「ルーティン学習」は、英語をモノにするために欠かせないことの1つ。その具体的な取り組み方について、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチを務める松岡昇さんにお教えいただきます。
この連載の第1回では「3年以内に1000時間の練習」の話をしました。この過酷な練習を乗り切るために、連載第2回では楽しい練習にする方策を紹介しました。そして、第3回では大量学習のための「8つの習慣」についてお話ししました。
さて今回は、第3回の「8つの習慣」の最初に紹介した、コア教材による「ルーティン学習」の具体的な取り組み方についてお話しします。
題して「松岡式12ステップ英語独習法」です。
準備する練習材料
音声、スクリプト、対訳の3点セット
音声、スクリプト、対訳の3つがそろっている教材であればどんなものでも、「12ステップ」に従って独習できます。ひとつの素材をリスニングから始め、語彙・表現のビルドアップ、そしてスピーキングへと展開します。
例えば、コア教材が月刊『ENGLISH JOURNAL』(アルク)だとします。そのなかから、比較的聞きやすいコーナー「Tea Time Talk」などを選びます。これは音声で楽しめる英語エッセイの連載ですが、その一部分をこの練習の材料にします(1分以内の長さのものがよいでしょう)。
英語耳を作る
STEP 1:スケッチング
スクリプトを見ずに、音声を聞きながら話の内容をスケッチします(英語、カタカナ、記号などでメモします)。
音声を止めずにこれを3回繰り返し行い、その後、メモを見ながらどんな内容だったかを、想像上の相手に日本語(または英語)で伝えます。このとき、必ず声に出すようにします。
STEP 2:ディクテーション
今度は、音声を聞きながらディクテーション(書き取り)を行います。このとき、音声は1文または分節ごとに止めます。
全体の音声を3~5回ほど繰り返して聞き、ディクテーションの完成度を上げていきます。すべて書き取れていなくてもオーケーです。
STEP 3:弱点のチェック
ディクテーションで書き取ったものとスクリプトを照らし合わせながら、聞き取れなかった箇所や間違えた箇所を、スクリプトの中に蛍光ペンでハイライトします。
最後に、音声を聞きながらハイライトした箇所を耳で確認します。
語彙力・表現力を付ける
STEP 4:語句のチェック
今度は、スクリプトと対訳に目を通しながら、未知の語句や慣れ親しんでいない語彙・表現をチェックします。
スクリプトの英語と対訳の日本語の両方に、赤ペンで丸をつけます。
STEP 5:語句の暗記
STEP 4で赤丸を付けたテキストを使い、①「英語→日本語」(英語を見てすぐに日本語を言う)練習をします。
①がスムーズにできるようになったら、今度は、②「日本語→英語」(日本語を見てすぐに英語を言う)練習をします。
どちらも、スムーズにできるようになるまで繰り返します。
英語口を作る
STEP 6:リーディング
今度は音読です。1文ごと意味を確認しながら、スクリプトを大きな声ではっきりと音読します。2、3回繰り返します。
STEP 7:リード・アンド・ルックアップ
1文ごとにスクリプトを見て読み(Read)、顔を上げて(Look up)同じ文をもう1度発音します。全体を2、3回繰り返します。
《オプション》これを発展させて、「Read & Look up & Copy」という練習もあります。これはLook up の後、その文を書きます(Copy)。冠詞や単数・複数、前置詞などを確認する有効な練習です。
STEP 8:シャドーイング
スクリプトを見ずに、音声の後を追いかけるように英文を発音します。
音声を止めることはしません。オウム返しにならないよう、内容をかみしめながら発音します。全体を2、3回繰り返します。
シャドーイングは、音声(発音、イントネーション)の訓練に加え、日本語を介在しないで英語を理解する「英語脳」を養成します。
STEP 9:リピーティング
スクリプトを見ずに、音声のポーズボタンを押しながら1文ずつリピートします。全体を2回ほど繰り返します。
STEP 10:口頭英訳
対訳を見ながら口頭で英訳します。2回ほど繰り返します。
STEP 11:口頭要約
音声をもう1度聞き、その後、聞いた内容を要約し、英語で想像上の相手に伝えます。出てきた語句や表現をうまくつなぎ合わせる要領で行います。
STEP 12:発言
想像上の相手に、聞いた内容に関連することを自由に話します。このとき、ここで学んだ語句や表現を積極的に使います。
以上の12ステップはフルコースメニューです。自分の弱点などに合わせて、適宜STEPを選択して練習してもかまいません。
予告:次回は「ディクテーションの効用:音の変化に慣れる!」につてお話しします。
1000時間ヒアリングマラソン
1982年に開講して以来、アルク人気No.1の通信講座。生きた英語を聞き取り、多彩なトレーニングによって「本物の英語力」を身に付ける教材です。ネイティブスピーカーが使うリアルな会話やニュース英語、映画のセリフなどさまざまなジャンルの素材がたくさん収録されているだけでなく、トレーニングで力が付くようしっかり導き、細やかなカリキュラムに沿って学習を進めます。
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松岡 昇(まつおかのぼる)
青山学院大学大学院国際政治経済研究科修了。専門は、国際コミュニケーション、社会言語学。現在、獨協大学、立教大学及び大手企業を中心に講義やセミナーを務める超人気講師。 NPOグローバルヒューマンイノベーション協会理事。アルクの通信講座「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ。著書も多数ある。