「性の多様性」は英語でなんて言う?地銀や信金の住宅ローンでLGBT対応広がる

ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!

今回のニュース

性的マイノリティのカップルに対して、住宅ローンを提供する地銀や信金が増えているというニュースです。自治体が同性カップルを公的に認める動きが広がっているのに応える面もあるようです。

More regional and shinkin banks offer mortgage loans to LGBT individuals

地銀や信金、住宅ローンでLGBT対応広がる

2021年4月28日に配信されました。

まずは聞いてみよう!

音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。

※ノーマルスピード(1倍速)の音声です

理解度をチェック!

ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。

What do same-sex partners need in order to qualify for screening for a loan?

(A) A partner of the opposite sex.

(B) Two annual incomes.

(C) A certificate of partnership .

詳細を聞き取ろう

今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。

スクリプト

More regional and shinkin banks offer mortgage loans to LGBT individuals

Making mortgage loans available to LGBT (sexual minority) couples is a growing trend among regional and shinkin banks across Japan. The number of local governments adopting partnership systems officially recognizing same-sex couples is gradually increasing, as they respond to sexual diversity with a financial approach . This could also be effective in cultivating customers there has traditionally been little contact with .

In late March, Hiroshima Bank began offering mortgage loans to LGBT individuals. The bank allowed two same-sex partners to combine their annual incomes for screening. Certificates issued by the local government must be submitted. In April, Kyoto Shinkin Bank also started offering housing loans for LGBT and common -law couples. In Kyoto Prefecture , the cities of Kyoto and Kameoka have begun issuing certificates of partnership , in response to such trends.

Results of an online survey released by Dentsu on the 8th indicate that overall, 8.9% of the people fall into the category of sexual minority. But seeing how regional financial institutions are leading the way in accommodating LGBT individuals, it is safe to say that there is still much demand to be tapped.

翻訳

地銀や信金、住宅ローンでLGBT対応広がる

全国の地銀や信用金庫で、LGBT(性的少数者)のカップルが住宅ローンを利用できるようにする動きが広がっている。同性カップルを公的に認めるパートナーシップ制度を導入する自治体が徐々に増えており、金融面で性の多様性に応える。従来は接点が少なかった顧客を開拓する効果もありそうだ。

広島銀行は3月下旬、LGBT向け住宅ローンの取り扱いを始めた。同性のパートナーが2人分の年収を合算して 審査 を受けられる「収入合算」を認めた。自治体が発行する証明書類の 提出 が必要になる。京都信用金庫も4月、LGBTや事実婚のカップル向けの住宅ローンを扱い始めた。京都府内では京都市や亀岡市がパートナーシップの証明書の発行を始めており、こうした動きに対応する。

電通が8日公表したインターネット調査結果では、性的少数者に当てはまる人の 割合 は全体の8.9%に上る。ただ、LGBT対応で先行する地域金融機関の取り扱い状況をみると、需要の掘り起こしはこれからと言える。

覚えておきたい単語リスト

ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がよいものをまとめました。1つずつ、意味を確認してください。

  • mortgage loan: 住宅ローン
  • sexual minority: 性的少数者
  • partnership system: パートナーシップ制度
  • officially recognize : 公的に認める
  • same-sex: 同性の
  • sexual diversity : 性の多様性
  • cultivate : 人と知り合いになる、耕す、育てる
  • traditionally: 従来、慣例上
  • annual income: 年収
  • certificate : 証明書、認可書
  • common -law: 慣習上の
  • fall into: ~に該当する
  • lead the way: 先導する
  • accommodate : (人に)必要なものを提供する
  • tap: 活用する、開発する

ニュースのポイント

LGBTのカップルが住宅ローンを利用できるようにする地銀や信金が増えているというニュース。第2文が少々複雑です。前半の節の骨組みだけを取り出すとThe number is gradually increasing.という至ってシンプルな文なのですが、主語にいろいろと説明が続いています。話題になっているのは local governments(自治体)の数なのですが、それにadopting partnership systemsという説明が続きます。 local governmentsとadopting 、 partnership systemsの間には主語・動詞・目的語の関係があります。さらに、 partnership systemsを officially recognizing same-sex couplesが説明していて、ここにも主語・動詞・目的語の関係が成り立っています。

第1段落第3文も紛らわしいと感じるかも知れません。customersの後ろには関係代名詞が省略されています。there has traditionally been little contact with が続いていて「これまで伝統的にあまり接点がなかった顧客」という意味になっています。その前の effective in cultivating customersのinは「~の点において」という意味合いでよく用いられます。

第2段落では、広島銀行と京都信金の 具体的な 例が紹介されています。京都信金はLGBTだけでなく内縁関係のご夫婦( common -law couple)にもローンを提供しているようですね。

第3段落の最後の文のseeingからindividualsまでは、その後に続く主節の背景にある状況を説明する分詞構文。この形はちょっとした補足情報を追加するのに便利で、よく使われます。

今週のキーワード

accommodate (人に)必要なものを提供する
「人のニーズや要求に応える」という意味で使われている accommodate は「収容する、調整する」などの意味もある、とても便利な動詞。(例)The room accommodates 30 guests.(その部屋は30人を収容できる)

クイズの正解">クイズの正解

(C)

いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週月曜日の 更新 をお楽しみに!

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天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE

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