英語に伸び悩む中上級者には「隅から隅まで完璧に聞き取る【標的リスニング】」がおすすめ!

ヒアリングマラソン

読解問題よりも、リスニング問題に苦手意識をもつ人は少なくありません。単語力や文法知識を強化すれば比較的順調に伸びやすい読解に比べると、リスニングはどう勉強するのが効果的かわからないという悩みも多そうです。アルクの英語リスニング教材「1000時間ヒアリングマラソン」でコーチを務め、Q-Leap株式会社の代表取締役社長でもある浅場眞紀子さんに、リスニングの勉強法について話を聞きました。

ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部

浅場眞紀子
コロンビア大学ティーチャーズカレッジ英語教授法(TESOL) 修士号取得。米穀物メジャーCargill、石油メジャーBPの外資2社に計10年トレーダーとして勤務。その間ChicagoとNYに3年駐在。 現在企業のエクゼクティブ担当として数多くのプライベートレッスンやセミナーを手がけている。2014年ビジネス英語研修会社Q-Leap株式会社を設立。『話せる英語ドリル300文』(アルク)など英語学習に関する著書多数。

「あの人の英語は早口過ぎて・・・」「アクセントの訛りが強くて・・・」「あまり知らない話題だったから・・・」──。

英会話の中で、相手が話している内容をあまり理解できなかった際に、ついつい上のようなセリフを呟いてしまうこともあるのではないでしょうか。確かにネイティブスピーカーが話す英語はスピードが速く、また欧米以外の出身の方の話す英語のアクセントが聞き慣れないということはありがちです。時には理解が出来なかったことを、話し手側の問題として考えたくなってしまう場合もあるかもしれません。

しかし、「リスニング能力は聞き手側の責任」と捉えて、日頃から地味にコツコツと鍛えて力をつけておくべきだというのが、浅場さんの考えです。アメリカの企業で実際に働いて、「やはり仕事で英語を使う場合、なんとなくの理解では駄目だ」という意識を持つようになったと言います。

「私は当時、新卒でアメリカの企業で働き始めたのですが、その職場では穀物の取引を担当していました。取引単位はとても大きかったので、数字の一つ、小数点以下の位であったとしても、絶対に間違えられません。そんな現場で仕事を始めたわけです。担当がそれぞれ異なるため、先輩に任せるわけにもいかず、頼れるのは本当に自分の耳だけでした。自分のデスクの周りが騒がしいときなどには、電話口の相手の話を1語でも聞き洩らしてはならないと、机の下に入り込んでまで、必死に聞き取っていたのをよく覚えています(笑)」

日本で英語を学習している立場からすると、このようなシビアな環境は、非常に高度で特殊なことを求められる別世界の話のように感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、一言一句聞き取って理解することが大事なのは、必ずしも一部の人にだけ求められるものとは限りません。浅場さんは、次のように問いかけます。

「例えば、CanとCan'tの区別は、リーディングであれば英語初学者であっても簡単に理解することができますが、リスニングとなると果たしてどうでしょうか?」

一見すると非常に基礎的なCanとCan'tの区別でも、きちんと聞き取れているかと問われると、急に自信がなくなってしまう人も多いのではないでしょうか。こんな単純なことも自信が持てないでいるのは、普段から「隅から隅まで完璧を目指して聞き取ろう」という、リスニングに対する意識が足りていないからかもしれません。

「仕事で英語を使う場合、相手の言っていることを正確に理解せずに曖昧な返答をしてしまうと、信頼を失いかねません。英語を習いたての初級者であればもっと簡単な目標にしてもよいと思いますが、点数に伸び悩む中級者から抜け出して、TOEICでもハイスコアを取ろうと考える人であるならば、隅から隅まで完璧に聞き取ることを目指して損はないと思います」

「隅から隅まで聞き取れる」とはどういうことか?

