ENGLISH JOURNAL ONLINE

経路を表す前置詞across、along、through~コアイメージをおさえて使い分けをマスターしよう!

イメージで攻略する前置詞

英文法を支える基礎でありながらも、上級者でもマスターが難しい前置詞。onwithalongなど、基本的な前置詞のコアとなるイメージを覚えることで攻略し、苦手を得意にしていきましょう!

「経路前置詞」って何?

「経路前置詞」は、呼び名の通り、移動の経路を表す前置詞です。早速ですが、次の英文を見てみましょう。これは、米国の有名作家John Steibeck の"Grapes of Wrath"(『怒りの葡萄』)の1節です。

Highway 66 is the main migrant road. 66 – the long concrete path across the country, waving gently up and down on the map, from the Mississippi to Bakersfield – over the red lands and the gray lands, twisting up into the mountains, crossing the Divide and down into the bright and terrible desert, and across the desert to the mountains again, and into the rich California valleys.

ハイウエイ66号線は出稼ぎ労働者の主要な道路である。66号線は国を横断する長いコンクリートの道で、地図上ではミシシッピからベーカーズフィールドまで緩やかに上下し、赤土と灰色の土地を越え、くねりながら山に入り、東西を分ける山脈を渡り、陽の光が照りつけるひどい砂漠に入り込み、そして砂漠を横切って再び山に、そして豊かなカリフォルニアバレーに入っていく道である。

(注:the Divideはアパラチア山脈を中心にアルゲニー山脈、ブルーリッジ山脈、シェナンドア山脈の山脈群で東側と西側を分けるポイント。)

ここではacross, over, into が経路前置詞として有効に使われていますね。以下、「経路」前置詞の代表としてacross, along, throughの3つを見ていきます。

ACROSSのコアイメージ「平面を横切って」

across のコアは「平面を横切って」です。イメージ的には以下のようになります。

Acrossのコアイメージ

移動の経路の意味合いでは、He ran across the road. (彼は道路を走って横切った)やA boy is swimming across the river. (少年は川を泳いで渡っている)のように使います。少し余談ですが、日本語と英語の表現の差に注目してみましょう。He went across the road. だと「彼は道路を横切って行った」となり、acrossは「横切って」に対応します。ところが、He ran across the road. は日本語では「彼は道路を横切って走った」ではなく、「彼は走って道路を横切った」となります。この場合、「横切った」は動詞で、「走って」はその様子を表現しています。このように、acrossひとつとっても、日本語と簡単に対応するということではありません。

acrossは「平面を横切って」がコアだと言いました。一般的には、何かが一方向に横切るイメージがあります。しかし、以下のような例はどうでしょうか。

A lot of people gathered here across the country. (多くの人が国中からここに集まった)

This trend holds true across racial lines. (この傾向は人種の線[違い]を超えて当てはまる)

Festivals greatly vary across cultures. (祭りは文化によって大いに異なる)

このように、acrossには複数の横切る線のようなものを想定する状況もよく見られます。

acrossには「視点」が関与する用法があります。Look at the store across the road. という文を考えてみましょう。これは「道路を横切ったところにある店を見てごらん」ということです。道路の手前に2人がおり、立っているところから道路を横切ったところにある店ということです。the store across the road from here というとわかりやすくなりますね。

acrossにはもうひとつ「状態」を表す用法があります。例えば、He has a scar across his face. といえば、「彼は顔に(横に走るような)傷跡がある」という意味です。このacrossには移動は関与しません。また、話し手の視点も関与しません。顔の傷跡の状態を表したacrossです。She lay across the bed. と言えば、「ベッドの横向きに横たわった」という意味です。同様にan old bridge across the river は「川に架かった古い橋」ということで、このacrossは明らかに「状態」を表しています。

There is a big tree across the road. といえばどういう解釈が可能でしょうか。そのひとつは、視点が関与する解釈です。すなわち、道路の手前に話し手がいて、道路の向こうの大木を指してa big tree across the roadと言っている状況です。木のある方に移動した途端にacrossが使えなくなることから、これは視点が関与する用法だと言えます。もうひとつの解釈は、道路に大木が倒れて横たわっている状況を表現しているというものです。これは、話し手がどこにいてもa big tree across the roadと表現することができることから、「状態」を表すacrossの例だといえます。

以上、acrossの用法をイラストでまとめると以下のようになります。

Acrossのコアイメージ

across:「平面を横切ったところに」の意。線や自由に横断できないような障害物が対象物のときは、acrossは使えない。

over:「障害物を越えたところに」の意で対象は障害物。対象物が単なる平面や線の場合overは使えない。

on the other side of:「向こう側に」の意。こちら側と向こう側を分ける境界(線・平面・障害物)があるとき用いる。

across の場合は「…を横切って」が基本であるため、対象が平面であること、そして平面を移動する際に障害がないこと、の2つがその使用条件となります。そこで、「その白線のむこうに財布がある」という状況ではacrossは使えず、There is a wallet on the other side of the white line. と on the other side of を用います。それは on the other side of が「こちら」と「あちら」を区別する何かがあれば、それが線であれ、面であれ、障害物であれ、自由に使用することができるためです。

一方、over の場合は、「越えていった向こうに」ということなので、道路の向こうに桜の木がある、という状況では、使用することができません。道路は移動上の障害物とは見なされないからです。そこで、There is a cherry tree across the street. と言います。一方、壁の向こうに何かがあるという状況だと、over の役割になります。もちろん、on the other side of は壁などでも使用可能です。

banner4

ALONGのコアイメージ「・・・に沿って」

along は、文字を見れば分かるように、a + long で作られており、日本語の「沿って(移動の行程・流れ)」の意に対応する前置詞です。そして、経路を表して「・・・に沿って(移動する)」だけでなく、「・・・沿いに(ある)」という状態の意味、そして、「(ここから)・・・に沿って行ったところに(ある)」という視点が関与する意味があります。

