モデルのはなさんに聞いた、「大人の学び」の楽しみ方【インタビュー前編】

6年前、祖母の 影響 と茶道誌の連載が きっかけ で茶道を始め、5月には自身のお稽古の様子をユーモアたっぷりにまとめたエッセイ本『今日もお稽古日和』を出版する、モデルのはなさん。はなさんをひきつけてやまない茶道の魅力と、大人になってからの「学び」の楽しみ方を聞きました。

はな  モデル。12月21日生まれ、神奈川県横浜市出身。2才から横浜のインターナショナルスクールに通い、17才からモデル活動を始める。上智大学に進学後も、学業と並行してモデル活動を続け、その後テレビやラジオ、ナレーター、エッセイの執筆など活動の範囲を広げる。英語・フランス語に堪能で、その語学力を活かした絵本も多数。趣味はお菓子作りや茶道、仏像鑑賞。

茶道は、知らないことが多いから楽しい

――茶道を始められた きっかけ は?

祖母から着物を受け継ぎ、着物を着ていく場として茶道を始めてみたいなと考えていたところ、茶道誌の『淡交』から連載の依頼があり、それが きっかけ で6年前にお稽古を本格的に始めました。

始める前はハードルが高いイメージでしたが、今はとても楽しくて、笑いの多い時間を過ごしています。

お稽古中は、 「知らないことを知る喜び」 を強く感じます。40~50代になると、得意なことを責任をもってこなすというお仕事が中心になってきますが、茶道の世界には点前や掛け軸の言葉など、私の知らないことがたくさんあって、すごく学びの多い時間だなと思います。

茶道を始めてから、日本の季節の移り変わりに敏感になったり、所作や姿勢が美しくなったり、物を丁寧に扱うようになったりと、様々な変化がありました。祖母から受け継いだ道具や着物を生かす機会に恵まれたことも、うれしく感じています。

「お茶を飲む前に、茶碗の正面に口をつけないように茶碗を回す」など、一つ一つの動きの意味を知っていくと、 お互いを気遣う奥ゆかしさや繊細な心の動きが感じられて、すごく日本人らしい なと思います。

「学びたい」と思った気持ちを大切に

――大人になると、忙しさに流されて「学び」がおろそかになってしまいがちですが、はなさんは楽しんで学ばれている印象です。

大人になってから、何か新しいことを 「学びたい」「やりたい」という気持ちに気付いたら、その気持ちはできるだけ早く自分ですくってあげないと 、どんどん時間に流されて、意欲もなくなってしまうと思います。思い立ったら、 すぐに 始めることをおすすめします。早く始めるほど、学びの時間も長くなりますから。

茶道を始めたいと思っていたタイミングで機会に恵まれたことは、とてもよかったなと思っています。

時には、とても疲れていて、着物でお稽古に行くのが大変だなと感じることもありますが、「着物を着るためにお稽古に行くことに決めたんだから」と、どうにか着ていきます。行くまでは面倒に感じても、稽古場に着くとすごく気持ちが整って、自分をリセットする時間になっています。

「知識は礼儀」という気付き

――「学びたい」と思ったら すぐに 始める思い切りが重要なのですね。

そうですね。お茶の世界を通じて、 知識を得ることは「礼儀」につながる と感じるようになって、それも一つのモチベーションになっているかなと思います。 「知識は礼儀」 という言葉は、私をお茶の世界に導いてくださった筒井紘一(ひろいち)先生が仰っていた、とても印象に残っている言葉です。

人との会話をつなぐのも知識ですし、おもてなしを受けている立場であっても、知識を共有できた方がその場が盛り上がりますよね。

お茶会では、使われている道具の歴史や価値について、客人に知識がなければ、亭主がお茶会を開くためにかけた労力を理解できません。そうすると、抱くはずの 感謝 の気持ちも生まれないかもしれません。この意味で「知識は礼儀」という考え方があるのだと思います。

こう言うと、茶道の世界は覚えることが多く、堅苦しいと感じる方もいるかもしれません。でも私は お稽古をするなかで、お茶会の時間の楽しみ方を少しずつ学んできている ところです。礼儀を通じて、お互いの距離感をもっと繊細にコントロールできるようになったら、お茶の時間がさらに心地よく変わるんじゃないかなと思っています。

ゆくゆくは茶道を通じてそういう時間を楽しむことが目標でもあるので、これからもお茶の所作の意味を一つずつ学んでいって、美しいおもてなしの振る舞いが自然にできるようになれるといいなと思っています。

▼トリリンガルのはなさんがおすすめする語学勉強法とは?後編につづく

はなさんの新刊『今日もお稽古日和』が5/17発売予定!

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