「仮定法」も怖くない!ifの構文【絶対英文法】

連載「絶対英文法」の7回目は、英文法の難関の一つである仮定法です。仮定法ではない、単なる条件文も「ifの英文」として整理しましょう!

聞いて答える文法音声クイズに挑戦!

まずは、 聞いて答える文法音声クイズに挑戦しましょう。英文を聞き、文法上(または表現として)不自然な部分があれば正しましょう。音声は書き取らずに考えましょう。答えは、本記事の末尾にあります。

いわゆる条件節や仮定法で用いる接続詞if . . . (もし・・・なら)ですが、話し手の考える現実の可能性を軸にしておくと、より効果的に日常会話で使えるようになります。

ifの英文

次の4つの例文の、時制や助動詞の変化(太字)に注目してください。(A)→(D)の順に、話し手の中での実現の可能性が100%→0%に下がっていきます。

(A)If you buy this, you get a free mug.
これを買えば、無料でマグカップがもらえます。

(B)If you buy this, you will get a free mug.
これを買えば、無料でマグカップがもらえます。

(C)If you bought this, you’d get a free mug.
これを買ったとしたら、無料でマグカップがもらえるでしょう。

(D)If you’d bought this, you’d have gotten a free mug.
これを買っていたなら、無料でマグカップがもらえたでしょう。

(A)100%に近い実現可能性

動詞を現在形(直接法)で用いることで、「交換条件」のイメージで結果を断言しています。

If S V(原形), S V(原形) . . .

(B)70~80%の実現可能性

「予測」の助動詞willを用いることで、ストレートな言い方を避けたものです。

If S V(原形), S will V(原形) . . .

(C)50~0%の実現可能性

話し手が「購入の可能性が低い」と考えているため、過去形bought(仮定法過去)で現実との距離感を表現したものです。これに合わせてwillもwouldになります。

If S V(過去形), S would/could/might V(原形) . . .

(D)0%の実現可能性

すでに過ぎ去った過去の話は、実現度の可能性は完全にゼロ。それを、過去の時点からさらに前(大過去)への距離感を表す過去完了形had bought(仮定法過去完了)で表現したもの。主節もhad gottenになりますが、(C)と同様、距離感をもたらす助動詞wouldを用いるため、hadを原形にしたhave gottenになります。

If S had V(過去分詞形), S would/could/might have V(過去分詞形) . . .

would、could、mightの英文

if節がなく、いきなり助動詞would、could、mightが現れることがあります。一般的に、先ほどの例文(C)のパターンにおけるif節が省略されたもの(文脈で示されている)と考えればOKです。

I still feel very tired. I could sleep for like 24 hours.
まだかなり疲れてるよ。24時間くらいは眠れるなぁ。

このcouldも、過去を示すものではなく、簡単に言えば、「断言」を避ける婉曲(遠回し)な表現です。上の例文では「実際に寝ないけれども、寝ていいなら、寝る時間がそれだけあるなら」といったような気持ちが含まれます。こうした助動詞の基本はwouldで、これよりも弱いニュアンスを表すのがmightとcouldです。couldは能力(できる、できない)のニュアンスを含みます。

聞いて答える文法音声クイズの答え

【音声】

If I were you, I don’t let her go.

【答え】

don’t → wouldn’t/might not/couldn’t

【解説】

If I were you(僕が君だったら)は完全に非現実の話であるため、仮定法過去の典型パターンです。主節には、現実との距離感を示す助動詞の過去形を用います。基本はwouldn’t/would notですが、「能力」に焦点を当てればcouldn’t/could not、「推量」に焦点を当てればmight notです。話し手の確信度はcould、mightでは弱くなります。

次回は、「話せる」英文法の学習方法について紹介します。どうぞ、お楽しみに。

Evine(エヴィン)
Evine(エヴィン)

本名、恵比須大輔。神戸在住。株式会社evinet biz代表取締役。Teaching Director。神戸と大阪で社会人向けの 「やりなおし英語JUKU」)と学生向けの 「Evineの英語塾」 を主宰。幅広い世代の学習者を対象に、コア英文法を軸とした実際に使える英語・英会話の指導を行っている。観光専門学校での「英文法&英会話クラス」や「TOEICクラス」、教員向けセミナーなど、多方面で活動実績がある。『Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル』『Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル2』『Mr. Evineの中学英文法+αで話せるドリル』『Mr. Evineのアルファベットから英語の基礎をなんとかするドリル』『Mr. Evineの英文法ブリッジコース[中学修了▶高校基礎]』(以上アルク)や『Mr. Evineの英語塾 コア英文法』(ベレ出版)など、著書多数。趣味は映画鑑賞と旅行。
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