TOEICなどの検定試験で高得点を取れても、専門的な論文をスラスラ読むのは難しいものです。科学技術系の文章には特有のルールがあり、学校では教わらないノウハウが必要になります。本記事では、英語論文の読み方のポイントと、読解力を高めるおすすめの教材、お役立ちツールを紹介します。
目次
英語論文で使われる英語の特徴
英語論文で使われる英語の特徴は、以下のとおりです。
- フォーマルな表現が使われる
- 断定を避ける
- 論理構造が分かりやすい
フォーマルな表現が使われる
英語論文では、日常会話のようなカジュアルな表現は避けられ、フォーマルな言い回しが徹底されます。
たとえば「I'm」や「don't」といった短縮形は使わず、必ず「I am」「do not」と完全な形で書かれます。
文法面では、従属節や受動態を多用した複雑な文構造が特徴的です。
こうした表現スタイルに慣れておくと、英語論文がぐっと読みやすくなります。
断定を避ける
英語論文では研究結果を「事実だ」と言い切らず、慎重さを示すためにヘッジングと呼ばれる表現技法がよく使われます。
たとえば「この治療法は効果がある」と断定せず、「may be effective(効果的かもしれない)」や「could improve(改善する可能性がある)」のように法助動詞を用いて可能性を示します。
ほかにも「suggest(示唆する)」「indicate(示す)」「appear(見られる)」といった動詞を使い、「The data suggest that...(データは...を示唆している)」のように控えめに表現するのが特徴です。
論理構造が分かりやすい
英語論文は、読み手の理解を助けるため厳格なルールに従って書かれます。主張、根拠、結論の順序が明確で、話の筋道がはっきりしています。
たとえば各パラグラフは、冒頭で主張を提示し、そのあとに証拠を順序立てて並べる構成が一般的です。
さらに論理の流れを分かりやすくするために、ディスコースマーカーと呼ばれる目印の語が頻繁に使われます。
【よく使われるディスコースマーカーの例】
- therefore(したがって):結論を導く
- while (一方で):対比を示す
- however(しかし):対比や転換を表す
- furthermore(さらに):情報を追加する
- consequently(その結果):因果関係を示す
こうした言葉に注目すると、英語論文を読むスピードは格段に上がります。まずは、各段落の最初の一文(トピックセンテンス)とディスコースマーカーを追いかけてみてください。論理の流れが見えると、内容の理解がぐっと深まります。
英語論文の読み方のポイント
英語論文の読み方のポイントは、以下のとおりです。
- Abstractの内容を正しく理解する
- 全文は読まない
- 図表から内容を把握する
Abstractの内容を正しく理解する
英語論文を読む際は、まずAbstract(要旨)を正確に読み解く練習から始めてください。
Abstractは、論文の冒頭に置かれる200〜300語程度の要約で、研究内容全体が凝縮されています。通常、背景・目的・方法・結果・結論の5要素で構成されており、ここだけで研究の全体像がつかめます。映画のあらすじを先に確認するようなイメージで活用してください。
まずは「結論」の文章を探し、どのような成果が出たのか把握しましょう。そのあと、本文の詳しいデータへ進んでください。この手順を繰り返すと、英語論文を読むスピードが自然に上がります。
全文を読む必要はない
英語論文を読むときは、全文を読む必要はありません。まずは「Abstract(要旨)」で研究の目的と結果の概要をつかみましょう。
次に読むべきは「Conclusion(結論)」です。最後の2〜3文、または最終パラグラフに目を通せば、研究から分かったことを把握できます。
このように段階的に情報を吸収する読み方なら、短時間で論文の骨格を理解できるでしょう。
AbstractとConclusionを読んだ段階で、自分の目的に合わせて必要な部分を読み進めましょう。先行研究として引用する場合やゼミで発表する場合は、Method(方法)やResults(結果)まで精読して、研究手法や根拠を理解する必要があります。
目的に応じた読み分けをすることで、効率的に論文から必要な情報を得られます。
図表から内容を把握する
英語の論文を読むときは、本文より先に図表を読み解くのがコツです。
質の高い論文は、重要な結果の大部分が図や表に凝縮されています。文字だけを追うよりも、データの視覚的な変化を見るほうが内容を正しく理解できます。
