TOEIC公式問題集の効果的な活用法!濱崎潤之輔さんが提案する学習方法と持ち運びの工夫

TOEIC対策の基本は公式問題集の活用。本番の試験形式に即した問題で実力を伸ばすことができます。この記事では、公式問題集の効果的な使い方から持ち運びの工夫まで、濱崎潤之輔さんが提案する効率的な学習方法をご紹介します。公式問題集の活用法と目標スコア別の対策について、詳しく解説します。さらに、重たい公式問題集の持ち運びに困る方には、縮小コピーとスマートフォン活用の方法もおすすめです。効果的なTOEIC対策を実践するためのヒントが満載です。

※ 2018年2月に公開した記事を再構成して紹介しています。

公式問題集を使った効果的な勉強方法

検定試験は過去問があるのが普通ですが、日本では(韓国では2017年末にTOEICの過去問が発売されました)TOEICの過去問は出版されていません。公式問題集がその代わりになります。

ただ、この公式問題集に掲載されている問題は、実際のテストを作成しているETS(テスト作成はETS、公式問題集はIIBCが編集・出版)が作っているので、本番を想定した模擬試験として使うことができます。

TOEICを初めて受ける方も、公式問題集を使えば「本番の試験ってこんな問題が出るんだ」ということを、しっかりと把握することができます。

公式問題集を徹底的に使い倒して、確実に成果を出す方法をご紹介しましょう。

時間を計って解いてみる

最後まで解き切れなくてもいいので、まずは時間を計って解いてみましょう。

「こういう音声が流れて、こういうふうに解き進めていくんだ」ということは最低限知っておく必要があります。まずはTOEICの全体像、スタートからゴールまでを知ってください。

駅伝にえると、まずは平地で短い楽な区間をしっかり走れるように練習する、急な坂がある区間やものすごく長く走らなければならない区間は取りあえず後回しにする、というようなイメージを持てるようになることが、まず必要です。

楽な区間が走れないと、難しい区間は走れるわけがありませんし、また、目指すスコアによっては、難しい区間である、パート3、4、7については割り切りも必要です。

ただし、TOEICは駅伝とは異なり、1人でスタートからゴールまで走らなければいけないテストなので、試験の途中で誰かにバトンタッチすることはできないのですが。

TOEICはリスニングが約45分間、リーディングが75分間で約2時間のテストですが、解いてみると、おそらくほとんどの方は時間が足りないことに気付くでしょう。

リスニングは音声にリードされて解いていくので時間が足りなくなることはないでしょうが、75分間でリーディングセクションの100問を解き切れる方は、ほとんどいないと思います。

まずは「こんなにままならないテストなんだ」ということを知っていただくと良いと思います。

徹底的に復習する

次は復習です。

一般的には、復習というと、できなかった問題の解説をしっかり読んで理解し、もう一度解いてみる、という作業が思い浮かぶかもしれません。しかし、TOEICでは、それだけでは全く不十分です。

なぜなら、ある問題を理解したつもりになっても、もう一度全体を通しで解答したときに、時間内に最後まで辿り着けるかどうか、正解できるかどうかは分からないからです。

TOEICは、それぐらい分量が多いテストなのです。一つ一つの問題が難しいというよりも、量が多くて消化しきれないというタイプのテストなのです。

時間内にリーディングセクションを消化できるスピードを獲得するまで、公式問題集を繰り返し通しで解答する練習をすること。これが大前提です。

次に、目標スコア別に対策方法を紹介します。

目標スコア別の対策方法:500点超え、600点超えを目指す方

文法問題の対策が重要です。文法問題でよく出題されるのが、1つの単語の語尾が変化した形の選択肢が並んでいる品詞問題です。品詞問題だけでもいいので、しっかりと理解しておきましょう。

また、公式問題集に出てきた単語や語句は、知らないものをなくし、英文も全て英語のまま意味が理解できるという状態になるまで、しっかりと復習しましょう。このように勉強していくと時間は結構かかります。

