「資本投資」は英語でなんて言う?経済白書「企業の6重苦解消へと道半ば」 

ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!

今回のニュース

内閣府の2021年度の経済財政白書の概要が分かり、2011年の東日本大震災以降企業が直面する6重苦がいまだ解消しきっていないという 分析 がなされているというニュースです。

"Sextuple problems" facing companies midway to resolution according to Annual Report on the Japanese Economy and Public Finance 2021

企業の「6重苦」、解消道半ば 21年度経済財政白書案

2021年10月1日に配信されました。

まずは聞いてみよう!

音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。

※ノーマルスピード(1倍速)の音声です

理解度をチェック!

ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。

Which "problems" have been resolved?

(A) Some of the issues that have been caused by the pandemic.

(B) More than half of the problems that were issued in 2011.

(C) Most of the "sextuple problems" have not been resolved.

詳細を聞き取ろう

今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。

スクリプト

"Sextuple problems" facing companies midway to resolution according to Annual Report on the Japanese Economy and Public Finance 2021

The overview of the Cabinet Office's Annual Report on the Japanese Economy and Public Finance 2021 was revealed. The current situation regarding the "sextuple problems" that companies have issued after the 2011 Great East Japan Earthquake were analyzed. Although more than half of the issues such as high corporate tax have been resolved, high electricity costs remain , among others. The delay in digitization during the novel coronavirus pandemic was also pointed out, and the report shows that these issues are still midway to being resolved.

The Cabinet Office will publish a white paper in September at the earliest. In the white paper, corporate growth issues are analyzed from six perspectives: "strong yen," "high corporate tax," " delay in the economic partnership agreement (EPA)," ''labor market rigidity," " environmental regulation ," and "power shortage and high cost ."

The report suggests that the current economy will continue to recover due to strong capital investment and exports, but shows concerns about the stagnation of supply networks and an increase in corporate debt due to the spread of the novel coronavirus infection in Japan and the rest of Asia.

The report shows that in order for a company to grow amid this combination of positive and negative factors in an economic recovery, it is necessary to invest in specific fields and raise energy efficiency on the road to decarbonization. Out of the "sextuple problems," the report suggests that the EPA delay and high corporate tax have been resolved.

翻訳

内閣府の2021年度の経済財政白書の概要がわかった。2011年の東日本大震災後に企業が訴えた「6重苦」の現状や課題を 分析 。重い法人税など半数超の課題は解消したものの、電力コスト高などは残っているとした。新型コロナウイルス禍でのデジタル化の遅れも 指摘 し、課題解決は道半ばとしている。

内閣府は9月中にも白書を公表する。白書では「円高」や「重い法人税」「経済連携協定(EPA)の遅れ」「労働市場の硬直性」「環境規制」「電力 不足 ・コスト高」の6つの視点で企業の成長課題を 分析 した。

足元の景気について、堅調な設備投資や輸出などで持ち直しが続くが、国内やアジアでのコロナ感染 拡大 による供給網の停滞や企業債務の膨張などに 懸念 を示している。

景気回復にプラスとマイナスの要素が混在するなかで企業が成長するには、特定の分野への投資をし、脱炭素に向けエネルギー効率を引き上げることなどが必要とみる。「6重苦」のうち、EPAの遅れと法人税高は解消したとする。

覚えておきたい単語リスト

ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がよいものをまとめました。1つずつ、意味を確認してください。

    • overview : 概要
    • sextuple: 6つからなる、6倍の
    • electricity cost : 電力コスト
    • digitization: デジタル化
    • midway: 道半ば
    • perspective: 視点
    • rigidity: 硬直
    • environmental regulation : 環境規制
    • capital investment: 資本投資
    • stagnation: 停滞
    • supply network: 供給網
    • decarbonization: 脱炭素化

ニュースのポイント

Cabinet Office(内閣府)の Annual Report on the Japanese Economy and Public Finance(経済財政白書)の概要についてのニュースです。日本企業が直面する「6重苦」の解消がまだまだ道半ばという見出しですね。

more than half of the issues such as high corporate taxのように、まず名詞で話題をはっきりさせてからより詳しい説明を続けるのが英語の語順。解消した課題は半数を超えるものの、高い電力コストや新型コロナウイルス禍でのデジタル化の遅れなどは解消されておらず、midway to being resolved(解決までの中途にある)だということです。

第2段落では「6重苦」の内容が紹介されています。4つ目のlabor market rigidityは労働市場が硬直していることを表しています。rigidityは形容詞 rigid (堅い、硬直した)の名詞ですね。最後のポイント、power shortage and high cost は第1段落ではhigh electricity costsと表現されていました。

第3段落のcapital investmentは「資本投資、設備投資」のことで、これが輸出とともに堅調であることで経済が 引き続き 持ち直していくと 予想 されています。この文の後半のan increase in corporate debtでは前置詞inが使われていることに注目。inには「~における」という使われ方があり、このフレーズも「企業の債務の増加」という意味になります。

最終段落にあるamidは「~の中で、~の真っただ中で」という意味の前置詞。 on the road to は「~に向けて」という意味です。

今週のキーワード

sextuple 6つからなる、6倍の
sex-は「6」を表す接頭辞です。tripleまでは一般的でquadruple(四重の、4倍の)はそれなりに見かけますが、quintuple(五重の、5倍の)やsextupleになると出番はずいぶん減る印象があります。

クイズの正解">クイズの正解

(B)

いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週月曜日の 更新 をお楽しみに!

また、さらにたくさんのニュースを英語で聞きたい場合は、LissNのアプリがおすすめです。

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天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE

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