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【TOEICスピーキングテスト&TOEFL】英語アウトプット力を上げるための活用方法は?

スピーキングテスト活用術

「英語のアウトプット力に自信がない」?それなら、日々の英語学習にスピーキングテストを取り入れるのがおすすめ!『TOEICテストスピーキング/ライティング総合対策』など数々の著作を持つ浅場眞紀子さんが、英語スピーキングテストの種類や特性、テスト対策法を紹介します。今回は、「TOEIC Speaking Test」「TOEFL」について解説します。

テストを活用してアウトプット力を付けよう!

第3回では、スピーキングの土台となる4技能テストの一つで日本において最も一般的な英検と、語順や音や流ちょうさにこだわったスピーキングテストVersantの二つについて、私の受験体験も含めてお話ししました。

今回は、ビジネス系のスピーキングテストTOEIC Speaking Testと、アカデミック系の4技能テストTOEFLの二つについて、各テストの実施概要や特徴、そしていかに毎日の学習に各テストのタスクを組み込んでいけるかといったことについてお話ししたいと思います。

L&Rの学習が生かせるTOEIC Speaking Test

TOEIC L&Rテスト対策でリスニング、リーディングの基礎力を築いてきた学習者の皆さんが、次にスピーキング力を向上したいと思った時に取り組みやすいテストの一つが、TOEIC Speaking Testではないでしょうか。

語彙や場面設定など、TOEIC L&Rテストと共通する部分が多いので、今までにインプットしてきた知識を活用できるでしょう。

TOEIC L&Rの学習の過程で、音読やシャドーイング、ロールプレイなど、テキストを自分の口に出すトレーニングをしてきた方も多いと思います。TOEIC Speaking Testでは、そこからさらに一歩踏み出して、自分の力で発話を構築することになります。

TOEIC Speaking Testの基本情報

  • スピーキングテストだけを受けることができる
  • スコアは多くの企業でスピーキング能力の評価基準として認められている
  • 毎月1回、日曜日の午前と午後に受験する機会がある
  • 受験時間は20分程度
  • 200点満点
  • ビジネスで使える英語を目指すなら、160点以上を目標としたい
  • 指定会場でPCを使用して受験*1

テスト準備自体がステップを踏んだ学習に

TOEIC Speaking Testは、短めの音読問題から始まり、写真を描写する問題、留守電やメッセージへ対応する問題、与えられた情報を読み込んで質問に答える問題、そして最後は自分の意見を述べる課題へと、段階を踏んでタスクの複雑さや難度が上がります

各設問で求められている能力は、一方向の発話能力から、相手から与えられたものに反応する疑似双方向の発話能力までさまざまです。

テスト形式に沿って各タスクの学習を進めることによって、発話の基本をある程度網羅できるような設計になっています。私の著書『TOEICテストスピーキング/ライティング総合対策』でも、TOEIC Speaking Testの内容を使って、ステップを踏みながらスピーキング力を上げることをおすすめしています。

自分の発音やイントネーションを向上させるトレーニングと、発話内容のロジックを改善するトレーニングでは、練習する内容が全く違います。それに加えて、一般的にどの4技能試験においても、「正確さ」と「流ちょうさ」は分けて練習したほうが効率的です。

「正確さ」を高めるためのトレーニングでは、流ちょうさを犠牲にしても精度を上げることに集中すべきです。また「流ちょうさ」をゴールとするトレーニングでは、多少の正確さは犠牲にせざるを得ません。

自己学習をしていると、なかなかこの「選択と集中」に意識がいかないものですが、テストの設問形式に対応しながら練習をすることによって、「今は何にフォーカスしてトレーニングすべきか」が明確になるのが、こういったスピーキングテスト準備の大きなメリットだと考えています。

スピーキングに自信がない人から上級者までおすすめ!

手元に残っているスコア表を見たところ、私が初めてSpeaking & Writing Tests(こちらはスピーキングとライティングを一緒に受験するタイプです)を受験したのは、2012年11月頃のようです。その頃すでにケンブリッジ英検CPEなども取得していたので、初回受験のスピーキングスコアは満点の200点でした。

それ以降継続的に受験していますが、テストの内容次第で180~200点の間を行ったり来たりしています。いつ受けてもPCを使ったスピーキングテストには緊張感がありますし、未だに「あぁ!あそこはこう言えばよかった」と後悔することもあります。しかし、TOEIC Speaking Testの問題を使って学習し、また生徒さんたちを指導することによって、各設問に対する自分なりの対策方法ができてきたように思います。

TOEIC Speaking Testの問題を使うと、学習でフォーカスするポイントを決めやすく、スピーキングにあまり自信のない方からかなりできる人まで、十分効果的なトレーニングができます。英語を教えるほかの指導者の皆さんにも、ぜひ活用をおすすめしたいテストです。

アカデミックなTOEFL、実はビジネスにも効く

TOEFLは「海外の大学受験や大学院進学を目指す人だけのテスト」と思われがちですが、私はビジネスパーソンにとっても非常にいいテストだと考えており、ここ数年は企業向けの英語指導でも積極的にTOEFLの問題を活用しています。

TOEFLの問題を指導に取り入れた理由は、クライアントにIT系やバイオ系など、新しい産業に従事する方やその分野に投資されている方が増えてきたからです。こうしたビジネスパーソンは、「サイエンス」「テクノロジー」「経済」「環境」などの分野について基本の専門用語を習得し、最低でも欧米の高校生くらいのレベルで理解したり話したりできるようになる必要があります。TOEICで終わってしまっては、事務レベルの話しかできません。

