ちょっと気になる英単語を毎回ピックアップしてお届けします。今回取り上げるのは「canon event」。まるで映画や小説のワンシーンのように、「あの瞬間が今の自分を作った」と思える出来事――そんな“人生の物語性”を感じさせる言葉です。
「避けられないあの瞬間」に名前がついた?
突然の失恋。初めての大失敗。
あるいは、思い返すと笑ってしまう黒歴史。
誰にも“その後の人生に影響した瞬間”があるものですが、最近ではそんな出来事をまとめてcanon eventと呼ぶようになりました。
- canon event
もともとは「canon(正典・公式設定)」という言葉に由来し、人生の物語における“必然のイベント”を表すスラングとして使われています。
Merriam-Webster ではこのように説明されています:
A formative life experience; a relatable episode of good fortune or hardship
人生を形作る出来事;誰もが共感できる幸運または困難のエピソード
次のようにも説明されています。
A canon event is an experience in a person’s life that comes to shape or define who they are
canon eventとは、人の人生を形作ったり、その人らしさを定義づけたりする経験である。
出典:canon event – Merriam-Webster Slang Dictionary, Merriam-Webster
日常で起こりがちな“ちょっと痛い”“少し恥ずかしい”出来事にも、「これも自分のcanon eventか・・・」と名前をつけてしまう軽いユーモアが、Z世代を中心に人気を集めています。
canon eventの使われ方
That breakup was definitely my canon event.
(あの失恋、完全に私のcanon eventだった)Watching him make that mistake ... it’s his canon event for sure.
(あの失敗、彼のcanon event以外の何物でもない)This is embarrassing, but maybe it’s just a canon event in my storyline.
(恥ずかしいけど、これも私の物語の canon event ってことにしよう)
“悲劇”というほどでもない、でもどこか人生の節目のように感じる瞬間――それを前向きに受け止めるための、ちょっとしたフレーズとして使われています。
日本語に訳すとしたら?
文脈によってニュアンスが変わるため、日本語でぴったりの単語はありませんが、
- 「人生のイベント」
- 「転機になった出来事」
- 「避けて通れない瞬間」
- 「物語上の必須イベント」
などが意味として近いでしょう。
「なんでこんなことに・・・」と思う出来事も、「まあ、これもcanon eventか」と笑って受け止められるかもしれません。
