英会話や英語思考に欠かせない「パラフレーズ」とは?【同時通訳者の練習法】

日本にいながらにして使える英語を身に付けようとすると直面するさまざまな悩み。この連載「通訳者の英語学習解決室」では、短大卒業時に英検4級、TOEIC 280点ながら、そこから3年半で通訳者デビューした「国産同時通訳者」、小熊弥生さんが、今日からできる解決法を教えます。今回は、年末スペシャルとして、重要なのに意外と見落とされがちな「パラフレーズ」の練習法です。

パラフレーズは4技能全てで大切!

前回 は、英語が相手に通じている かどうか を確認する方法として、「パラフレーズ」(言い換え)を紹介しました。

▼前回はこちら↓

gotcha.alc.co.jp

自分が言ったことを相手がパラフレーズしてくれたら、それは自分が言いたいことのナチュラルな英語表現です。その表現を すぐに 使ってみたり録音やメモをしたりすれば、スピーキングに生かすことができます。

また、パラフレーズは、自分が相手の話を理解した かどうか を相手に伝えるときにも、役立ちます。

さらに、 同じ語の繰り返しを避ける言語である英語 では、パラフレーズに強くなっておくと、リスニングやリーディング、ライティングの力を磨くことにもつながります。

そして、 パラフレーズは、日本語を介さずに英語で考えて英語で表現することのトレーニング にもなります。

そこで、今回はパラフレーズの練習法を紹介します。

パラフレーズ練習の3段階

パラフレーズは段階に練習しましょう。

1. 単語レベルの言い換え
  1. 表現レベルの言い換え

  2. 構文レベルの言い換え

単語レベルの言い換え

まずは、初心者向けです。この英文を使って練習しましょう。getを別の単語に置き換えてみてください。

I would like to get a taxi.

私はタクシーを1台つかまえたい。

例えば、次のような動詞を使うことができます。
I would like to take a taxi.

I would like to grab a taxi.

I would like to call a taxi.

getを、 takegrabcall で言い換えています。

もちろん、単語ごとのニュアンスの違いを理解することも中上級者になったら重要ですが、まずは違う言い方があることを押さえるだけで十分です。

なお、単語の意味、ニュアンスとしては、getは「得る」、 take は「取る」、 grab は「つかみ取る」、 call は「呼ぶ」です。

このように、パラフレーズは、 類義語を意識 することから始まります。

これができるようになると、英語だけで考えて話すこともできるようになりますから、 「英語脳」の基本の基 とも言えるのです。

類義語を探すには、紙の類義語辞典を使うのも 有効 ですし、オンラインの Thesaurus (類義語辞典)も活用すると格段にパラフレーズ力が上がります。 すなわち 、英語での 表現力が上がる のです。

表現レベルの言い換え

次に、単語レベルよりやや難易度が上がる、表現レベルの言い換えについて説明します。次の英文で考えてみましょう。

I would like to make a reservation at a restaurant.

私はレストランの予約をしたいです。

would likeをwantにしてみます。
I want to make a reservation at a restaurant.
make a reservation をbook a tableとすることもできます。
I want to book a table at a restaurant.
reserve seatsという言い方もありますね。
I want to reserve seats at a restaurant.
こうして見ると分かるように、実は表現レベルの言い換えも、単語レベルの言い換えと同じように、類義語辞典を使って練習することが可能です。

構文レベルの言い換え

最後は、最もレベルが高い、構文を言い換えるパラフレーズです。次の英文のように行います。

What I want is to get a taxi.(私がしたいのはタクシーを1台つかまえることです)

Getting a taxi is what I want.(タクシーを1台つかまえることが、私がしたいことです)

A taxi is what I want to get.(タクシー1台が、私がつかまえたいものです)

こんな感じで構文ごと変えていきます。

これは、私が特に同時通訳学校に通っていたときに、集中的に練習した内容です。

構文を変えるというとちょっと分かりにくいと思いますが、要は、どの単語から始めても、同じことを表す英文を作れるように訓練するということです。

練習のコツは、英文を読んでいるときに、 表現を「盗む」 というのが一番効果的です。 ただし 、普通に英文を読んでしまうと、情報は右から左に流れてしまいます。読みながら、「あ、この表現使える。次回、こんなことが言いたいときに使おう」などと考えて、 表現を仕入れ ましょう。そうすると、仕入れた情報を重要だと認識できて、確実に覚えられます。その表現を実際に使えば、特に復習をしなくても、情報を効率よく記憶に残せます。

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文:小熊弥生

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株式会社ブリッジインターナショナル代表。TOEIC 280点から、独自の勉強法で半年後にTOEIC 805点を 取得 。短大卒業から3年半で通訳者デビュー。現在は自身の経験をベースにした英語学習サービスを 展開 。ひとりひとりの目的に合った効果的な学習プログラム作りを指南し、のべ1000人以上の英語力アップに貢献している。

速ぺらEnglish :著者がTOEIC 280点から各国首脳の同時通訳を担当するまでに実践した英語勉強法を伝授。リスニング力とスピーキング力アップに特化したプログラムです。

編集:GOTCHA!編集部/写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)

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