Alongのコアイメージ

まずは、移動経路のalongを見てみましょう。Let’s walk along the path. といえば「遊歩道に沿って歩こう」ということで代表的な用法です。I walk my dog along the beach every morning.(毎朝、犬を海岸沿いに散歩させる)のalongも同じく移動経路を表しています。The carpenter looked along the length of the wood. といえば「大工は木材の長さに目をやった」という意味合いだが、このalongも視線が木材の縦に沿って移動する様子を読み取ることができます。

There are beautiful cherry trees along the street.

の場合はどうでしょうか。移動を表す動詞は含まれていません。これは、「道沿いに美しい桜の木がある」ということで、状態を表しています。

Alongのコアイメージ

「堤防沿いに多くの観客が立っていた」という状況をMany onlookers stood along the embankment. と表現することができますが、これも同じく状態のalongの例です。 さらに、視点が関与する用法もあります。例えば、There's a nice shop somewhere along the river. (この川沿いのどこかによい店がある)は「この川に沿って行けばどこかに店がある」となり、今立っているところからみた表現です。

Alongのコアイメージ

比喩的には、We have to do this along the rules. (規則通りにやらなくちゃいけない)といった使い方に限られます。日本語でも「その線に沿って計画を進めよう」のような言い方をし、along の使い方は日本語の「沿って」とほぼ同じと考えておいていいでしょう。ただし、決まり表現として、all along(ずっと)、along with(といっしょに)などの副詞用法も知っておきたいところです。Please sing along with me. (私と一緒に歌いましょう)は Please sing with me. でもほぼ同義ですが、along with と言うと、「歌の流れ」がイメージ化されますね。along は副詞用法が発達していて、次のような熟語表現がよく使われます。

1. Are you getting along well with your roommate?  (ル-ムメイトとは仲良くやっている)

2. Go along without me--I'll meet you there later.  (わたし抜きで進んで行ってください。後で、そこで会いましょう)

3. Are you going to bring along some friends?  (友人を何人か連れてくる予定ですか)

4. Let's take along some food and drinks.  (食べ物と飲み物を持っていこう)

副詞の along といっても、意味的には前置詞の along と同じであり、「移動の行程・流れ」を押さえておけばOKです。「彼女は妊娠8カ月だ」を She is eight months along. と言うことがありますが、この along も「胎児と共に進む行程」が含意されています。次の2つの文は同じような意味(「彼女は10分ぐらいで来ると言っていた」)を表しますが、ニュアンスの違いは何でしょうか。

1. She said she'd be along in about ten minutes.

2. She said she'd be around in about ten minutes.

be along だと「向こうからやってくる」のニュアンスが強く、be around だと「このあたり現れる」というニュアンスです。

THROUGHのコアイメージ「空間の中を通り抜ける」

through は「空間の中を通り抜ける」がコアです。空間内ならinを使いますが、それを通り抜ける場合は、throughを使います。それをイメージで示すと以下のようになります。

Throughのコアイメージ

We are driving through a long tunnel. (車で長いトンネルを抜けている)のように典型的には、トンネルのような筒状の物の中を通り抜けるというイメージがあります。しかし、A bird flew into the room throught the window. (鳥が窓から部屋の中に飛び込んで来た)といった状況のように、窓枠のような平面的な空間にも使うことができます。

Throughのコアイメージ

the window の例をもうひとつ挙げておくと、The window is so dirty, so I cannot see through it. は through の感じが出ています。「雨が屋根から激しく漏れてくる」という状況もthroughを使い、Rain pours through the roof. と言います。 また、acrossalong のように、移動だけでなく、森の中を道路が通っているという状態を表す場合も through を用いることができます。

throughのイメージ

さらに、話し手の「視点」が関与する用法もあります。例えばトンネルの手前からその先の方を見ており、トンネルを通り抜けたところに何かが見えるという状況もthroughで表現することができます。

 through のイメージ

このようにthrough は「・・・を通り抜けて」「・・・を通り抜けている」「・・・を通り抜けた向こうに」という空間的な意味があります。そして、その意味展開として、Alice was quiet all through dinner. (アリスは夕食の間ずっと静かにしていた)のように「…の(時間)の間ずっと」やI have gone through a lot. (これまでいろいろ経験した)のように「何かを経験して」のような意味合いでthroughを使います。また、He has retired through age. (彼は年の理由で退職した)のように「理由」にもthroughを使います。いずれにせよ、共通しているのは「通り抜け」のイメージです。このイメージは、「手段」にも使われます。He got the information through the government authorities.といえば「彼はその情報は政府当局を通じて得た」ということですが、日本語の「通じて」と同じような感覚です。

これまでの3回の連載で、様々な前置詞のコアイメージを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?これをきっかけにさらに前置詞を極めていってくださいね!

イメージで英語が学べる!田中茂範さんの書籍はこちら!

banner2

田中茂範

田中茂範(たなかしげのり)慶應大学名誉教授。現在は、PEN言語教育サービスの代表として、新指導要領に沿ったオリジナル教材を開発すると同時に、高等学校の英語教育、課題探究コースなどのプログラム開発を手掛ける。教材は50種類を超え、5領域に対応できる体制が整っている。
ブログ: penlanguage.com