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「五月病」は日本だけ?春の憂うつな気分を表す英語表現

五月病

皆さん、ゴールデンウィークは羽を伸ばせましたか?ゴールデンウィーク明けのこの季節は、4月からの疲労の蓄積がどっと出る時期。なんとなくやる気がでないなど、「五月病」に悩まされている人もいるかもしれません。この記事ではそんな「五月病」にまつわる英語表現を紹介します。

「五月病」は日本特有!?

今年は、3年ぶりに緊急事態宣言が発令されていない状態でのゴールデンウィークを迎えました。新型コロナウイルスで移動が制限されていたストレスを存分に解消するために、今年は旅行やレジャーを楽しんだ人も多いのではないでしょうか?

そんな楽しいゴールデンウィークが終わりを迎えた頃に注意したいのが「五月病」です。4月は環境の変化が多い季節。緊張の毎日をすごした反動で、ゴールデンウィークを謳歌すると、その後どっと疲れが出て、「体調が悪い」、「やる気が出ない」といった不調が心身にあらわれやすくなると言われています。皆さんは大丈夫そうですか?

ところで、日本人にとっては「五月病」という言葉は非常にポピュラーですが、万国共通の現象というわけではなさそうです。例えば、そもそもアメリカにはゴールデンウィークがないですし、新入社員も決まった時期に入社する風習が無いので、日本とは大きく事情が異なります。

「五月病」って英語でなんて言う?

しかし、「五月病」に似た言葉が英語にまったくないかというと、そんなことはありません。みなさんは“spring fatigueという言葉があるのをご存じでしょうか?例えば、次のように使用されます。

Temperatures are rising, nature is blooming – after the cold, dark nights, we're all happy to welcome spring. Nevertheless, many people feel unusually listless and tired during this time when life outdoors is reawakening. The phenomenon known as «spring fatigue» actually exists. It is a reflection of the fact that we are part of nature's cycle; the lack of light during the wintertime coupled with hormonal changes both leave their mark.*1

暗く寒い冬を抜けて、気温が上昇し、花々が咲き誇る春を迎えることができるのは喜ばしいことです。とはいえ、屋外での活動が増えるこの時期、多くの人がやる気のなさや疲労を感じるようになります。「春バテ」と呼ばれる現象が、実は存在しているのです。この現象は、私たちが自然のサイクルの一部であることの反映であり、冬場の光量不足とホルモン変化の両方が影響しておこります。 

猛暑による疲労が身体不調を引き起こす「夏バテ」については多くの人が経験していると思いますが、寒い冬が終わり、活動量が一気に増えるこの時期も、実は「春バテ」になる人が多いといわれています。

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春先の落ち着かない気分・・・英語で言うと?

また、「五月病」に似た言葉として、英語には“spring fever”という言葉もあります。「春先の落ち着かない気分」を指して使われることが多いこの言葉ですが、より具体的な症状としては「顔が赤くなる」、「心拍数が上がる」、「食欲がなくなる」、「落ち着きがなくなる」、「白昼夢を見る」などが挙げられています。

“spring fatigue”の場合は、鬱屈した疲労感を指す場合のほうが多いのに対して、“spring fever”の場合は、「寒い冬が終わり春が来ることへの高揚感」を意味することもあるそうです。

「五月病」と同じように、“spring fever”も正式な病名ではないため、未だこのような症状の原因がなんであるかについての科学的なエビデンスは揃っていません。しかし近年は、秋から冬にかけてうつ症状が現れ、春先の3月ごろになると改善するというパターンを繰り返す「季節性感情障害(SAD)」についてなど、季節による気分の変化に着目した研究が進み始めており、“spring fever”も単なる俗説とは言い切れないとされています。*2

NBCの記事“This is your brain on spring fever”のなかで、「季節性感情障害」の研究の第一人者である精神科医のノーマン・E・ローゼンタール氏は次のように説明しています。

The receptive neurons, starved of serotonin through the winter months, are now flooded with this neurotransmitter, which is known to be important for mood regulation. The result of this flood impacting extra sensitive receptors may be spring fever.*3

「受容ニューロンは、冬の間にはセロトニンが欠乏しているのですが、〔春になるとセロトニンで〕で満たされます。セロトニンは気分を調整する際に重要な役割を果たすことが知られているのですが、受容体へのセロトニンのこの洪水のような働きかけの結果が、“spring fever”なのかもしれません」

「五月病」や「春バテ」、“spring fever”と聞くと、単なる気持ちの問題だと感じられるかもしれませんが、このような気分の浮き沈みは、もしかすると季節の変化に対するわたしたちの身体の反応なのかもしれませんね。皆さんもこの季節、自分の心身の調子に耳を傾けながら、無理せずに頑張っていきましょう!

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*1:Manuela Specker, “What helps to cure spring fatigue?”, CSS, 2022.

*2:Christie Nicholson,Fact or Fiction?: "Spring Fever" Is a Real Phenomenon, Scientific American, 2007.

*3:Vivian Manning-Schaffel, “This is your brain on spring fever”, NBC NEWS, 2018.

ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部

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