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自分に合った英語スピーキングテストの選び方はこれ!目的別の目標スコアも

スピーキングテスト活用術

「英語のアウトプット力に自信がない」?それなら、日々の英語学習にスピーキングテストを取り入れるのがおすすめ!『TOEICテストスピーキング/ライティング総合対策』など数々の著作を持つ浅場眞紀子さんが、英語スピーキングテストの種類や特性、テスト対策法を紹介します。今回のテーマは「自分に合ったテストの選び方」です。

自分に合ったテストを見つけるために、ここをチェック!

留学や受験など、特定の目的のためにスピーキングテストのスコアや資格取得を目指す場合は、そのテストに特化してトレーニングする必要がありますが、この連載では、個人の英語学習プロセスの中にスピーキングテストを効果的に組み込んで、更なる英語力アップにつなげる、という視点からお話ししています。

前回は、日本という「英語が外国語である環境=English as a Foreign Language(EFL)」において英語力を上げるためにテストを活用することのメリット、必要性をお話ししました。

今回は、さまざまな英語資格試験、特にスピーキングテストにフォーカスして詳しくお話ししていきたいと思います。

英語の試験はいろいろな視点から分類することができます。どの試験が自分の目的に合っているのかを確認するために、以下のような項目をチェックしてみるとよいでしょう。

1. テストされる内容

スピーキングと一口に言っても、どのような場面でどのような対応ができるスピーキング能力なのかはさまざまです。自分が求めているスピーキング能力を伸ばすのに適切なテストを選ぶべきでしょう。テストの選択はまずはここからです。

スピーキングテストの内容には、大きく分けて以下の3つがあります。

(1) 一般 

一般的な会話力をテストするもの。簡単なものから難度の高いものまである。

代表的なもの:Versant、TSST、英検2次面接、ケンブリッジ英検など

(2) ビジネス

ビジネス環境で適切な対応ができるか、どの程度の情報処理能力があるかを試すもの。

代表的なもの:TOEIC Speaking Test、GCASなど

(3) アカデミック

海外の大学・大学院入学や、語学留学の際の条件となっているものが多い。

代表的なもの:TOEFL、IELTSなど

しかしながら、(2)と(3)の基本には(1)がありますので、(2)や(3)に特化したスピーキングテストを受験する前に、まずは(1)のタイプのテストを受けて、ある程度基本のスピーキング能力があることを確認する必要があるでしょう。

2. スコアか合否か

スピーキングテストでは、合否よりもスコアやバンドで能力レベルを示すものが多いです。自分の目的に合ったテストを選び、自分の現在の実力に見合った目標を立て、その目標スコアに到達するために求められている具体的な能力を磨くことによって、段階的に力を付けていくことができます。どのテストも各スコアレベルの評価基準を明らかにしていますので、公式サイトなどから確認してみましょう

一方、英検やケンブリッジ英検などは、4技能の資格試験(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングを含むもの)にスピーキングが組み込まれており、合否という形で総合的に結果が出ます。最近はその場合でもスピーキングスキルの個別評価が確認できるようになっているものが多いので、努力の目安になります。

3. 対面かオンラインか

テストの形態には、基本的に3タイプあります。

(1) 指定の試験会場で、会場のPCを使って受けるもの

(2) 自宅でオンラインで受けるもの

(3) 対面で指定の試験会場で受けるもの

現在、より多くのテストがオンラインで受験できるようになっています。オンラインテストはコロナ禍において受験者側に多くの衛生上のメリットがありますし、運営側にとってもトレーニングされた試験官を特定の場所に多数配置しなくてもいいというメリットがあります。

スピーキング自体の評価は複雑な過程を要するので、PCを使って受けたテストも、(多少機械の助けを借りたとしても)最終的には人(テスト評価官)が評価している場合が多いです。オンラインであっても、常に「画面の向こうに聞いている人がいる」と思ってテストに臨むことをおすすめします。

他方、IELTSやケンブリッジ英検など、対面の形式を重視しているテストもあります。対面のよさはやはり、「受験者とインタビュアーがお互い協力し合って生まれる対話」の中でコミュニケーション能力が評価されるという事でしょう。PCを使ったテストのように、一方的な印象にはなりません。

どちらが合うかは、人によると思います。それぞれのインタビュアーが持つ個人差を避けるために、PCベースのほうがいいと考える人もいるでしょう。

以下は、ここまでの内容を簡単に表にまとめたものです。

4. スピーキング以外の知識・能力がどれほど問われるか

スピーキングテストと聞くと、「話すことができればいい」と考える方もいるかと思いますが、実際にはリスニング能力を同時に問われるものが大変多く、ビジネス、アカデミックになるとそれに加えて表やグラフを読み込む情報処理能力や、リーディング能力も同時に試されるテストがほとんどです。

時々、「これでは英語のテストというよりも、ビジネスや科学の知識、さらには情報処理能力のテストに近いではないか」という嘆きも聞こえてきますが、スピーキングで求められている内容がより具体的で高度なものであれば、これは避けては通れないところでしょう。

2021年の7月には、TOEIC Speaking Testにおいて、ビジネスシーンにおける情報処理能力、問題対応能力のウエイトが最も高いと思われる問題が外されたことがニュースになりました。

www.iibc-global.org

個人的な意見ですが、これはビジネス経験の有無で大きな差がつかないように、学生の受験者などにより配慮した結果なのではないかと思っています。

しかし、そもそもアウトプット能力とは言語能力以外の認知能力によってその質の差が出てしまうものであり、そこがスピーキング能力の向上がなかなか一筋縄ではいかないゆえんです。

