写真:田村 充
英語は楽しく学ぶのがいちばん!でも、楽しめと言われても、学校の英語の時間はつまらなかった・・・、映画やドラマなら楽しめそうだけど英語が難し過ぎて挫折した・・・、という人もいるでしょう。そんな人に聞いてみてほしいのが「英語落語」です!英語ネイティブにしてプロの噺家(はなしか)である吉本興業所属の桂三輝(かつら・さんしゃいん)さんに、動画を見ながら楽しく英語落語を紹介していただきます。
初めまして。落語家の桂三輝です!
桂三枝改め六代目桂文枝の15番目の弟子、三に輝くと書きまして桂サンシャインでございます。ご指導ご鞭撻(べんたつ)のほど、どうぞよろしくお願いします。
Ladies & gentleman. Thank you so much for coming. I’m Traditional Japanese RAKUGO comicstoryteller. My name is KATSURA SUNSHINE!
カナダ出身ですが、今では自分のことをもうほぼほぼ日本人だと思っています。そのくらい、落語をはじめとした日本の文化が大好きです。
よく名前について聞かれるのですが、これは私の師匠(桂文枝)が付けてくれた名前です。「三輝」と書いて「サンシャイン」と読むのは、日本語で言うところの「粋」で素晴らしい名前をもらえたと思っています。
私、子どもの頃からすごく明るい性格で、両親からもYour smile is as bright as the SUNSHINE.とよく言われていたんですよ。これは本当にたまたまなのですが、それを知らないはずの師匠が、自分にこの名前を下さったことにはとてもご縁を感じます。
日本人にもなじみのあるサンシャインという単語を使って、「世界中に落語を広めて、 笑いでお日様みたいに世界を暖めるような芸人になってほしい 」という意味を込めて付けてくださった師匠には一生感謝ですね。
夢は世界中に落語を届けること
私の夢は、落語を世界中に届けて知ってもらうこと です。
日本語が、そのまま海外でも使われるケースって結構あるんです。例えば「KAWAII(かわいい)」とか「NINJYA(忍者)」「KABUKI(カブキ)」とか。そんな感じで「RAKUGO(落語)」がもっと世界に広まったらいいなと思っています。
初めて落語を見たとき、これを英語でやったら世界中の人が楽しんでくれると思ったんです。そのくらい、落語は素晴らしいです。言葉だけであんなに人を笑わせることができる。
落語は江戸時代くらいから日本にある芸能ですが、こんなに年数がたってもなお、多くの人を楽しませることができているのだから、この素晴らしさは国を超えて理解されると思っているんです。
桂三輝さん裏話
現在はニューヨークの歴史あるオフ・ブロードウェイにある劇場、ニュー・ワールド・ステージで初めてとなる落語のロングラン公演を行い、世界に落語を発信しています。
オフ・ブロードウェイのロングラン公演では、2020年のBest Unique Theatrical Experience にノミネートされるなど、その内容は高く評価されています。
桂三輝さんの落語で楽しく英語学習
落語には演目に入る前に話す導入部分として、「枕(まくら)」 というものがあります。 これは落語の演目に入る前振りだけでなく、噺家自身をアピールする場 でもあります。
次の動画は「枕」の一例です。私が日本の敬語辞書を読んでいて感じたことを落語にした小噺です。この敬語辞書は、私にとって勉強になる面白いものでした。
小噺:敬語を英語で訳してみると(再生時間:2分9秒)
I must thank you for the great kindness you have done unto me.
I must thank you for the very bottom of my beating heart.
We can place any of these with a simple “ Thank you .” in English we’d be fine !
もちろん英語にも感謝を伝える言い方は、もっとたくさんありますけどね。Thank you so much.とかI’m thankful for everything you do for me.とか。
日本語は話す相手によって敬語を使い分けるイメージだけど、英語では、年齢や相手の立場というよりも、してくれたことに対して言い方を使い分ける感じかな。だから年上の人にThank you.でも間違いじゃないんです。
もし、目上の人にThank you.を使うなら、 名前や役職名の呼び掛けとセットにするとよい と思います。Thank you, boss.とかThank you, Mr. ○○.とかね。
イントネーションが丁寧なら、失礼な感じにはならないし、「あの人、なんて言ったと思う?Thank you.だって。失礼ね!」とも思われない。
実はこの敬語辞書に書かれている感謝を伝える言葉のリストは、後ろへいけばいくほど丁寧ではなくなっていくのですが、リストの後ろから2番目には「悪い」という言葉がありました。「悪い」が感謝を伝える言葉???
さらに、最後には英語の「あの言葉」が書かれていました。 日本語で感謝を伝える最後の言葉が「英語」 だったんです。しかも、「悪い」の次に書いてあるんですよ!!!
Why is English the very bottom. Below Bad!!!
さて、最後に書かれていた言葉は何だったと思いますか?答えは動画をご覧ください!
小噺:敬語を英語で訳してみると(再生時間:2分9秒)
落語って、基本の「オチ」がわかりやすいしょう?ブロードウェイでニューヨーカーが大爆笑してくれるんです。
ご心配なく。もちろん、私は落語家の先輩に対して「サンキュー」なんて言ってないですよ!(笑)
桂三輝さんの本
笑いながら、楽しみながら、聞いたり読んだり英語を身に付ける本、発売中! 各噺の中のビジネスや日常で役立つ「表現」「文法」「話術」を例文付きで、丁寧に解説しています。
桂三輝(かつら・さんしゃいん)プロフィール
能と歌舞伎に興味を抱き、1999年に来日。2003年からアコーディオン漫談や英語落語の活動を始める。’07年に大阪芸術大学大学院芸術研究科に入学し、落語を研究。’08年、桂三枝(現・六代目桂文枝)に弟子入りし桂三輝と命名される。’13年、在日本カナダ商工会議所文化大使に就任し、北米ツアーを開催。’14年からワールド・ツアーを開始、13カ国を巡る。アフリカツアーも果たし、世界5大陸を制覇。’15年、日本スロべニア親善大使に就任。’19年にはニューヨークの歴史あるオフ・ブロードウェイにある劇場、ニュー・ワールド・ステージにて初めてとなる落語のロングラン公演。さらに、英語、フランス語を使ったワールドツアーを開始し、これまで5大陸15カ国で講演を行い、日本の伝統文化を世界に発信している。 YouTubeチャンネル