映画は生きた英語の宝庫。おすすめ映画から、ちょっとおしゃれで すぐに 使える英語表現を毎回一つ紹介します!SFコメディ映画『ミラクル・ニール!』から、「tell me about it」の使い方について解説します。
今日のおすすめ表現
tell me about it直訳すると「それについて聞かせて」というこの言葉を言われて、1から詳しく説明してしまった・・・なんてことはありませんか!?私はあります!(恥)
でも実はこれ、まったく違う意味。 「似たような経験をしたことがあるよ」 とか 「わかるよ」 という、共感を伝える言葉なんです。
ということで今回は、 「tell me about it」 を取り上げます。
表現の出どころ
このフレーズは、サイモン・ペッグ主演のSFコメディ映画『ミラクル・ニール!』(原題:Absolutely Anything)で使われています。
宇宙のエイリアンたちが、人類を絶滅させるか生かしておくかを決める 判断 材料として、人間を適当に1人選び(サイモン・ペッグ演じるニール・クラーク)、願い事が何でもかなう能力を与え、それをどう使うかで人類をテストする・・・という内容です。サイモン・ペッグが好きな人の期待を裏切らない、果てしなくバカバカしい笑いに満ちています。でもこの作品はそれだけでなく、画面には顔を出さない、「声の登場人物」たちがとても豪華なのも特徴です。
ニールの飼い犬デニスは、重要な登場人物(登場犬物?)の1人(1匹)です。このデニスの声を演じているのは、今は亡きロビン・ウィリアムズ。声だけでウィリアムズとわかるその存在感はさすがです。犬が言葉を話したら本当に言いそう!というせりふを楽しませてくれます。
本作はウィリアムズにとって最後の映画となりました。声だけの出演で残念ですが、最後に流れるエンドロールでは、本人も少し登場しますよ。
声の出演として同じく豪華なのは、宇宙人たち。当時存命していたモンティ・パイソン(主に1970年代にイギリスで活躍したコメディグループ)のメンバー5人(ジョン・クリーズ、テリー・ギリアム、エリック・アイドル、テリー・ジョーンズ、マイケル・ペイリン)が、宇宙人の声を担当しています。また、テリー・ジョーンズはこの映画の監督・脚本も手掛けています。なおジョーンズは、2020年に77歳で亡くなりました。
表現の使い方
キャサリン(ケイト・ベッキンセイル)は、カフェで友人のロージー(マリアンヌ・オールダム)と上司について文句を言っています。そこから、話題はすてきな男性像へと移りました。
ロージーはこう言います。
I would have loved to spend an evening with Amenhotep Ill.アメンホテプ3世(※)とひと晩過ごしてみたかったわ。※ルクソール神殿を作ったエジプトのファラオ。
ここは仮定法過去 完了 ( would have done)を使い、過去に起きた事実とは異なること(ロージーはエジプトのファラオとひと晩過ごしたことはありませんから!)を表現しています。
そしてキャサリンが次のように返すと・・・
Yeah, except he's been dead 4,000 years, Rosie. He'd spend all day long talking about embalming.4000年前に死んだ人だけどね、ロージー。きっと1日中、腐敗 処理 について話すんじゃない。ロージーはこんなふうに言います。
Well , find me a good one that's still breathing .それなら、まだ息をしているイイ男を見つけてよ。そしてキャサリンが、こう言うのです。
Tell me about it.まったくよね。つまり、「生きている中でイイ男なんていない」というロージーに共感して言っている言葉が 「tell me about it」 なのです。ここで本当に「教えて」と言っていると勘違いして、「息をしているイイ男を見つけて来てほしい理由」を切々と説明しないように気を付けましょう!
まとめ
冒頭にも書きましたが、私は昔、英語ネイティブに 「Tell me about it.」 と言われて、自分の発言の背景を一生懸命、説明してしまったことがありました(苦笑)。でもなんだか様子が変・・・と勘違いに気付き、 「そのとおりだね」「わかるよ」 という共感の言葉であることを学びました。
間違って恥ずかしい思いをして覚えたものって忘れにくかったりするので、語学学習においては間違いも大切な経験ですね!
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松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
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