リスニングではPart 1と2で使われる短文を、リーディングではPart 5の短文をしっかりと理解できるようにします。

Part 5の英文の内容とPart 6、7の内容は大差ありません。ざっくり言うと、6や7に出てくる長文の一部を切り取ったものがPart 5です。6や7を切り取ったものである5が理解できないようでは、6や7は当然理解できるはずがないということです。

まずは1、2、5をしっかりとできるようにすること。それまでは、3、4、6、7は取りあえず放っておいて構いません。

目標スコア別の対策方法:700点超え、800点超えを目指す方

このレベルを目指す方は、基本的な知識をある程度お持ちのはずです。従って、時間があれば7、8割の問題は正解できるでしょうし、間違った問題も、解説を読めばなぜ間違えたかを理解できるでしょう。

しかし、TOEICで目指すべきは、解説を読めば納得できるというレベルの理解ではありません。TOEICでは「テスティングポイント」を完全に理解すること、つまり、その問題が受験者の何を測ろうとしているのかを理解できる、また、自分で解説もできるレベルを目指していただきたいのです。

同じ正解でも、「なんとなく正解できた」と「なぜそれが正解で、他の選択肢が正解ではないのかを即座に説明できる」との間には大きな差があります。後者のレベルで理解できる問題が増えることで、解答の正確性はもちろん高くなりますし、スピードに乗って解答することができるようになるのです。

目標スコア別の対策方法:900点超えを目指す方

900点以上を目指す方は、公式問題集でも8割5分~9割ぐらいは取れるはずです。復習すべき問題が1割程度しかないわけで、その1割をしっかりと復習して終わりという方法もありますが、私のおすすめは、復習のときに200問全てを何度も解き直すという方法です。

TOEICは長丁場で、なおかつ自分の集中力をコントロールしなくてはいけない試験です。ペース配分能力や集中力を高めないといけないので、本番と同じ2時間連続で試験問題に触れる必要性がでてくるのです。そのため、例えば1回目で間違えた20問を復習したら、正答した問題も含めて200問全てもう一度やり直す方がいいと思います。

「間違えた部分だけでなく正答した部分もくり返し解く」ということを常にやっておけば、本番も楽になります。

僕は間違った問題の復習をした後に、最初から全ての問題を解き直し、時間内に200問全問正解できるかどうか試してみる、という勉強を繰り返しやってきました。

僕はでも同じ模試を10回でも20回でもやっています。皆さんも、ぜひやってみてください!

縮小コピーとスマートフォン活用!

荷物が増えても大丈夫という人は、公式問題集をそのまま持ち歩いてもいいと思いますが、ですが、かさばるし重いし、なかなか難しいですよね。だから、僕は縮小コピーした問題を持ち歩くようにしています。数回分を常に持ち歩き、同じ問題を10回や20回くらいは解きますね。

答えはコピーに書き込まず、例えばスマートフォンのメモ帳に書いたりします。僕のスマートフォンは少し大きくて重いので、電車の中での勉強には不向きなのですが、普通のスマートフォンなら小さくて軽いから便利ですよ。

僕はウォークマンで問題音声を聞きながら、解答の記号をスマートフォンのメモ帳に打っていくというスタイルで問題演習を行っています。

濵﨑さんが実際に使っている「勉強セット」を再現!

濱崎さんの「電車でTOEICセット」を、編集部で再現してみました。このように準備すると、厚い問題集もかなりコンパクトになります!

準備するもの

  • TOEIC公式問題集をA4の紙に縮小コピーし、両面に印刷したもの
  • ポータブルオーディオプレーヤー
  • スマートフォン

いつでもどこでも模試モード!効果的な勉強スタイル

通勤電車の中では、ポータブルオーディオプレーヤーを胸ポケットなどに入れて聞きながら、縮小コピーした問題とスマートフォンを持ち、メモ帳に解答の記号を打っていきます。

テスト1回分のセットをクリアファイルに入れて、肩から下げられるトートバッグなどに入れ、常に持ち歩き、サッと取り出せるようにすれば、いつでもどこでも すぐに 勉強をスタートすることができます。

日本の公式問題集ならアプリで便利に勉強!

