アニメ・マンガのあの名セリフ、英語でなんて言う?

アニメや漫画は、言葉を通じて感情や哲学を伝える素晴らしいメディアです。『ワンピース』『スラムダンク』『北斗の拳』から『進撃の巨人』まで、私たちが愛した名セリフが英語に変わると、どんな風になるでしょうか?かっこいい台詞や感動的なセリフを、日本語から英語に変換してみましょう。これから、人生哲学から決めゼリフまで、魅力的なセリフの世界に飛び込んでみましょう!

セリフ選定・解説:リチャード

人生哲学編

日本語のセリフを見て、英語を考えてみましょう!

※ ここで紹介しているセリフは、実際の英語版のものとは異なります。

『めぞん一刻』(高橋留美子 原作)

お願い・・・
一日でいいから、あたしより長生きして・・・
もう、ひとりじゃ、生きていけそうにないから・・・

Please ...
even if by just one day more, live longer than me ...
Because I don't think I could continue on by myself ...

日本語でも英語でも泣きそうです。後半の「生きていく」の部分が単純にliveではなくcontinue on(続いていく)と訳されているところに、「人生という物語が続いていく」という感じが出ていて、とても重く切ないです。とはいえ「今後も続けていく」という意味なので、こんな使い方に応用できます。

This English school is too expensive and I don’t think I can continue on.
この英会話スクールは高過ぎて続けていけない

『SLAM DUNK』(井上雄彦 原作)

あきらめたら
そこで試合終了ですよ・・・?

When you give up,
that’s when the game is over.

このセリフは知っている人が多いのではないでしょうか?バスケットボールマンガ『SLAM DUNK』より、チーム監督の安西先生の言葉です。心が折れそうになったらこのセリフを英語でつぶやいてみましょう。テレビゲームで負けて終了するときにゲームオーバーと言いますが、overには「終了」という意味があるのでこうも使えます。

Party’s over!
パーティーは終了です!(解散!)

『賭ケグルイ』(河本ほむら 原作)

出血を覚悟しなければ
人はだませませんよ?

To make your ambitions come true,
you have to take risks.

キャンブル狂の主人公、蛇喰夢子(じゃばみゆめこ)のセリフ。日本語と英語では言い回しの順番が逆なのが面白いです。やはり英語はゴールが先で、その手段が後に来る方がしっくりきますね。「出血」という言葉にとらわれず、自然な訳になっているのも見事です。英語脳になる一つのコツは「直訳にこだわらない」――これを頭の片隅に置いておきましょう。take risksは「リスクを取る」。

I don’t want to take risks.
リスクは負いたくない。

『ONE PIECE』(尾田栄一郎 原作)

“海賊”は・・・
どこまでいこうと
“海賊”なんだ!!!

Once a pirate,
always a pirate!!!

日本語もいいですが、この英訳も形がキレイでいい!直訳すれば、「一度海賊、いつでも海賊」。pirateの部分を変えれば意外と使える格好いい表現です。

Once a father, always a father.
お父さんはいつになったってお父さんだ。

『SLAM DUNK』(井上雄彦 原作)

オヤジの栄光時代は
いつだよ・・・
全日本のときか?
オレは・・・・・・オレは今なんだよ!!

Hey old man,
when were your years of glory ...
when you won the nationals?
Mine is ... mine is now!!

少し長いですが名セリフです。試合に出ることを止められた主人公桜木花道が、安西先生に言ったセリフ。「オヤジ」が普通にold manとなるのも発見ですが、years of glory(栄光時代)がいいですね!常に今が「栄光時代」ではありたいですが、

Those were my years of glory.
あの頃が俺の栄光時代だったなあ。

『ドラえもん』(藤子・F・不二雄 原作)

おまえのものはおれのもの、
おれのものもおれのもの

What’s yours is mine
and what’s mine is mine.

実はジャイアンのセリフに似たものが、実際のことわざとしても存在します。

What’s yours is mine, and what’s mine is my own.

ただ、使うときはジャイアンのように直接のセリフとして使うのではなく、他人のジャイアン的な振る舞いに対して皮肉っぽく使います。例えば、

A: He takes everything for granted.
あいつほんと感謝とかしないよな)。
B: Yeah. What’s yours is mine, and what’s mine is my own.
ほんと。ジャイアニズム満載だよね。

決めゼリフ編

『ドラゴンボール』(鳥山 明 原作)

 クリリンのことか―――――っ!!!!!