学習には終わりがありません。これからの時代、TOEFLレベルの発話ができることが、国際社会でビジネスを推進していくために求められる基礎力になると思います。

TOEFLの基本情報

  • スコアは海外の大学、大学院などへ進学希望の場合に英語力の証明となる
  • 受験機会は月に4~5回。公式HPなどで要チェック
  • スピーキングテスト自体は20分程度だが、4技能合計でおよそ3時間の長丁場。スピーキングだけの受験は不可
  • 30点満点×4技能で合計120点満点
  • 海外トップ校合格にはトータル100点、スピーキングで25点以上を目指したい
  • 指定会場でPCを使用して受験*2

ビジネスパーソンにはTOEFLの語彙が必要

TOEFLのスコアは、海外の大学や大学院を受ける際に英語力の証明になります。

つまり、「TOEFLで求められる点をクリアする=希望の大学の授業を受けて課題をこなすのに必要な英語力がある」ということになるわけです。それは異なる視点から見れば、「英語圏の高校生、大学生と議論などでなんとか渡り合う基盤がある」ということにもなるのではないでしょうか。私はこれを「ビジネスにおいてノンネイティブが持つべき必要最低限の英語スピーキング能力」であると考えています。

そのため、弊社のトレーニングを受けていただくビジネスパーソンの皆さんには、もれなくTOEFLレベルの語彙までしっかり履修していただくようにしています。

次世代産業に絡むビジネスや研究において英語で議論したり、日本の独自の文化・慣習・思想などついてより深く説明したりするには、サイエンスやテクノロジー・人文社会の分野の専門語彙が欠かせません。どうしてもTOEICレベルでは不十分で、TOEFLレベルの語彙が必要になるのです。TOEFLにチャレンジする前に、ぜひTOEICレベルの語彙を網羅しておきましょう。

洗練されたスピーキングに必要なのは「高い語彙力」

実際にTOEFLテストを受験しないとしても、TOEFLの教材を使って学ぶことで、多くの上級語彙やスキルを学ぶことができます。

複雑な構文を使うことができたとしても、語彙がぱっとしなければ、「むむ、できるな」という印象は薄いでしょう。それより、シンプルでも正確な構文の中にキラリと光る単語が入っているほうが、よほど印象深い発話になると思います。

TOEFLのリーディングやリスニングの素材を使って語彙や表現を学び、音読やディクテーションで使えるフレーズを増やしながら、広範な分野のトピックに触れることができます。英語で学んだ知識はそのまま英語でアウトプットしやすいので、とても効率のいい学び方といえます。

TOEFLスピーキングで求められる力

TOEFLのスピーキングで求められる力は、一言で言えば「アメリカの大学生活に適応できる発話能力」ということになります。

一部、発話能力だけを単独で問うタスクもありますが、ほとんどの問題で求められているのは、「聞く+内容を理解する+情報を要約する+発話する」や「読む+聞く+情報を統合する+発話する」など、学校環境だけでなくビジネス環境でも必要とされる複合能力です。

レベルが上がれば上がるほど、一方的な発話の重要度は低くなり、相手の発話を理解し、状況を踏まえた上で的確な意見を言ったり、交渉を行ったりすることの方がずっと重要になります。

特に英語上級者の方は、時間配分を守りながらTOEFLで与えられる課題に取り組むことで、「正確さ」「流ちょうさ」「情報処理能力」をどんどん磨いていけるでしょう。

3時間以上の体力勝負!それでも受ける価値アリ

私が最初にペーパーベースのTOEFLを受けたのは高校生の時で、現行のiBTを初めて受けたのはアメリカの大学院に進学するために受験した2006年でした。

その時希望していた大学院では、iBTで100点以上が必要でした。私はその時108点を取って資格を満たしたと思いますが、その際のスピーキングのスコアは27点くらいだったと思います。私の4技能スコアはやや変わっていて、インプット(リーディング、リスニング)とスピーキングが同じレベル、またはスピーキングが数点高いことがよくあります。大学院入学後も、TOEFLは私にとって挑戦していきたいテストだったので、毎年何回か受験しています。

TOEFLはスピーキングテストだけを受けることはできず、4技能全て受験するため、1日の拘束時間は3時間以上になります。それだけでも体力が必要ですよね!

しかし、スコア取得に迫られていない方も、ぜひTOEFLの問題に触れていただけると学習の幅が広がると思います。特にスピーキングの複合問題はやりがいがあるので、英語指導者の方には素材としてもおすすめです。

次回からは、具体的にスピーキング上達のためのさまざまなトレーニング方法をお伝えしていきたいと思います。

第5回記事は2021年11月3日(水)公開予定!

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*1:団体特別受験制度(IPテスト)はオンライン版もあり

*2:オンライン版のTOEFL iBT(R) Home Editionもあり

浅場眞紀子

浅場眞紀子慶應義塾大学卒業。コロンビア大学ティーチャーズカレッジ英語教授法(TESOL)修士号取得。外資企業2社に計10年間勤務後、ビジネス英語研修会社Q-Leapを愛場吉子と設立。企業のエクゼクティブ担当として数多くのプライベートレッスン、グループ研修を手掛けている。共著『TOEICテストスピーキング/ ライティング総合対策』(旺文社)、共著『話せる英語ドリル300文』(アルク)など著書多数。