今、僕は韓国版の公式問題集を使っているので、スマートフォンのメモ機能だけを使っていますが、日本の公式問題集だったら良いアプリがちゃんとあるので、マークシートをダウンロードをして、どんどん打っていけばいいので楽ですよ。解答を打ち込んだら勝手に後で答え合わせもしてくれます。

ちなみに 日本の公問題集専用のマークシートは「TOEIC対策支援アプリ:abceed anlytics」に入っています。

弱点を中心に強化すべき?効果的な勉強法を解説

学生さんからはよく「リスニングはできるようになったので、リーディングを強化したいです。リーディングの勉強時間を増やしていけばいいんですよね?」と聞かれます。

間違ってはいませんが、リーディングの時間を増やした分、リスニングの時間を削ってしまう人が多いんです。

リスニングを1時間、リーディングを1時間、毎日2時間勉強しているとしましょう。で、リスニングの方はよくできていて、リーディングが苦手だからと、リーディングを強化するためにリスニングを15分、リーディングを1時間45分に、という風な配分に変えてしまう人が多いのです。

そうすると、リーディングはできるようになるとしても、リスニングの点数が落ちてしまいます。なぜなら、今までリスニングの勉強を1時間やってきたからこそ、そのスコアが取れているわけなので。もちろん、勉強時間と点数は完全に比例するわけではありませんが。

強化したい分野は「足す」ことで強化!

何かを強化したかったら、今やっている勉強に時間を足すべきです。

パート7が弱いなら、いつもやっている勉強時間は削らずに、パート7をやる時間をどこかで見つけて、足すのです。そうすれば今まで取れている点数は落ちません。

今やっていることを減らさずに足すようにすれば、間違いはありません。

リスニングとリーディングを同時に強化する方法

先にお話しした通り、基本的にはPart 1から7まで、ひとまとめにやるのがいいと思います。

時間がなくて全部できない場合は、リスニングとリーディングに分けてもいいですが、全部やれるなら、通しでやったほうがいいでしょう。合計で2時間やれれば一番いいと思います。

行きの電車が混んでいて10分ぐらいしか勉強には使えないという場合、10分で何問か解いて、帰りに60分や70分勉強をやってもいい。

まとまった時間はなかなか取れませんから、細切れの時間を足して合計で2時間取れるようにすれば、理論的には200問解く時間はしっかり確保できるはずです。

通勤の時間を有効に使いましょう。

最新のTOEIC公式問題集

濵﨑潤之輔(はまさき・じゅんのすけ)
濵﨑潤之輔(はまさき・じゅんのすけ)

大学・企業研修講師、書籍編集者。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。明海大学や獨協大学、早稲田大学EXT、ファーストリテイリングや楽天銀行、エーザイやSCSK、オタフクソースなどの企業でTOEIC L&Rテスト対策研修講師を務める。TOEIC L&Rテスト990点(満点)を80回以上取得。『TOEIC L&Rテスト990点攻略』(旺文社)、『改訂版 中学3年間の英語が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)など、著書・監修書は80万部以上の実績を誇る。「濱崎TOEIC研究所オンラインサロン」主宰。

公式サイト 濱崎TOEIC研究所オンラインサロン
Twitter:@HUMMER_TOEIC
Instagram:junnosuke_hamasaki
TOEIC L&Rテスト 長文パート対策セミナー:https://tz-eigolounge.jp/news/2021cho/

写真:山本高裕(ENGLISH JOURNAL編集部)

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外国人観光客と比較的多く遭遇するであろう、駅、観光スポット、小売店、飲食店などの代表的な40場面を選び、計240のフレーズと、そのフレーズを使った対話例を収録しています。たとえば以下のようなフレーズです。

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1人ですべてを解決できなくても、一次的な対応をする場合に使える表現や、英語ができる人につないであげる際に使える表現も収録しています。付属音声で練習して、実際に街中で使ってみましょう。

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