英語学習の目的別!目標にしたいスコアとレベル

皆さんが本気でスピーキング力を上げたいと思うなら、まずは4技能試験である程度のレベルに到達したほうが、一見回り道のようでいて最終的には近道になるでしょう。

スピーキングは総合力なので、「他の3技能のスコアが低く、スピーキングだけ高い」というのは日本人ではレアケースです。日本人学習者は、3技能で持っている力をスピーキングで発揮しきれていないというパターンがほとんどですので、スピーキング以外のリスニング、リーディング、ライティングのレベルをしっかり上げておくことが、スピーキングを飛躍的に伸ばす土台となります。

以下は、目的別に目標とするとよいと思われるスコアの一例です。ここで参考にしているCEFRとは、ヨーロッパ共通参照枠と呼ばれ、言語能力を評価する国際指標です。現在様々な語学番組、テキスト、資格試験などのレベルを表すために使用されています。A1からC2までのレベルがあります。文科省による資格、検定試験との対照表も出ていますので参考になさってください。

旅行など気楽な機会に自分の言いたいことをある程度伝えられるようになりたい人

まずは英検2級に合格するまでしっかり勉強しましょう。言語の基本は語彙、文法、音です。

目標

総合力:英検2級(CEFR B1)

スピーキング力:CASEC Speaking B1、Versant 45、TSST 4~5

語学留学したい人

語学留学に行く人の中には、「向こうに行けば英語が上手くなる(はずだ)から」という理由で十分に準備して行かない人がいますが、これでは留学費用が大変もったいないです。日本で力を付けてから行くほど、向こうで吸収できるものが多くなります。語学留学であっても、できれば日本で英検準1級まで取ってから行くといいでしょう。

そうでないと留学期間に得られるものも少なく、TOEFLやIELTSなどの試験には歯が立ちません。戻ってきた時に、「すごく話せるようになったね!」と言ってもらえるには、スタート時点でこの程度の基礎力は必要でしょう。

目標

総合力:英検2級(CEFR B1)

スピーキング力:Versant 50、TSST 5

海外の大学、大学院に進学したい人

海外で大学や大学院に行こうと考えている人は、当然ながらTOEFLやIELTSのスコアが必要になりますので、英検準1級レベルはマストです。

発話の瞬発力や流ちょうさを鍛えるために、VersantやTSSTなど、比較的気楽に受験できるスピーキングテストを併用するのもいいかもしれません。TOEFLやIELTSの目標スコアは、進学希望先次第です。

目標

総合力:英検準1級(CEFR B2以上)

スピーキング力:Versant 60、TSST 7

ビジネスで英語を使いたい人

ビジネスシーンであまりにも文法ミスが多いと、話の内容を信用してもらえない可能性があります。また、一方的に話す能力よりも、むしろ相手の言っていることを理解する能力や、英語での情報収集能力の精度が重要になってきます。

スピーキング力の底上げのためにも、まず総合力を英検準1級(CEFR B2)以上に上げましょう。そしてそれに並行してTOEIC Speaking TestやGCASなどで定期的にスピーキング能力を測っていくといいでしょう。

新しいテクノロジーやサイエンスについても話せるようになるためには、TOEFLレベルの語彙までは必要なので、マスターすることをおすすめします。

目標

総合力:英検準1級(CEFR B2以上)

スピーキング力:TOEIC Speaking Test 160、Versant 55、TSST 6以上

英語を教えることを仕事にしたいと考えている人

教える立場にある皆さんは、先輩学習者としても常に研さんを重ねられていることと思います。教える立場だからこそ、自信を持って教壇に立てる力を身に付けたいですね。目標は高めに設定しましょう。

目標

総合力:英検1級、TOEFL 90以上、IELTS 7(CEFR C1)

スピーキング力:TOEIC Speaking Test 170、Versant 60、TSST 7

自分に合ったテストで英語力を磨こう

日本の人口が減り続け、国力が弱まる傾向にある中、国際言語である英語を理解し、またそれを求められる現場で運用できる能力は、これからますます重要になっていきます。21世紀における必須のパーソナルスキルと言ってもいいでしょう。それは海外を体験された方ほど身に染みて感じていらっしゃることと思います。

国内にいても高い目標を持ち、チャンスの女神の前髪を掴めるように*1力を磨いていきましょう!

次回は、今回ご紹介したテストの中からいくつか選び、受験体験なども交えてより詳しく説明したいと思います。

第3回記事は2021年10月20日(水)公開予定!

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*1:英語ではSeize the fortune by the forelock.(チャンスの女神には前髪しかない=きたるべき時のために準備しておかないといざと言う時に幸運を逃す)ということわざがあります。

浅場眞紀子

浅場眞紀子慶應義塾大学卒業。コロンビア大学ティーチャーズカレッジ英語教授法(TESOL)修士号取得。外資企業2社に計10年間勤務後、ビジネス英語研修会社Q-Leapを愛場吉子と設立。企業のエクゼクティブ担当として数多くのプライベートレッスン、グループ研修を手掛けている。共著『TOEICテストスピーキング/ ライティング総合対策』(旺文社)、共著『話せる英語ドリル300文』(アルク)など著書多数。