
仕事で英語を使う人なら押さえておきたいのが、自分の意図を伝える「機能表現」。今回は、「相手の間違いを正す」表現です。覚えておけば、仕事がぐっとスムーズに。書籍 『相手と場面で使い分ける 英語表現ハンドブック』 から紹介します。
ざっくり言うと
相手の間違いを 指摘 するのは、日本語でもドキドキしますね。特に相手が上の立場の場合は避けたくなることも。
そんな難しいシーンだからこそ、自分の意図を的確に伝える「機能表現」が効果を発揮します。しっかり覚えておきましょう。言い方のトーンが強い・きついほど丁寧度が低くなります。
相手との距離を確認しよう
大事なのは相手との距離感です。親しい間柄の場合と、付き合いの浅い相手や上司に対する場合とではどう異なるか、こちらの図を見て、考えてみましょう。
あなたと相手との、心理的、社会的距離によって、使う表現が変わってきます 。相手の間違いを正すという状況ではなおさら。相手との距離感をしっかりつかんで、状況に合った英語表現を使いたいものです。
カジュアル:相手は仲のいい友だち
図の左上Ⅰの領域。心理的にも社会的にも近い場合です。
相手:When I was traveling in northen Germany, I stayed in Munich for a week.いきなり“ I thought ” と言わず、“ Are you sure? “(確か?)と聞いてから正すと、トーンが和らぎます。無難かつ重宝な表現です。(ドイツ北部を旅行したとき、ミュンヘンに1週間滞在したんだ。)
あなた: Are you sure? I thought Munich was in the south..
(確か?ミュンヘンは南部だと思ったけど。)
カジュアル:相手は見知らぬ人
次は図の左下、Ⅲの領域。「社会的には近いけれど、心理的には遠い」という関係です。
相手:You're in real estate, aren't you?この “ Well , actually , ” も万能表現です。よく知らない人が相手なので、やんわりと間違いを正す表現が使われています。(あなたは不動産屋ですよね?)
あなた: Well , actually , I'm a land surveyor.
(いや、実は、測量技師です。)
ややフォーマル:相手は長年の付き合いで信頼する部下
図の右上、Ⅱの領域。長年付き合いがあり「心理的には近い」のですが、職場での上下関係があり「社会的には遠い」という関係です。
相手:Do you know that it takes about three hours to get from Bristol to Heathrow Airport?親しい部下が相手なので、やわらかい表現を使っています。たとえ、相手が明らかに間違っていたとしても、“ I don't think that’s correct .”(それは正しいとは思わないな。)のように言います。“ That's wrong.”(それは間違いだ。)のように、頭ごなしに否定するのはNGです。(ブリストルからヒースロー空港まで3時間くらいかかるってご存じですか?)
あなた: I'm sorry, but I think you're mistaken. It only takes an hour and a half.
(悪いけど、間違っていると思うな。ほんの1時間半だよ。)
よりフォーマル:相手は着任したばかりの上司
図の右下、Ⅳの領域。社会的にも心理的にも距離がある関係です。どんな表現を使うのでしょうか。
相手:You don't seem to enjoy socializing with other employees. If you did, you'd have come to the company party.心理的に遠い相手なので、相手の間違いをずばり 指摘 する表現が使われることもありますが、やはり上司と部下という関係から気を使っています。(君は付き合いが苦手みたいだね。そうでなかったら、この前の会社のパーティーに来たところだろう。)
あなた: May I point out that I missed the party because I was sick?
(お言葉ですが、パーティーに行けなかったのは病気だったからなんです。)
“ I don't mean to argue, but ...” (口論するつもりではありませんが…)という表現もよく使われます。
まとめ
相手の間違いを正すのは、なかなか難しいこと。でも、それをしっかり伝えることも、コミュニケーションの上ではとても大切です。
そんな状況になったときには、今回紹介した表現を使って、自分の意図をしっかり伝えてくださいね。
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