外国語の勉強を目的とした留学「オペア」をご存じですか。「ベビーシッター」として働きながら外国語を学べるこの 仕組み を詳しく解説します。
オペアってどんな制度?
自宅で子どもの世話をする仕事ではじめに思い浮かぶのは「ベビーシッター」ではないでしょうか。他にも、イギリスでは「ナニー」が一般的ですね。この2つ、厳密に分けると以下のようになります。
ベビーシッター ・・・親の急用時や留守中に自宅で短時間子供の世話をする
ナニー ・・・子どもの世話だけでなく教育やしつけまでする
※国によっては チャイルドケア とも呼ばれています。
一方オペアは、フランス語で”au pair”と書き、外国語の勉強を目的とした留学スタイルの一つです。滞在先のお家でベビーシッター(ナニー)として働きながら、ホストファミリーからお給料をもらい現地の語学学校で学ぶことをいいます。呼び方は違いますが、オーストラリアやニュージーランドでは「オーペア」と呼ばれています。また、カナダなどでは「ナニー」と呼ばれることが一般的で、国によってさまざまな呼び方がありますが、ここでは「オペア」として表記します。
オペアは以下のように分類されます。
オペア ・・・滞在先の子どもの面倒をみたり、家事の手伝いをする
国ごとにオペアを行うための規定は異なりますが、例えばアメリカでオペアを 希望 する場合は2歳児未満の幼児のお世話を200時間以上経験したことがある(同居していない血縁のこどもを含む)という条件があります。
オペアを受け入れる家庭は自分の大切な子供を預けるので、なるべく経験豊富なオペアを探しています。早くオペアとして採用されるには250~450時間の保育経験が必要となるでしょう。保育士の資格などがあれば有利になりますが必須ではなく、基本的には以下の条件を満たしていれば大丈夫です。
しかし国によってはさらに必要な条件がありますので、 希望 の国が決まったら条件を再度確認しておきましょう。
・200時間以上の保育経験(証明書必要)
・18?26歳の男女
(受け入れ家庭の指定する年齢に合わせて派遣されるので30歳以上の募集もあります)
・健康であること
・子供が好きであること
・オペア留学において、明確な目的があること
・コミュニケーション可能な英語力
・高校卒業レベル以上の学歴
・犯罪歴がないこと
オペア留学先はどうやって見つけたらいいの?
オペア留学をするためには、自力でオペアのマッチングサイトなどで見つけるか、留学エージェントを通すのが一般的です。
自分で探す場合
World Au Pair in JAPAN (日本語)や Au pair.com (英語) というサイトでは、自分でオペアを探すことが可能です。
これらのサイトでは、さまざまな国の家庭からの募集とオペアをしたいと考える人を結んでくれます。オペア留学の目的や 希望 の期間、年齢、保育経験などに合うホストファミリーを見つけましょう。
エージェントを通して探す場合
留学のプロであるエージェントに紹介してもらう場合は、すでにオペアのプログラムがある場合も多いので、 安心 して行くことができるでしょう。 希望 の条件や目的にあった、ぴったりのプログラムを紹介してくれるはずですので、気になることもどんどん質問して不安をなくして出発することができます。また、現地で何かトラブルがあった場合にも相談にのってくれることが多いので、さらに 安心 です。
注意しておくべきことは、オペアは子育ての手伝いを募集しているご家族と、オペア 希望 者の条件がマッチした時にのみ 契約 が進みます。一方的な条件や 希望 では通らず、お互いの同意の元、留学生活がスタートします。もし自分の意見や外せない条件、 希望 がある場合は、必ず伝えるようにしましょう。
オペアが盛んな国は?