では、中級者以上が目指すべき「隅から隅まで聞き取れている状態」とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。

「まずは語彙がわかるということはもちろんですし、リンキングであったり弱音化といった、英語で頻繁に起こる音声変化についての理解も必須です。しかしそれだけではなく、是非とも意識してほしいのが、構文をきちんと耳で理解できているかということです。リスニングで伸び悩んでいる人に多く見られるのは、単語だけを聞き取ることに必死になっていて、構文を認知できていないというパターンです。どれだけ単語が聞き取れていても、それでは全体の意味を把握することはできません」

90パーセント以上の単語を聞き取れていたとしても、構文がわかっていなければ、文章の意味を耳で理解できるようにはなりません。「修飾語」がどこに掛かっているのか、従属節と主節の関係はどうなっているのかなどを、まずは理解しないといけません。「隅から隅まで聞き取れる」というのは、このような構文についての理解も含みます。単純に100パーセント単語をすべて聞き取れるということではないのです。

リスニングにおいて構文がわかっているということは、「こういう風に構文が始まったら、続きはこうなるはずだ」という構文予測ができるようになることです。短いセンテンスの聞き取りであれば苦労はないですが、10分以上続くスピーチの聞き取りのような場合は、意味を理解して、文脈を把握しながら、前に聞いた情報をどんどん処理していかねばなりません。このような場合、「仮定法過去だったら、続きの展開はこういう言い回しになるだろう」というように、構文の予測をしながら、文章の前後の関係性を理解していく必要があるのです。

「英語のストーリーを聞いた場合に、なんとなくではなくきちんと内容を追えていれば、後から日本語で物語を再現できるはずなのですが、これができないという人が実は意外と多いのです。こういう問題を解決するためには、まずは隅から隅まで完璧を目指して英語を聞き取ろうとするトレーニングが非常に重要なのです」

リスニングにはどんな学習法が効果的か?

リーディングやライティングなどと比べた際に、リスニングに特徴的なのはタイムプレッシャーが非常にシビアだということです。リーディングであれば、当然ながら自分のペースを守ることができるので、認知処理もその分スムーズにいきやすいですが、リスニングではそうはいきません。

英語学習者向けの教材や資格試験用の問題などでは、ゆっくりなスピードに音声が調整されていることもありますが、リアルな会話でのスピードは容赦なく速いこともあります。だからこそ普段からリスニングにおいては「他人のペースに合わせた」学習が必要になってくると浅場さんは述べます。

「リスニング能力は聞き手側の責任だ、と私が言う意味は、やはりリスニングは他人のペースに合わせて理解せざるを得ない部分がどうしてもあるからです。英会話の教室の外に飛び出すならば、自分の英語力のことなどお構いなしに話す人が必ず現れますから(笑)。そういう場面では、自分のペースだけで練習していても、通用はしません。だとしたら、リアルな英語の会話のスピードを想定して、普段からトレーニングをするべきです。そして、その時に重要になってくるのが、ボトムアップ型のトレーニングなのです」

一般的にリスニングには、ボトムアップ型とトップダウン型があると言われています。トップダウン型のリスニングとは、相手の話すことの大まかなコンテクストがわかっている場合のリスニングです。例えば、ミーティングの内容がある程度決まっていて、相手の立場や自分の仕事の内容が前提として定まっている場合には、相手が話している内容を、コンテクストから演繹的に理解することができます。

これに対してボトムアップ型のリスニングというのは、音を聞き取って、構文を理解し、相手が話している意味へと到達する場合のリスニングです。自分の前提知識が乏しかったり、あまり興味がなかったりする分野の話題の場合には、相手の一語一語を注意深く聞き取って、意味を把握していかなければなりません。

「もちろんリスニングには、ボトムアップとトップダウンの要素どちらもあるべきですし、それが自然です。ただ、ボトムアップ型の能力が極端に低い人のリスニングは、場当たり的になりがちです。また議論が想定外の内容に及んだときに、果たしてきちんと対応できるのかという問題もあります。自分の予想外の事態が起きて困ったことになった場合は、大抵ボトムアップ型の能力が求められます。まずは、ボトムアップ型のリスニングを強化することが、ベースを鍛えるという意味でも重要です」

