国連英検って、どんな英語検定?TOEICと比較してみました

英語の能力検定試験と聞いて真っ 先に 思い浮かぶのは、あの「英検」(実用英語技能検定)。英語の能力を測るTOEIC L&R、留学 希望 者向けのTOEFLなどなど、そのほかにも有名な試験はいくつもあります。

では「国連英検」はどうでしょう?名前を聞いたことはあるけれど、実際どんな試験で何に役立つのかはよく知らない、という方も多いのではないでしょうか。

この記事ではそんな「国連英検」の特徴を紹介します。

中学生からシニアが対象。約40年の歴史を持つ

国連英検は正式名称を「国際連合公用語英語検定試験」といい、1981年に始まった検定です。試験の 実施 は年に2回。受験級には特A、Aのプロフェッショナルレベルと、B~Eのスキルアップレベルと計6ランクがあり、中学生からシニアまで幅広い年齢層を対象としています。

この英検の目標は「真に役立つグローバル・コミュニケーション能力」を育成することで、国連が理念として掲げる「国際理解」や「国際 協力 」をコンセプトとしています。

従って 試験問題に取り上げられる話題も、「世界平和」「世界政治・経済」「国際時事問題」など国連の活動に沿ったものとなっていることも大きな特徴です。

コミュニケーション力を重視する検定試験

国際的な場面で力を発揮する「グローバルプレイヤー」を育てることを目標とするため、国連英検は、リスニングやライティング(後者はB級以上)の比率が高いという特徴があります。

また、A級以上はネイティブスピーカーや外交の専門家により、国際時事問題に関する面接が行われます。

作文問題出題例(2017年、 国連英検ウェブサイト   より)

  • (特A級)How can the United Nations help countries recover from war?(国の戦後復興に国連はどのように寄与できるか)
  • (A級)What are some of the ways the United Nations is involved with the idea of human rights?(人権問題に国連がどのように関わっているか例を挙げよ)
  • (B級)What international issue are you concerned with ? Why?(あなたが関心を持つ国際問題は?関心を持つ理由は?)

各ランクの英語レベルは?

前述した通り、国連英検の級には6つのランクがあります。また、多くの大学で推薦入試・編入試験の評価資格として認められており、B級以上の合格を 単位 認定している大学もあります。

国連英検のオフィシャルウェブサイトによれば、各級の英語コミュニケーションレベルと資格としての 有効 性は次の通りです。

プロフェッショナルレベル

特A級英語力のみならず、国際的に通用する知識・情報などがある。文化、経済など、多くの分野の問題を自由に討論する能力がある。

成績優秀者に外務大臣賞が授与される。外務省国際機関人事センターが 実施する アソシエート・エキスパートなど、海外派遣 候補 者選考試験で語学 審査 対象としてレベル認定されている。

A級英字新聞などの記事、小説や劇の一場面などを短時間に理解し、あるテーマについて論理的にまとまった内容を英文で表現できる。外国人と日常の身近な出来事、時事問題など に関して 討論できる。

A級以上の合格者は外務省ロスター登録制度(国際機関への採用 希望 者の経歴をあらかじめ国際機関人事センターに登録しておき、公募ポストや国際機関から通知される空席ポストに適合する人選出する制度)で語学のレベルとして認定されている。

スキルアップレベル

B級英字新聞や雑誌の比較的やさしい記事、日常生活で遭遇する場面を扱った会話文、読みやすい随筆や短編小説などを理解できる読解力がある。また、インターネットや雑誌の情報を活用できる、電話の応対が大きな支障なくできるなど、日常生活で自由に意志を伝えられるコミュニケーションレベルがある。
C級高校修了程度の文法・文型に基づく英語の理解力がある。旅先や食事の場での会話を楽しんだり、簡単な電話の取り次ぎができたりするコミュニケーション能力がある。

C級以上の合格者は、文部科学省より高等学校卒業程度認定規則において、英語科の資格としてレベル認定されている。同じくC級以上の合格者は、国際 協力 機構(JICA)では派遣職種により語学レベルとして認定されている。警視庁では、国連英検C級以上の合格者について1次試験の成績の一部として評価している。

D級高校1、2年程度の文法・文型に基づく英語の理解力がある。買い物の簡単なリクエストができたり、外国人に道を聞かれて案内ができたりするコミュニケーション能力がある。
E級中学修了程度の文法・文型に基づく英語の理解力がある。簡単な趣味や自己紹介ができるコミュニケーション能力がある。
TOEIC L&Rテストとのレベル比較(推定)

国連英検の各級のレベルは、TOEIC L&Rテストのスコアと比較すると次のようになります。 ただし 、正確なデータが発表されているわけではないため、あくまで推定となります。

特A級990超
A級900~
B級800~
C級700~
D級600~
E級500~

検定料は?

各級の検定料(税込み)は次の通りです。また、2つの級を 同時に 申し込む(併願)と割引が適用されます。

特A級10,500円
A級8,400円
B級6,300円
C級3,700円
D級3,200円
E級2,700円

申し込み方法など

検定の申し込み方法や 実施 日程、そのほかの情報については国連英検のオフィシャル・ウェブサイトをご覧ください。

国連英検 : 日本国際連合協会主催 国際連合公用語英語検定試験

試験対策では国連に関する知識も必要

主催団体の公益財団法人 日本国際連合協会が、国連英検の過去問題集を出版しています。まずはどんな問題が出題されるのか、過去問題を見て研究するとよいでしょう。問題集は各級のものがあります(D、Eは合わせて1冊)。

そしてこちらは、国連の活動について知ることができる、国連英検指定のテキストです。

しっかり対策を立てたい方には公式の対策本がおすすめです。

A級、特A級はTOEICの最上位スコアからさらに上です。「TOEICスコアはそこそこ高いけれど、英語の運用能力に今ひとつ自信が持てない」というような方は、国連英検に挑戦して、ライティング、スピーキング力にも磨きをかけてみてはいかがでしょう。

文:山本高裕(GOTCHA! 編集部)

高校の英語教師を経て、今は編集者として、ときに写真家として活動中。編集者歴18年。

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