濱崎潤之輔さんと星名亜紀さんの交互執筆連載!通勤電車の中で、バスを待っている間に、寝る前の時間やお昼休憩、家事の合間に・・・。忙しい中でもなんとか時間を見つけてTOEIC(R)L&Rテストのスコアアップを目指したい人のための学習法を紹介します。第4回では、濱崎さんがサラリーマン時代の実体験をもとに、スキマ時間のつくり方や効果的な学習法をシェアします。
ほとんど机に向かわずに満点を獲得した方法
僕がTOEIC L&Rテストで初めて990点満点を獲得したのは、出版社の編集者をしていたサラリーマン時代でした。
当時は神奈川県秦野市で1人暮らしをしていて、小田急線とJR総武線を乗り継いで水道橋にある会社に到着するまで、片道約2時間の通勤時間がありました。
そのうち電車に乗っている時間は片道約90分、往復で3時間といった感じでした。
家には勉強するための机は無く、 「家で机に向かって勉強をする」ということをほぼせずに満点まで至った、 というのが実際の所でした。
机に向かってする勉強こそほとんどしていませんでしたが、もちろん満点を獲得するために最善を尽くし、できる限り学習時間を捻出していました。
では、どのように学習時間を確保していたのか。
当時平日に行っていた学習の様子を、以下に時系列で記していきます。
①通勤(行きの電車内):約90分
電車の中では、主に以下のことを行っていました。
・単語テスト
→自分で単語やフレーズをまとめたものをひたすら読んだり、日本語訳を隠して英語を日本語にするテストなどを行ったりしていました。
・模試や問題集の問題演習
→選んだ選択肢をiPhoneのメモにどんどん打ち込み、駅のホームにあるベンチなどで答え合わせ(丸付け)を行っていました。
公式問題集や模試などをA4サイズに縮小コピー し、常にカバンの中に3~4セット分の模試(合計600~800問)を入れていました。
②会社(就業時間前):約90分
当時勤めていた会社の就業時間は9時~18時だったのですが、社長が毎朝7時30分に出社してカギを開けてくださっていました。そのため僕も社長と同じ時間に出社し、7時30分~9時までは自分の机で勉強をしていました。この時間は主に、行きの電車内で解いた問題の答え合わせや復習などを行っていました。
また、気分転換のためにさらに30分早く家を出て、7時から30分ほどマクドナルド水道橋外堀通り店で朝マックを食べながら勉強していたこともよくありました。
駅から会社までは徒歩で10分くらいだったため、雨が降っていない日は歩きながら模試を解いていました。
③会社(昼休み):約50分
同僚の多くはお昼休みに連れ立って外食していましたが、僕は自分の席でカロリーメイト(約200kcal)を食べて終了。
食事は5分で済ませ、5分でハミガキをし、残りの50分を勉強時間に充てていました。
④帰宅時(帰りの電車内):約90分
帰りの電車では、模試のリーディングセクションの問題演習を行うことが多かったです。リーディングの制限時間は75分なので、電車内での約90分の間に、問題演習と丸付け、間違えた問題や知らなかった表現などのチェックまでできました。
以上①~④を合計して、 サラリーマン時代の平日の学習時間は1日約320分(5時間20分) でした。
土日は厚木市立中央図書館(小田急線本厚木駅そば)に行き、9時から19時まで勉強していました。途中お昼休みとして1時間ほど休憩、近くにあるマクドナルドなどで昼食を取りながら読書などをしていました。細かい休憩も適宜挟んでいたので、 土日の合計学習時間は1日8時間ほど 。平日よりも2~3時間長く取ることができていました。
「学習時間の長さ」よりも「ノルマの達成」が大切
ここまでで述べてきたように、僕は会社員時代、平日は5時間程度、土日は8時間程度の学習時間を確保するようにしていました。
もちろん、学習時間の確保が非常に重要なことは言うまでもありません。ある程度のことを身に付けたいのであれば、できる限り多くの時間を捻出しなければならないのは自明です。
ですが、時間を確保すること以上に僕が重要だと考えていることは、 やるべきことをその時間内でしっかりと学び終えることができたかどうか 。簡単に言い換えるなら、 あらかじめ設定したノルマを達成できたかどうか 、ということです。
仮に、1日3時間の学習時間を確保できているAさんと、1日1時間しか学習時間を確保できていないBさんがいるとします。
一見、AさんはBさんの3倍の学習時間を確保しているので、Aさんの方がより速く学習が進むように思えるかもしれません。