仮にTOEICのリスニング問題に正解したとしても、必ずしも現実の会話で同じ内容を理解できるとは限りません。なぜなら、ただ漫然と与えられた選択肢から推測して回答している可能性もあるからです。当然ながら、現実の世界で選択肢が与えられることはありません。

そんな時に効果的な学習がディクテーションです。ディクテーションは、自分がどの程度の単語を聞き取れているかを理解するだけに留まりません。自分が書きとった文章が、文法的あるいは語法的に正しいのかをチェックすることで、自分の耳の弱点がわかってきます。そして文法的な推測による気付きを繰り返すことよって、音声的には非常に弱い発音でも、徐々に聞こえるようになってくるのです。

浅場さんがコーチを務める「標的リスニング」とは?

また、アルクの英会話教材「1000時間ヒアリングマラソン」で浅場さんがご担当されている、「標的(ターゲット)リスニング」も、真に「聞ける」を耳をとことん追求するためには是非お薦めです。

「標的リスニング」とは、リスニングの学習では珍しく「構文予測」にフォーカスした新しい学習法です。ネイティブスピーカーにとっては当たり前でも、学習者にとっては聞き取ることが難しい複雑な構文の聞き取り練習を行うことで、ボトムアップ型のリスニング力を養っていきます。

ヒアリングマラソン

例えば、単純で短い文であれば音声を聞きながら意味処理することができるけれど、関係詞を使った長い修飾や説明が加えられると、意味が理解できなくなってしまう経験はありませんか?このように構文を耳で瞬時に理解できないと、文章全体の理解も曖昧になってしまいます。

構文にフォーカスして、意味のかたまりごとに頭から理解できることを目指し、「何となくわかる」状態から、「隅から隅まで聞き取れる」リスニング力を養うのが「標的リスニング」の特徴です。以下は、実際の「標的リスニング」の音声の一部です。関係詞を含む構文をどれくらい聞き取ることができるでしょうか?

Man: I’ve always wished / that I could speak another language. //

Woman: Well, you can start learning one / anytime you want, you know. //

M :You’re a polyglot, / so it’s easy for you to say that. //Many monolingual American adults like me / who have tried and failed to learn a foreign language /feel that our moment has passed already. // I really can’t imagine myself /acquiring a new language at my age. // In fact, / my cognitive ability / already seems to be in decline. //

W : I see what you’re saying, / but you know research proves otherwise. //

M : What do you mean? //

W : Actually, / the process of learning an additional language itself / helps develop the brain’s cognitive functions. // In other words, / you won’t get better at acquiring a language / unless you start learning one. //

M :Interesting. // Then, / I guess it’s better late than never! //

「標的リスニングでは、今までの私の指導経験の中から、学習者が間違いやすい部分だけを選りすぐった、頻出の構文を盛り込んでいます。またトピックについても、現代のビジネスパーソンがキャッチアップすべき最先端の話題を厳選しています。さらにこだわった点としては、ネイティブの会話スピードを皆さんに体験していただくために、ナレーターさんには学習素材ということを前提にせずに、音声を吹き込んでもらっています」

語彙レベルや構文レベルについては、中上級者にも少し難しいレベルで設定してありますが、必ず実力が付くように構成されています。浅場さんのリスニング指導の集大成とも言える「標的リスニング」。ぜひとも皆さんチャレンジしてみてくださいね!

1000時間ヒアリングマラソン

1000時間ヒアリングマラソン

1982年に開講して以来、アルク人気No.1の通信講座。生きた英語を聞き取り、多彩なトレーニングによって「本物の英語力」を身に付ける教材です。ネイティブスピーカーが使うリアルな会話やニュース英語、映画のセリフなどさまざまなジャンルの素材がたくさん収録されているだけでなく、トレーニングで力が付くようしっかり導き、細やかなカリキュラムに沿って学習を進めます。

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