コレだったのか!英語の発音は【口の形】で通じる

コレだったのか!英語の発音は【口の形】で通じる

英語力ゼロ、英語欲もゼロ、だった人生が、一変。「英語に苦しむ人をこの世から一人でも多く減らしたい」をモットーに活躍中の超一流予備校講師斉藤健一さん。独学中に経験した笑える失敗談と、そこから得た発見や英語の視点について共有いただく連載「七転び八起き英語」の第1回は簡単な発音の仕方と聞き分け方です。

英語が一気に楽しくなる「覚えずに、理解する」学習

はじめまして!予備校で英語の講師をしている斉藤と申します。

突然ですが、皆さん英語はお好きですか?

僕は高校時代まで、英語が大の苦手でした。高校の先生から「お前は英語ができないから大学進学を諦めた方がいい」と言われたほどです。異国の言葉の勉強なんて、当時の僕には全く興味がもてないことでした。

「海外に行く予定はない」

「英語なんてしゃべれなくていい」

そう本気で思っていました。とにかく英語に関しては「無関心」だったんです。

僕のように、苦手な英語を克服して今は英語の先生をしている、という方の話を聞くと、皆さん元々英語が好きだったり、憧れやコンプレックスを持っていたり、と「昔から英語に関心はあった」方が多いように見受けられます。

でも僕の場合は「英語力ゼロ」だけでなく、「英語欲ゼロ」だったんです。関心がないからコンプレックスだったわけでもない。ほんとにゼロの状態です。

そんな僕が、今や教壇で大学受験生に英語を教え、英会話スクールなど、さまざまな英語教育関連のビジネスやイベント立ち上げるなど英語教育業界にどっぷり浸かるようになったきっかけは、大学受験でした。

英語に苦しむ人をこの世から一人でも多く減らしたい

英語を勉強せざるをえない環境に追い込まれた僕は、いやいや英語を勉強することになるのですが、当初、「英語の勉強はただ単語を覚えてひたすら慣れていくしかない」と思っていた自分にとって、その無味乾燥な「作業」は苦痛でたまりませんでした。

しかしあるとき、予備校の先生がこうおっしゃったのです。

「英語はちゃんと理解できるんだよ」

衝撃でした。その後、勉強方法を変え、「理解を伴った英語学習」ができるようになり、英語が一気に楽しくなりました。当然、ぐんぐん成績が伸びていきました

一人の先生の一言が僕の人生を変えたと言っても過言ではありません。そしていつしか「(昔の僕のように)英語に苦しむ人をこの世から一人でも多く減らしたい」と思うようになりました。こうして、「英語力ゼロ、英語欲ゼロ」からの英語との格闘の日々が始まったのです。

大学に入学してからは、1日10時間は英語学習にあてました。留学経験もない僕は、独学で自分にあった勉強法を探し続け、たくさん、たくさん、失敗をしてきました。そんな僕の失敗と、それに伴う発見や英語の視点について、ここで共有させていただきたいと思います。

今回は、「英語の発音」についてお話しさせていただきます。

英語の発音は口の形で通じる

皆さん、「ファー」と聞くと何を思い浮かべますか。

「遠い」のfarでしょうか。それとも「毛皮」のfurでしょうか。「前後の文脈で分かるから発音はそこまで気にしなくてもいい」という声もありますが、発音で違いが分かるにこしたことはありません。「ん?今のどっちだ?」という一瞬の迷いがリスニング中は命取り。すぐに会話に置いていかれます。それに曖昧な聞きとりが積み重なると、当然内容が理解できなくなっていきます。また、一単語だけ発音する状況もあります。

例えばこれは実体験ですが、イギリスに行ったときの話です。当時iPhoneを使用していたのですが、イギリス滞在中に落としてしまい、画面が割れてしまったのです。「いい機会だから海外のアップルストアを経験してみよう」と思い、ロンドンにあるアップルストアに行ってみました。店の受付で名前を聞かれたので、Kenichi Saito.と答えました。すると、

How do you spell your name?

あなたの名前のスペリングは?

と聞かれたので、ゆっくりと、“K-E-N-I-C-H-I-S-A-I-T-O.”と答えました。すると、これでいいか?と見せられたのが、「KENIGHI SAITO」。名前が「ケンイ」になっていたので、「あ、違います」と、GではなくCだと伝わるようにはっきりと“K-E-N-I-C(シー)-H-I-S-A-I-T-O.”と言いました。それでも、同じように「KENIGHI」と書くのです。

Not G, C.