ですが、Aさんが3時間で単語を10個しか覚えられない一方、Bさんが1時間で単語を100個覚えられたとすると、BさんはAさんの3分の1の学習時間で、Aさんの10倍のことをマスターできていることになります。
つまり、学習時間を確保すること以上に、 学習時間内に何ができたかの方が重要 なのです。
「今日は3時間勉強できたからよかった」と満足するのではなく、「(今日は1時間しか勉強をできていないけど)100個の単語を覚えられた」ということに満足すべきなのです。
Oxford University Press(オックスフォード大学出版局)が出している 『A Teacher’s Guide to TOEICR Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success』 の8ページ目には、目標スコアと学習時間の相関関係を示す表があります。この表によると、例えば現在のスコアが550点の人が650点に到達するためには、学習時間が平均で225時間必要、といったことがわかります。しかし、これはあくまでも目安だと考えるべきです。
たとえ毎日3時間勉強時間を確保できたとしても、その3時間で10個しか単語を覚えることができないような勉強をしているのであれば、間違いなく結果は付いてきません。
そもそもこの表が作成されたのは1985年、今から30年以上前のものです。SNSもアプリも無かった時代のものなので、参考程度にしておくべきでしょう。
英語学習を続けていくコツ
「本番の環境で気が散ってしまう」という悩みを解消する方法
まずは自分が気持ちよく学習できる環境で学習を始め、徐々に チャレンジングな環境に身を置いていく ことをおすすめします。
今はコロナ禍なのでなかなか難しい状況ではありますが、普段から電車やカフェなどの「一定量の雑音がある環境」で勉強する習慣をつけていれば、多少のうるささやスペースの狭さなどをものともしない耐性ができていきます。
これはリスニングセクションの対策としては顕著な効果があり、本番の試験会場の席が多少音の聞こえづらい場所であろうとも、また周囲に咳やくしゃみをする受験者がいようとも、わずらわされることがなくなります。
もちろん、あまりにも音に関する環境が厳しいようでしたら、試験前の音声チェックのときにきちんと挙手をして席の移動を願い出てください。
日頃からやや厳しめの環境下で勉強することで、本番では普段の環境より格段にいい環境をつくり出せる のです。
周囲にいる受験者や受験環境に対して文句を言う前に、いかなる状況でも対応できるように工夫する習慣をつけることが試験への対応力を高めます。
挫折しないための学習計画づくり
また、 無理な学習計画を立てない ことも非常に大切です。
いきなり「毎日1000個の単語を覚える」とか「毎日5セット=1000問の模試を解く」といった高めのハードルを設けるようなことは決してしないでください。ほぼ間違いなく挫折します。
最初のノルマは小さく、そして確実にこなせるようなレベルのものにしましょう。例えば、「Part 5の問題を、毎日10問は必ず解く」というような、何があっても確実に達成できるレベルの目標です。それでもまだ余力があるのであれば、 明日の分のノルマとしている問題も解くようにする のです。
そうすれば「万が一明日勉強する時間が取れなかったとしても、明後日からちゃんとやれば大丈夫」という心の余裕を作り出すことができ、それが学習の継続へとつながります。
このような 「勉強貯金」 で自分を安心させ、常に「自分は毎日しっかりと勉強できているぞ」という自信を持って過ごしてください。
これを続けていくと、3日後、1週間後の分まで勉強貯金ができるようになってきます。
結果として、毎日の学習量が少しずつ多くなっていき、さらに精神的余裕をも手に入れることができるのです。
僕は今でも、だいたい1週間~2週間先の分の勉強量を貯金するようにしています。学習記録管理にエクセルを利用しているのですが、月の始めにはすでに10日~15日頃までのノルマ部分まで色が塗られている状態です。
1日あたりの適正学習量は人によって異なりますが、毎日学習を続けていくことによって、自分に適したペースが必ずつかめるはずです。
頑張っていきましょう、応援しています。
濵﨑潤之輔さんの新刊!『観光客を助ける英会話』
困っている外国人観光客を手助けしよう!
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