TOEIC対策のカリスマ講師、濵﨑潤之輔さんの連載「明日の風を今日吹かせよう」。第2回では、ランニングが苦手だったハマーさんがランニングを続けられるようになった理由について伺います。「実践こそが最も貴重な宝である」。その真意はなんでしょうか?
ランニング嫌いの僕が、ランニングを始めたわけ
今回は、「やってみないと分からないことは多い」という話をしたいと思います。
英語学習とは関係のないトレーニングの話ですが、僕は週に3、4日はジムに通っていて、有酸素運動も全部ジムの中でやっていました。ジムのトレッドミルで走るんです。例えば30分。つい数カ月前までは、とにかく全ての運動をジムの中で完結させていました。
実は、TOEICの勉強をしてる先生方とかで、ランニングが好きな方は多いんです。毎日走ってるような人たちが結構います。一方、僕は走るのはとても嫌いで、できれば避けたい。筋トレだけでいい。でも、有酸素運動をやらないと、持久力などが落ちていってしまいます。健康診断に行ったときに、オプションで血管年齢や肺活量を検査してもらったら、肺活量が自分の実際の年齢より上ということが分かり、かなりのショックを受けたのです。
いつもジムのトレッドミルで走ってはいましたが、あれ、実は楽ができるんです。今日は疲れたと思ったら、ゆっくり歩いていればいいわけです。僕の場合は、大体歩いて終わっていました。筋トレでとても疲れるから、走ったと言いつつ、そんなに走っていないんです。これではいけないということで、外で実際に走ろうと決心をしました。
それで、ウェブでランニングについていろいろ調べてみたら、初心者が外でランニングを始めるのにぴったりの一冊がありました。この本には、初心者がフルマラソンを走るまでに何をすればいいかが全部書いてあります。
この本のアドバイスに従って、ウェアや靴を選んで、取りあえず1日30分、5キロ程度の距離を毎日走るようになりました。最初はどこを走ればいいか分からず、適当に走っていました。隣の駅まで行って戻ってくるとか。それで大体30分です。いろいろな景色を見ることができたし、近所なのに知らなかった場所も結構あって、楽しかったです。
続けたことで、気付いたことがあった
ある日、天気が怪しいときがありました。30分走ったら途中で雨に降られるかも、という感じでした。それで、遠出はせずに近所の川に掛かる二つの橋を利用して、川の周りをぐるぐる回ってみたんです。近所なのでいつでも家に帰れますから。
そのときに気付いたことがありました。近所の平たんな所をぐるぐる走っていると、知らない場所の景色を見ながら、道を選びながら走っていたときと比べて、心拍数もそれほど上がることなく、同じ時間でより長い距離を走ることができたんです。当たり前と言えば当たり前です。よく知っている同じ場所をぐるぐる走っているだけですから、なんのストレスもない状況で走り続けることができたわけです。
同じ時間でより長い距離を、心拍数をそれほど上げずに走れるなら、自分にとっては、同じ場所をぐるぐる回る方がいいと気付くことができました。
でも、それだとどうしてもつまらなくなってしまいます。そこで、この時間にも勉強ができたらいいと思うようになったんです。それで見つけたのがこれです。
SonyのFloat Runというイヤホンで、ヘアバンドのように頭に巻いて、耳をふさがずにスピーカーがすぐ近くに浮いているような形態です。だから、スピーカーからの音が聞こえつつ、周りの音も全部聞こえる。最近、TOEIC L&Rテストの公式問題集10が出たばかりで、それを聞きながら走っても、周りの音がよく聞こえて全く危なくない。
TOEICの音声って、Part 1からPart 3までの70問が終わるくらいまでで、大体30分です。Part 3が終わるから、今日のランニングもそろそろ終わり、という感じです。とても快適かつしっかり走れて、音声もしっかり聞くことができました。
今日のハマーのコトバ
ここまで話してきたことは何かというと、全部、やってみて気付いた、ということです。
最初は体にいいからランニングをしなければと、理論的なことは何も知らずに走り始めた。走っていたら、天気が理由で近所だけを走らなければいけなくなった。やってみたらその方が体にいいと気付いた。同じ場所を走ることをより楽しむために、走りながら音声が聞けるイヤホンを見つけた。大嫌いなランニングが、毎日30分快適にできるようになった。こういったことに、全部やってみて気付けたんです。
ランニングに関する本を読んで、なるほど、面倒くさいから、たまに走ってみようか、という程度では、この毎日快適にランニングできる状況にはたどり着けなかったと思います。世の中、やってみないと分からないことだらけなのです。
これは英語学習でも同じです。本を読んで理解したつもりになっても、実践しなければ何にも気付けない。実際にやってみて、ダメだったらやめればいいだけのことです。今回の僕のランニングの話のように、嫌いだったことがひょっとしたら好きになるかもしれません。
昨日は大学の授業が夜の20時過ぎまでありました。家に帰って22時過ぎでしたが、走りに行きました。以前だったらそんなことはしませんでした。自分にとっていい習慣ができたと思います。
この連載を今読んでくれている方は、おそらく英語学習に興味があるはずです。そして、なるほどと思ってくださる方も多いと思います。でも、やってもどうせ続かないと思って結局やらない人が多い。
興味があったら自分でやってみるべきです。当たり前の話ですが、何かを続けられる人は、その何かを始めた人だけです。始めもしない人が、その先にたどり着くことはあり得ない。やってみて、自分の中の優先順位の上の方に入らなければやめればいいだけのことです。
小学生や中学生のころにマラソン大会があって、僕は本当にそれが嫌でしたが、今は自分から走りに行く。そんな信じられないことが起きます。英語学習も本を読んで理解して終わりではなく、それを使って会話をするとか、何かをやってみる。ぜひ、実践にチャレンジしていただきたいですね。
濵﨑潤之輔さんの本
濵﨑潤之輔さんの新刊!『観光客を助ける英会話』
困っている外国人観光客を手助けしよう!
困っている外国人観光客を手助けするためのシンプル英語を学ぶ本です。街中や観光地で、外国人が困っているらしい姿を見かけたことはないでしょうか。たとえば、道に迷って目的地にたどり着けない、駅構内で乗るべき電車が分からない、飲食店で日本語のメニューしか用意されておらず注文できない、など。そんな場面で、なんとか力になりたい、と思ったことがある方は少なくないはず。本書はそんな方々が対象読者です。
●英語に苦手意識があっても大丈夫
本書は、英語に苦手意識がある方、学生時代に学んで以降、ずっと英語から離れていた方などを想定して、そうした方々が無理なく使えるように、1つの文のワード数はできるだけ少なくしました。シンプル英語だから、英語が初級レベルでも学びやすく、そして忘れにくいです。
●40場面、240フレーズを収録
外国人観光客と比較的多く遭遇するであろう、駅、観光スポット、小売店、飲食店などの代表的な40場面を選び、計240のフレーズと、そのフレーズを使った対話例を収録しています。たとえば以下のようなフレーズです。
「途中まで一緒に行きましょう。」
「観光案内所で無料Wi-Fiを使えます。」
「スマホにQR コードを表示させてください。」
「食物アレルギーはありますか。」
1人ですべてを解決できなくても、一次的な対応をする場合に使える表現や、英語ができる人につないであげる際に使える表現も収録しています。付属音声で練習して、実際に街中で使ってみましょう。
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。