ジ―じゃなく、シーです。

と言っても、首を傾げて「ジィー?」って言うのです。驚きました。

「え!?アルファベットのCが通じない!?」どうしてCをGと思われてしまうんだろう、と思った瞬間、「あ!」と自分の過ちに気が付きました。

僕は間違えて、Cを[ʃíː]と発音していたのです。Cは正しくは[síː]と発音します。

[s]の音は口をあまり開きません。対してGは[dʒíː]と発音し、この[ʒ]の部分の音は、唇を少し突き出し、いわゆる「あひる口」のような形で発音します。

この[ʃ]は[ʒ]と同じ口の形で発音します。口の形を「あひる口」の形で発音したために、G[dʒíː]と勘違いされたのです。口の形がいかに大切かを思い知った経験でした

さて、ここで最初の問題に戻ります。

「ファー」はfarの可能性もfurの可能性もあります。しかし口の形が全然違うのです。

実は、ar、ir、ur、er、はいずれも「アー」と発音されますが、次の2種類に分類されます。

  • ar ⇒ [ɑːr] :口を大きく開けて「アー」
  • ir/ur/er ⇒ [əːr] :口を小さく「アー」

日本語の「アー」にこの区別はありませんので、日本人が苦手とする音です。farの「アー」、furの「アー」、どちらも同じ口の開き具合で発音していませんか?

farは口を大きく「アー」です!具体的には指を縦に三本口に入れるくらいだと思ってください。furは口をほぼ開けずに「アー」です。全然口の形が違うのです!

日本人は口を大きく開けて喋ることがあまりないので、farのときだけ慣れない筋肉を使っている感じで頬や顎に負担を感じると思います。その違和感をなくすことが、arの発音マスターへの第一歩。口を大きく開けて練習しましょう!

大学入試では、以下のように出題されます。

(問)下線部の発音が他と異なるものを1つ選びなさい。

1. curve

2. hard

3. service

4. bir

「カーブ」「ハード」「サービス」「バード」と並べてもすべて同じ「アー」に見えますが、答えはもちろん、2のhardです。arだけ仲間外れで、口を大きく「アー」でしたね!

この問題は、ネイティブスピーカーの音声をただ聞いておくだけではなかなか難しいと思います。日本語にはこの「アー」の区別がないので、どちらも同じ「アー」と処理してしまうからです。

でもこの、

ar = 口大

ir/ur/er = 口小

「スペルと音の法則性」を理解しておけば、この問題が解けるだけでなく、March、third、curl、など別の語の発音も一発で分かるようになりますよね!

もちろん、英語学習に反復や慣れも必要ですが、無味乾燥な繰り返しの中にこのようなスパイスを入れていくと、語学の学習はグンと面白くなります!「理解」の側面も取り入れていきましょう!

今回の「母音+r」の更に詳しい解説をこちらのYoutubeでもしています!ぜひご覧ください!

▼動画が見られない人はこちらから別のブラウザでご覧ください。

斉藤健一さんの本

ポケット英文法

ポケット英文法

 

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文:斉藤健一(さいとうけんいち)

福岡生まれ。高3で英語の偏差値37から英語学習をスタート。大学在学中は毎日英語に没頭し、通訳コンテスト優勝、ディベート大会特別選抜などを経て、一度も海外生活を経験せず完全国内学習で英検1級取得。東進ハイスクール「第一回講師オーディション」に50倍の倍率を勝ち抜き合格。英語の授業が大好きで、現在も地元九州で講師を続けつつ、Youtubeチャンネル「数学・英語のトリセツ!」にて英語のレッスンが配信されている。英語学習応援オンラインサロンOPETS大学受験予備校OPETSハイスクール、年齢無制限の英語暗唱コンテスト、「絶対に日本語をしゃべってはいけない」国内留学合宿、など、英語学習に関連する事業を複数手がけ、その様子は地元九州で度々メディアに取り上げられている。著書『大学入試 関正生の英語の発音・アクセント プラチナルール 大学入試 関正生のプラチナルール』(KADOKAWA)、『ポケット英文法』(FALE出版)。iOSアプリ「スピード英文法」監修。
・Twitter: @saiken_english

編集:増尾美恵子