Are you talking about Krillin?!!!!!

スーパーサイヤ人になった悟空がフリーザに対し放った怒りの言葉。英語だと長いですね。短くしたかったらYou mean Krillin?!!!!!でもいけます。アニメ中ではかなり激しいセリフですが、Krillinをほかの人や物の名前に代えれば実用性はかなり高いです。例えば、

Are you talking about remote work?
在宅勤務の話をしてる?

『進撃の巨人』(諫山 創 原作)

いいから黙って
全部オレに投資しろ!!

Just shut up!
And bet everything you have on me!

巨人の力を持つエレンが叫んだ言葉。「俺の力を利用した方が得だから信じて協力しろ」という意味合いで放った言葉です。私も英会話スールを始めるときに、似たようなセリフを吐いたような?という話はさておき、bet A on Bで「AをBに賭ける」です。勢いのあるセリフなのでbetを使っていますが、「投資」をそのまま訳すならinvest A in B(AをBに投資する)になります。

I invested so much time and money in studying English.
英語学習に相当な時間とお金を投資した。

『北斗の拳』(武論尊 原作)

わが生涯に
一片の悔いなし!!

Not one ounce of regret in thy life!!

これなしにはアニメの名セリフは語れません!ぜひ言ってみたいですが、そのタイミングが非常に難しいセリフです。もちろんI have no regret in my life.でもいいでしょう。しかしここは、「お前」のことを「うぬ」とか言ってしまう世紀末覇者ラオウのキャラクターを生かし、古語のthy(汝なんじの)を使っています。二人称で一般論のように言っているんですね。「一片もない」は「1オンスもない」と西洋文化に。応用は利かないかもしれませんが、このセリフが言えるような悔いのない人生を謳歌(おうか)しましょう!

『美少女戦士セーラームーン』(武内直子 原作)

月にかわって
おしおきよ!

In the name of the moon,
I shall punish you!

英語でもセリフ独特の雰囲気がうまく出ていますね。日常生活で「おしおきよ!」とはなかなか言いませんが、I shall punish you!もそう使うことはないでしょう。そこをあえて使えればかなりのアニメ上級者です。in the name of ~(~の名の下に)は知っておいて損はないでしょう。loveやfreedomなどの語とも相性がいいです。これがあれば『金田一少年の事件簿』のセリフも言えます。

In the name of my grandpa!
ジッチャンの名にかけて!

『ONE PIECE』(尾田栄一郎 原作)

・・・・・・長い間!!!
くそお世話になりました!!!
この御恩は一生・・・!!!
忘れません!!!!

All these years ...
I lived under your crap-roof!!!
I owe you my life!!!
I’ll never forget you!!!!

船のコックであるサンジが仲間になる際、自分がいた海上レストランのオーナーに言ったセリフ。キャラクター独自の癖の強い言い方ですが、気持ちの強さが伝わってくるセリフです。I owe you ~は「あなたに~の借りがある」という表現で、日常でもよく使います。ここではそこをlifeとすることで、「命の借りがある」と強く感謝の気持ちを表しています。1杯おごってもらって、今度お返ししたいときは、

I owe you a drink.
1杯借りがある。

『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦 原作)

さすがディオ!
おれたちにできない事を
平然とやってのけるッ
そこにシビれる!
あこがれるゥ!

Wow, Dio!
He does something
we never could,
without even blinking!
What a guy!

少年時代の悪のカリスマ、ディオの取り巻きのセリフです。「平然と」の部分をwithout even blinking(まばたきもせずに)というのが英語らしい。「恐怖心なしに」というニュアンスが強い表現です。

I can do that without even blinking.
そんなの全然怖くないよ。

without even blinkingの代わりにin a breeze(直訳すると「そよ風の中で」)を使うと、「余裕で」という感じになります。

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年8月号特集の内容を再構成したものです。

リチャード川口(りちゃーど・かわぐち)
リチャード川口(りちゃーど・かわぐち)

カナダ生まれ、オーストラリア、アメリカ、日本育ち。RK English School 校長。産業能率大学客員教授。iU情報経営イノベーション専門職大学教授。自身の学校の運営をはじめ、さまざまな教育機関とのコラボを通じて英語学習に新しい風を起こす。ポップで実用的なスタイルにファンが多い。『バンクーバー 発音の鬼が日本人のためにまとめた ネイティブ発音のコツ33』(明日香出版社)『TOEIC(R) L&Rテスト 単語王』(アルク)など著書多数。

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