle翻訳を使いその国の単語を見せて、言いたいことを伝えることもできますから、Wi-Fiは私の旅の必需品です。

言葉以外に、文化や常識も国や地域で違います。タヒチでは、なんと女子トイレで男の人に遭遇。後でわかったのですが、男の子しか生まれなかった家庭では、末っ子を女の子として育てる習慣があるのだそうです。それが「レイレイ」と呼ばれる人たちで、見た目は男性ですが、よく見るとお化粧をしていたり、髪に花を飾っていたりします。トイレも当然、女性用を使うのです。男性の体力と女性の感性を兼ね備えたレイレイは、サービス業を中心に活躍していてホテルなどでも働いているので、旅行者もわりとよく出会うようです。

「絶景」を切り口に、海外への発信や地方活性化への取り組みにも意欲

憧れの絶景を見るためにこれから海外へ出掛ける皆さんに、ここで私流の旅のヒントを少しお伝えしましょう。

まず大切なのは下調べ。お目当ての絶景は、どこから見るのがいちばんすてきか、何時頃に行くと最もきれいに見られるかなど、事前に把握しておけば間違いがありません。

非英語圏への旅では、最低限のあいさつくらいは現地の言葉で言えるといいですね。地元の人たちが笑顔になって、お互い気持ちよく過ごせます。できれば簡単な数字も頭に入れておくと、何かと便利だと思います。

観光、食事、アクティビティーなど、地元の人があれこれ親切に勧めてくれることがあります。旅の思い出に、無理のない範囲で試してみるのもよいでしょう。ただし、安全は十分確認してくださいね。私が海外に出るたびに思うのは、外国では自分が日本人の代表だということ。常にその自覚と責任を持って行動したいものです。

「絶景プロデューサー」としては、今後は日本の絶景を海外に発信する活動に、もっと力を注いでいきたいと思っています。日本の地方活性化や観光推進についても、「絶景」を切り口にお手伝いできることはたくさんありそうです。

個人的には、一度は南極に行ってみたいですね。何万年も前の空気を無数の気泡として抱いている氷河を想像するだけで、地球の壮大な歴史とロマンに胸がワクワクします。そんな自分だけの特別な「絶景」を探しに、あなたも出掛けてみませんか?

 

※ 本記事は『ENGLISH JOURNAL』2020年10月号に掲載した記事を再構成したものです。

『ENGLISH JOURNAL』2020年10月号の特集は「おうちで絶景英語ツアー」

世界のきれいな景色を見たい――皆さんが海外旅行に行くときの大きな目的の一つではないでしょうか。本特集では、絶景プロデューサーの詩歩さんと一緒に旅する気分で、旅行にまつわる英会話フレーズを学んでいきます。

詩歩さんの旅行英会話本『絶景を旅するシンプル英会話50』発売中

絶景プロデューサーとして世界中の絶景を旅する詩歩さんが教える、最もシンプルな旅行英会話フレーズ集。常に現地へ足を運ぶ著者だからこそわかるシンプルな英語を、海外旅行への思いを高めてくれる絶景とともに学べる、新感覚の旅行英会話の本。

絶景を旅するシンプル英会話50

絶景を旅するシンプル英会話50

  • 作者:詩歩
  • 発売日: 2018/09/10
  • メディア: 単行本
 

詩歩(しほ)
「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサー。静岡県出身。世界中の絶景を紹介するFacebookページ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」を運営し、70万以上の「いいね!」を獲得し話題に。書籍は累計63万部を突破。現在は、旅行商品のプロデュースや企業とのタイアップ、自治体などの地域振興のアドバイスなどを行っている。浜松市観光大使。
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写真:詩歩/取材・編集協力:田中洋子