まずはグラフの軸や単位、色の違いを丁寧に確認してください。比較されている群や統計手法を掴み、何を示しているか言語化しましょう。
アカデミックで使える英語力を鍛える教材3選
アカデミックで使える英語力を鍛える教材として、以下の3つを紹介します。
- ステップアップの理系英語リーディング
- 英語論文を読みこなす技術
- 最新 英語論文によく使う表現 基本編
ステップアップの理系英語リーディング
本書は、英語が苦手な理系学生でも無理なく学習を進められるよう、生命科学、宇宙、環境、ITなど幅広い科学記事を20本収録しています。
【本書の特徴】
- 速読の意識が身につく:120WPMなど目標速度が設定されており、読む時間を意識できる
- 段落の要点を掴むコツがわかる:パラグラフリーディングの技術で、長文を効率よく読める
- 音声練習ができる:区切りのある音声付きで、音読やシャドーイングに活用できる
学習の流れはシンプルです。まず解説で読解テクニックを学びます。その後、学んだ内容を確認するクイズに取り組み、解答・解説で理解度を確認する流れです。
この手順を繰り返せば、実際の論文を読むときに使える技が、着実に身につきます。
英語論文を読みこなす技術
本書は、理工系学生が論文を読むために必要な基礎知識を、分かりやすくまとめた一冊です。【本書の特徴】
- イメージで覚える単語集:頻出単語の意味をイラストで直感的に理解できる
- 微妙なニュアンスの解説:似た単語の使い分けや、より丁寧な表現がわかる
- 研究室での実践対策:論文の選び方や、発表に役立つ要約のコツを学べる
最新 英語論文によく使う表現 基本編
本書は、約980もの文例が収録されており、読解にも執筆にも役立つ一冊です。【本書の特徴】
- シーン別の豊富な文例:研究の背景から考察まで、ステップごとの表現がわかる
- 分野を問わない応用力:人文・社会科学から自然科学まで幅広い分野で使える
- 便利な逆引き機能:索引や見出しから、知りたい用例をすぐに見つけ出せる
学生の味方!お役立ちツール3選
英語論文を読むときに役立つツールとして、以下の3つを紹介します。- 英辞郎 on the WEB
- DeepL
- SciSpace
英辞郎 on the WEB
英語論文を読むとき、専門用語の理解に困った経験はありませんか?そんなときに頼れるのが「 英辞郎 on the WEB 」です。
【英辞郎 on the WEBの特徴】
- 医学論文特有の難しい単語もすぐに見つかる
- 実際の論文で使われる言い回しを、例文から学べる
- 論文を探す際に必要な、適切な英語表現を導き出せる
英辞郎 on the WEBは、多くの研究機関や学会でも高く評価されています。
たとえば、 日本糖尿病学会の公式ページ では、医学用語に強く例文が豊富であると紹介されています。 滋賀医科大学附属図書館の資料 でも、論文検索のキーワード作りに役立つと推奨されました。
英語論文を読む際、ぜひ活用してみてください。
DeepL
DeepLは無料で使える翻訳ソフトです。精度が高いため、英語論文の内容をすばやく理解できます。
【DeepLの特徴】
- 微妙なニュアンスまで汲み取れる翻訳精度
- PDF形式の論文を丸ごと翻訳可能
- 無料版でも基本機能が使える
広島大学の資料 でも、微妙なニュアンスを汲み取れる定番アプリと紹介されています。
まずは無料版で試してみてください。
https://www.deepl.com/ja/translator
SciSpace
SciSpace は、論文を探す・読む・書くという一連の作業を、AIがサポートしてくれるツールです。
【SciSpaceの特徴】
- PDFをアップロードし、AIチャットで要約や解説を即座に取得できる
- 日本語設定で回答を得られる
- 難解な数式や専門用語も、わかりやすく説明してくれる
- 文章を選択すれば、その部分だけ個別に質問できる
論文を読む前に、まずSciSpaceで全体像を把握しておくことで、精読する際の理解スピードが格段に上がります。
論文検索や執筆にも便利なツールなので、ぜひ活用してみてください。
まとめ
英語論文を読むときは、まずフォーマルな表現や論理構造といった特徴を理解しておきましょう。実際に読むときは、全文を読まずにAbstractや図表から要点を掴む読み方が効率的です。
難しい場合は、今回紹介した教材で基礎的な英語力を身につけましょう。段落ごとの要点を素早く掴めるようになり、専門用語もスムーズに理解できるようになります。
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