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イギリス4国――イングランド/スコットランド/ウェールズ・・・あと一つは?【ENGLISH JOURNAL 12月号】

イギリス4国――イングランド/スコットランド/ウェールズ・・・あと一つは?【ENGLISH JOURNAL 12月号】

『ENGLISH JOURNAL』12月号の特集は「あなたの知らない英国ガイド」。その中の記事「イギリスってどんな国?」の一部をご紹介します。

イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4国から成る「イギリス」。「ロンドンは行ったことがあるけど、他の国についてはよく知らない」という人も多いのではないでしょうか。それぞれどんな国でどういった特徴があるのか、グルメやカルチャーなどのお国自慢や、日本人が知らない裏事情などを紹介します!

イギリス4国――イングランド/スコットランド/ウェールズ・・・あと一つは?【ENGLISH JOURNAL 12月号】

England――連合王国の中心、イングランド

イギリス4国――イングランド/スコットランド/ウェールズ・・・あと一つは?【ENGLISH JOURNAL 12月号】

イングランドはイギリス国土の3分の2を占め、全人口の8割が住む連合王国の中心的存在です。ロンドンは、「イングランド」と「イギリスという単一国家」の両方の首都役を担う国際都市。おなじみ「ビッグベン」近くのダウニング街10番地には、四つの「国」から権力の一部を預かり、全国をまとめるcabinet(内閣)が集う首相官邸があります。

バーミンガムなどの主要地方都市はどこも産業革命時に栄えた北部地方にありますが、重工業などの衰退によって昔の勢いは失われています。また、北に向かうほど言葉のなまりは強くなり、郷土愛が強過ぎる住民が増えていきます――例えばマンチェスターとリバプールが、音楽からサッカーまで「うちの街の方が上だ!」と互いをライバル視するように。南部は「イングランドの庭」と呼ばれるほど豊かな緑を誇り、温和でマイペースな住民が多いといわれます。

「人種のるつぼ」といわれる多文化・多民族の街、ロンドン

ブリティッシュ・ポップのお膝元といえばイングランド!ビートルズ(リバプール)、オアシス(マンチェスター)、ローリングストーンズ(ロンドン)にクイーン(ロンドン)など、枚挙にいとまがありませんが、常に新しいサウンドが生まれていることも自慢です。

また、イングランドのカントリーサイドは広大な自然の中に優雅さを感じさせるのが特徴。なだらかな丘陵地帯が続くコッツウォルズ、幽玄な湖が連なる湖水地方、紺碧(こんぺき)の海が広がるコーンウォールなど、48カ所もの「Area of Outstanding Natural Beauty(特別自然美観地域)」があり、コロナ禍で海外ホリデーに行けなくても、みんな「ステイケーション」を楽しんでいます。

そしてさまざまな民族が住み、300もの言語が話されているロンドンはまさに「人種のるつぼ」。本格的なエスニック料理の食べ歩きもおすすめです。

Scotland――独立の機運が高まる国、スコットランド

イギリス4国――イングランド/スコットランド/ウェールズ・・・あと一つは?【ENGLISH JOURNAL 12月号】

イングランドとは地続きでありながら、昔から仲が良かったためしがないスコットランド。1707年から同一の王(現在はエリザベス女王)を君主とする連合王国になったものの、「イングランドに乗っ取られた」という不満は消えていません。首都エディンバラにはスコットランド議会があり、自治政府首相もいます。通貨はポンドでも、お札やコインは独自のデザインです。

2013年の住民投票では僅差で独立に至りませんでしたが、その後のEU離脱に住民の6割が反対だったことから再び連合を離れようという機運が高まっています。自分たちは「British」であるよりも「European」だと感じるスコットランド人が多いようです。

「ベン・ネビス」など比較的高い山並みと荒々しい景観を誇り、妖精や怪獣が登場する古民話が年代を問わず愛されている国です。

スコットランドに行ったら必ず飲みたい「スコッチウイスキー」

極上のスコッチウイスキーを飲んだら、もう他のお酒は飲めないはず!ハイランド地方のスモーキーなウイスキーから、南のおいしい水を使ったマイルドなタイプまでたくさんの銘酒があり、中には200万ドル(約2億2000万円)で落札されたビンテージもあります。

毎年エディンバラで開かれる国際フェスティバルは、文化の祭典。メイン会場だけで十数カ所もあり、音楽、ダンス、演劇などが繰り広げられます。同時に行われる「フリンジ」と呼ばれる小劇場や屋外でのパフォーマンスからは、新しいバンドやコメディアンがブレークします。コメディードラマ「Mr. ビーン」(1990-95)で知られるローワン・アトキンソン、「ハリー・ポッター」シリーズ(2001-11)でスネイプ先生役を演じたアラン・リックマンも、フリンジから飛び立った俳優です。

また、産業革命を可能にした蒸気機関、電話、TV放送、ペニシリン、ATMなど、世界を変えた発明が生まれた地でもあります。現代の便利な生活は、スコットランド人なしには存在しなかったかも?

