発音初級者必読。ナレーターの英語トレーニングって?【母音編】

英語の発音を奇麗にするために、英語ナレーターはどんなトレーニングをしているのでしょうか。日本で英語を学び、英語番組のナレーションを担当するまでになった、俳優の宮本和歌子さんにアドバイスを頂きます。

単語一つ一つを正しく発音することから始めましょう!

こんにちは、宮本和歌子です。大学卒業後、中学・高校の英語教員を経て、現在は舞台を中心に俳優として活動しています。以前、NHKワールドの番組に出演し、同時に番組のナレーションも担当させていただきました。NHKワールドは海外向けの放送局なので、番組は全て英語です。そのような番組で、帰国子女でもなく、海外居住経験もなく、ただただ日本で英語を勉強してきただけの私のような人間が、どのようにしてナレーションまで担当することになったのか、そのトレーニング法をお伝えしていきたいと思います。

ネイティブのような発音、言い方を習得する方法として、まず、一つ一つの単語を正しく発音する練習をすることが大切です。発音記号を調べて、それを正しく理解した上で、何度も発音してみるということをします。

母音の発音を覚えよう

私は新しい単語を覚える場合、必ず発音記号を書きます。特に母音は要チェック!英語の母音は日本語よりも多いので、区別するのが難しいのです。私が特に注意している、次の母音の発音記号を一緒に見ていきましょう。

/ɑ/

口を大きく開いて、喉の奥の方から「ア」と発音します。つづりが「o」で、片仮名の「オ」と発音したくなるので注意しましょう!

● concert(コンサート)
● popular(人気の)
● not(~ではない)
● box(箱)
office(事務所)

A: Do you think this concert will be popular?
B: Yes. There might not be any tickets left. Let me call the box office and ask.

A: このコンサートは人気なの?
B: そうだよ。もうチケットはほとんど残っていないかもしれないな。チケット売り場に電話して問い合わせるね。

/ʌ/

あまり口を開けずに、短くハッキリ「ア」と発音します。

● just(ちょうど)
● lunch(昼食)
● hungry(おなかがすいた)
● come(来る)

A: Peter! You called at just the right time. How about lunch together?
B: Sounds great! I’m so hungry.
A: Can you come over?

A: ピーター!いいタイミングで電話くれたね。お昼一緒に食べない?
B: 最高!とてもおなかがすいているんだよ。
A: 来られる?

/ə/

軽く曖昧に、どこにも力を入れずに「ア」と発音しましょう。

● tomorrow(明日)
at(~で)
● the(その)
● theater(劇場)
across(~を横断して)
o’clock(~時)

A: Let’s meet tomorrow at ABC Theater. It’s across the street from the station.
B: Let’s make it eleven o’clock.

A: 明日、ABC劇場でお会いしましょう。駅から見て通りの向かい側にあります。
B: それでは11時にしましょう。

/ɔː/

顎を下げ、喉の奥にを入れて「オー」と発音しましょう。

ought to do(~するのが当然である)
all(全ての)
● caught(catchの過去形)

A: You ought not to go too fast.
B: It’s all right, I’m under the speed limit.
A: Good, we don’t want to get caught speeding.

A: スピード上げ過ぎちゃだめだよ。
B: 制限速度を超えてないから大丈夫だよ。
A: 良かった、スピード違反で捕まりたくないからね。

「子音&音のつながり編」に続きます

宮本和歌子(みやもと・わかこ)
宮本和歌子(みやもと・わかこ)

大学卒業後、中学・高校の英語科教員を経て、現在は俳優として活動。2017年にNHKワールド『Japan Railway Journal』に出演。2023年2月、東京・目白「シアター風姿花伝」で上演されるミュージカル『THE HYDE』に出演。
公演HP:Actor's Training Center

宮本和歌子さんの連載

写真:山本高裕(ENGLISH JOURNAL編集部)

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2022年4月号に掲載している記事を再構成したものです。

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