相手の記憶に残る自己紹介のパターンを作っておこう【ひびく英語スピーチ】

連載「ひびく英語スピーチ」の3回目は、自己紹介のパターンの作り方です。名前を覚えてもらう、経験を話す、自分をアピールするなど、相手の記憶に残る自己紹介を考えましょう。

自己紹介のパターンを作ろう

自己紹介の基本的な組み立てや、よく使われる表現を覚える以外にも、ぜひ、TPOに合わせた自己紹介を用意しておくことをお勧めします。つまり、自己紹介のパターンを作るということです。

その際、名前を覚えてもらう、経験を話す、自分をアピールする、という3つのポイントを意識して、どんな内容を織り込むかを考えるといいでしょう。自分ならではのエピソードが入っていると、相手の記憶に残る、いいスピーチに仕上がります。

名前を覚えてもらう

自分の名前を相手に覚えてもらうのは意外と大変です。その後、個人的にやりとりがあるなら別ですが、人前で話す一度きりのパブリックスピーチなら、なんとか工夫して、その場で覚えてもらわなければなりません。 前々回 の記事で挙げたスピーチはその一例です。

名前を覚えてもらう必殺技は、英語のニックネームを作ることですね。Call me ~(~と呼ぶ)やgo by the name ~(~という名前で呼ばれる)といった表現を使って、次のように言うことができます。

Call me Tom.
トムと呼んでください。

I go by the name Tom.
私はトムという名で通っています。

ここでちょっと考えてほしいのは、「なぜトムなのか?」という簡単な質問への答えです。例えば、日本語の名前が「富雄」だから「トム」。このように発音の相似がそのきっかけであることは確かですが、それだけでは、相手にアピールできません。例えば、次のような逸話を語ってみるのはどうでしょうか。

I go by the name Tom. In Japanese, “tomu” means to become rich. I was born to be rich, and that’s why I’ve been wanting to be called “Tom” since I was a kid.

私はトムという名前で通っています。日本で「トム」(富む)とは、お金持ちになるという意味です。私は金持ちになるために生まれたようなものです。そんなわけで、子どもの頃からトムと呼ばれたかったのです。

ここまでしっかりと説明すれば、相手も面白がって聞いてくれるのではないでしょうか。日本語の物珍しさから話に耳を傾け、きっと後日、友達にも喜んで話し聞かせるでことしょう。

英語でニックネームを使う場合の注意事項です。ご自身のニックネームを日本人の同僚や仲間にも知らせておかないと、「トムって誰だ?」ということになりかねません。さらに、細かなことですが、名前のどこにアクセントを置くかも問題となります。Takashiを英語風に読むと「タカシ」と/ka/にアクセントを置きます。でも、これだと日本人同士で英語を話さなければならない場面でちょっと気まずくありませんか。そこで、日本語と同じく「タカシ」と/ta/にアクセントを置くように紹介すれば、その気まずさがあらかじめ解消されることになります。

経験を話す

自己アピールするためのきっかけとして、経験を織り込んだ自己紹介の例を見てみましょう。

Good evening, everyone! I’m Yoko Iwasaki. Please call me Yoko. I was a tennis player when I was a high school student. In college, I worked really hard as a cheerleader for my school’s baseball team. Now, I have a lot to learn to improve my English, but with my athlete’s spirit, I won’t give up until I can communicate with you easily in English.

皆さん、こんばんは!岩崎洋子です。ヨーコと呼んでください。高校生の時はテニスをやっていました。大学では、大学の野球チームのチアリーダーとして、一生懸命応援していました。ところで、私の英語はまだまだですが、アスリート精神で、皆さんと英語で楽に話せるようになるまで、諦めずに頑張ります。

自分をアピールするためのきっかけとして、これまでの経験を自己紹介に織り込みましょう。現在の自分のことは内容を選んでしまい、なかなか話せなくても、これまでのことなら意外と気軽に話せるものです。

この自己紹介の例では、1~3文目(Introduction)であいさつと名前を言った後、4~5文目(Body)で部活動について、最後の1文(Conclusion)でスポーツと英語学習を関連付けて話しています。このように名前や経験を知ってもらえば、自然と、よくある自己紹介とは一味違ったアピールができるでしょう。

あなただからこそできる何か、これを強調するのが自己アピールです。この例では、学生のスポーツ経験を織り交ぜて、英語について抱負が述べられており、オリジナリティーにあふれています。

人によって話す内容は違ってくるでしょうから、これまでに紹介した内容を参考にして、ご自分なりの自己紹介のパターンを幾つか考えてみてください。その際、ユーモアの感覚をお忘れなく。

自分をアピールする

就職面接や異業種交流のセミナーといった場の自己紹介で、「何かに興味があるので、こうなりたい(ここに来た)といったような自己アピールをするには、何をどう言えばいいのでしょうか。そんなときには、率直に思っていることを言えばいいのです。

単に「得意、好き」で終わらせるのではなく、それを証明することが大切でしょう。ここでは、大学の校内誌の編集長を務めた経験を紹介することで、編集者としての素質をアピールしています。

I want to be an editor. I’m not necessarily a good writer, but I am good at checking other people’s writing. In college, I served as editor in chief for a school journal.

私は編集者になりたいです。良い書き手とは必ずしもいえませんが、他の人の文章を校正するのは得意です。大学では、構内誌の編集長を務めていました。

これら3つのポイントは、実は、自己紹介に限らず、あらゆるスピーチで大事です。例えば、人を紹介するスピーチなら、紹介する相手の名前を確実に伝え、その人の周辺情報を織り交ぜ、相手を効果的に印象付ける、というように、常に聞き手の心にひびくような伝え方を心掛けましょう。

次回は、お祝いをするときのスピーチについて紹介します。どうぞ、お楽しみに。

小坂貴志(こさかたかし)
小坂貴志(こさかたかし)

東京国際大学言語コミュニケーション学部教授。専門分野は異文化コミュニケーション研究。パブリックスピーキング関連の主な著書に『 ビジネスで使える 英語の1分間スピーチ 』、『 とっさのときに困らない 英語の30秒スピーチ 』(いずれも共著、研究社 刊)がある。

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