Wales――人よりヒツジが多く暮らす国、ウェールズ

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グレート・ブリテン島本土の西側に位置し、イングランドと隣接するウェールズ。日本の四国と同じくらいの面積で、300万人余りが住んでいます。人よりもずっと多いのがヒツジ!推定1000万頭が飼育され、なだらかに続く田園でのんびりと草を食べています。人口の3分の2が首都カーディフのある南ウェールズ地方に住み、北は自然が多く、スノードン山などの国立公園が広がります。

人気のスポーツは、サッカーでもクリケットでもなくラグビー。屈強なプレーヤーを抱えるウェールズのチームは欧州で1、2を争う強豪です。

ウェールズ人はパブで歌うことが大好き!

ウェールズには世界で一番長い名を持つ村があります。その名も、Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch(ランヴァイル・プルグウィンギル・ゴゲリフウィルンドロブル・ランティシリオゴゴゴホ)。村の教会名と所在地の説明を並べた文のような地名ですが、実はビクトリア時代にここを観光名所にしようと考え出されたそうです。llは「シュ」と「グ」の間、gの発音は「グフ」に近く、駅名のアナウンスではせきこんで話しているように聞こえます。

ウェールズ人は歌うことが大好きです。パブでほろ酔い客が何か歌い出したらすぐにみんなが参加し、合唱を始めます。太く豊かな声を張り上げることをbelting(ベルティング)といい、ウェールズ出身のスター歌手トム・ジョーンズやシャーリー・バッシーなどは「典型的ベルター」と呼ばれています。

Northern Ireland――激動の歴史を持つ北アイルランド

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アイルランド島の北東部を占め、連合王国の中で最も面積が小さい国です。島の南部はアイルランド共和国で、イギリスとは別の独立国でありEU加盟国。昔からこの島では、北のキリスト教プロテスタント派と南のカトリック派との間で紛争が絶えず、1921年に南北アイルランドが二つの国に分かれた後も暴力的な衝突が続いています。さらにイギリスのEU離脱後は、グレート・ブリテン島とアイルランド島の間にあるアイリッシュ海がEU とイギリスとの国境のようになってしまい、物品の行き来がスムーズでなくなることもあります。

激動の歴史に翻弄(ほんろう)されながらも、人々はとてもフレンドリーで親切。旅行者が街角でガイドブックを見ていると、たちまち数人が寄ってきて「名所ならあっちだよ」と声を掛けてくれます。

濃いめのミルクティーから始まる北アイルランドの朝

イングランド人よりもたくさん紅茶を飲むといわれている、北アイルランド人。平均して1日6杯だそう! おすすめは、「アイリッシュ・ブレックファスト・ティー」と呼ばれるアッサムとケニア産茶葉のブレンドで、濃く入れて砂糖とミルクをたっぷり入れていただきます。銘柄は「トンプソンズ」が人気です。

スコットランド出身者がウイスキー造りを伝え、いつしか3回蒸留するのが特徴のアイリッシュ・ウイスキーが生まれました。スムーズな口当たりで飲みやすいのでウイスキー初心者にもおすすめ。代表銘柄は「ブッシュミル」で、蒸留所周辺は美しい自然に囲まれた観光名所でもあります。

ガーデニングの人気は、本家を自認するイングランドに負けず劣らず高いのですが、グレート・ブリテン島と違うのは庭の土を荒らすモグラが一匹もいないこと。氷河時代に絶滅したという説があります。庭自慢な家が多いのは、モグラに邪魔されずに美しい花々を育てられるからかもしれません。

EJ最新号の特集は「あなたの知らない英国ガイド」

『ENGLISH JOURNAL』12月号の特集は「あなたの知らない英国ガイド」。イギリスを構成する「イングランド」「スコットランド」「ウェールズ」「北アイルランド」――それぞれの特徴・国民性など私たちが知っておきたい基本情報や、出身者の英語インタビューをお届け。さらにはイギリス英語が学べるエンタメ作品も紹介します。

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冨久岡ナヲ(ふくおか なを)イギリス、ロンドン在住のジャーナリスト、コーディネーター、食イベントプロデューサー。在英約20年。日本にイギリスの情報を伝える傍ら、二つの国の絆を深めたいと輸出入の促進協力活動なども行っている。共著に『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社)など。