オーストラリア
オーストラリアでは、ワーキングホリデービザを 取得 して最長1年間現地に滞在することができます。
多民族国家の中でさまざまな人とふれあえること、また多くの観光名所と広大な自然環境のなかで生活できることがオーストラリアでオペアをする最大の魅力です。共働きの家庭が多くオペアの需要が高いため、半年から一年の長期滞在ができるホストファミリーもたくさんあります。
※ 有効 な運転免許を持っていること
ニュージーランド
オーストラリア同様、ニュージーランドもワーキングホリデービザを 取得 して最長1年間現地に滞在することができます。
ニュージーランドは質の高い育児保育と教育システムが有名です。移民制度が充実しているため、「働きながら学ぶ」という概念が定着しており、オペアをしながら英語の勉強にも集中したいという方も 安心 して行くことができます。
ニュージーランドでは、文部科学省の幼児教育カリキュラム法により、5歳以下の幼児がいる家庭には、さまざまな幼児教育プログラムが紹介されます。そのうちの一つがオペアで、月に一度、保育士がオペアのいる家庭を訪問し、児童への教育プログラムを用意してくれたり、幼児教育を伝授してくれたりします。
※ 有効 な運転免許を持っていること
カナダ
カナダもワーキングホリデーの時に 取得 するInternational Experience Canada (IEC)というビザでオペアが最長1年間可能です。
カナダは、多民族国家のためさまざまな国の文化や人々が暮らす移民を積極的に受け入れている国です。フレンドリーな人が多いので、多少の英語しか話せなくても優しく対応してくれるでしょう。
カナダでオペアをする最大の魅力は、その雄大な自然の環境。冬は 厳しい 季節ですが、雪山でスキーやスノボを楽しんだり、街中のスケートリンクでスケートを楽しんだりと、ウィンターアクティビティを楽しめるのもカナダの魅力です。
また、多くの家庭が異文化交流の体験を重視するため、オペアを募集するホストファミリーも他の国に比べて多くなっています。そのため、一年間滞在が許されるワーホリビザを利用して、複数の家庭でオペアを体験するのも良いのではないでしょうか。
広いカナダでは西にバンクーバー、東にトロントと、大都市も点在しています。せっかくカナダに1年間いられるのであれば、違う地域での生活を楽しむのもいいですね。
※ 有効 な運転免許を持っていること
独身であり子供がいないこと
場所によってはフランス語力 も必要条件です。
アメリカ
アメリカでのオペアは、政府によって公認されています。 安心 して働き、語学を学ぶことができます。また他の国と違って最大2年間、オペアとしてアメリカに滞在することができるのも、長期滞在したい人には嬉しいですよね。
年間100万円ほどのお給料ももらえ、費用を抑えたい留学 希望 者にぴったりのスタイルです。チャイルドケアがメインにはなりますが、しっかりとお休みももらえるのでメリハリが付けられるのもメリットです。
政府によって公認されていますアメリカでのオペアは、必ずエージェントを通す必要があります。日本にはオペア留学を扱っているエージェントも数多くあるので、自分に合ったエージェントを探すところから始めましょう。エージェントが開催している説明会に足を運んでみるのもいいですね。
エージェントに登録後は下記のような流れでオペア先が決まります。
①保育時間の足りない人は保育園や託児所で保育経験を積みます。
②ホストファミリーの選定
③ホストファミリーとSkypeなどによる面接
④マッチしたら渡米の準備
ホストファミリーとマッチしたら今度はオペアのビザを 取得 します。
※2歳以下の保育経験が200時間以上あること
有効 な運転免許を持っていること
独身であること
※保育経験時間以外の必要条件は必須ではありません。しかし、日本とは比べ物にならないほど国土の大きい海外でオペアをするには、生活に欠かせない車の運転が必要になります。そういった背景から免許の 有無 はホストファミリーとのマッチングの確率を大きく左右するものと考えておいた方がいいでしょう。
オペアに必要なビザは?
上にも書きましたが、日本とワーキングホリデー協定がある国は、ワーキングホリデービザを 取得 してオペアを行うことができます。申請は各国のワーキングホリデービザの 取得 方法を確認しましょう。
日本とワーキングホリデー協定がない場合、例えばアメリカでは、渡航目的によって申請しなければいけないビザが異なり、アメリカにオペアで行く場合には「J-1ビザ」が必要になります。このビザは政府の交流プログラム参加者に発給されるビザで、教育や技術、芸術などの専門分野の技術交流を主旨とするものです。
オペアはアメリカ政府公認のプログラムなので、J-1ビザを 取得 します。
ビザ 取得 には必要な書類を準備したり、面接が必要な場合もありますので早めに調べて申請するようにしましょう。
オペアをするために心がけること
オペア留学は一般的な留学とは違い、ベビーシッターという特殊な仕事をしながら語学力向上を目標とする留学です。ホストファミリーの方たちの手助けをするだけでなく、自分も勉強をしなくてはならないので、普通の留学とは精神力、忍耐力や疲労度が変わってきます。
しかし他の留学と違い恵まれた環境であることは事実です。ネイティブスピーカーが常にいる環境の中でスピーキングやヒヤリング力が飛躍的に伸びるでしょう。
また世界各地からオペア留学をする人たちとの交流により、多彩な異文化にふれることもできます。
オペア留学をするにあたり、 事前に その国のマナーや文化、国民性、食生活などを調べておくと、スムーズにその国とホストファミリーの方たちに馴染むことができるでしょう。
執筆&編集:あの国で留学 編集部
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