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名詞にまつわる「謎」を解け!「一つ」なのに複数形になる、困った名詞とは?【ENGLISH JOURNAL 2月号】

名詞にまつわる「謎」を解け!「一つ」なのに複数形になる、困った名詞とは?【ENGLISH JOURNAL 2月号】

『ENGLISH JOURNAL』2月号の特集は「名詞にまつわる15のミステリー」。本記事では、意外に難しい「名詞」にまつわるさまざまな疑問を解消するためのポイントを抜粋してご紹介します。

英語上級者でも難しい? 名詞の「使い方」

英語の品詞の中では特にメジャーな「名詞」。皆さんは「知っている名詞を挙げてください」と言われたら、pen、apple、water、Japanといった語がスラスラと出てくるのではないでしょうか。

もちろん、こういった一般的な物を表す語だけでなく、kindness(優しさ、親切)のような「抽象的」な語や、performance(演奏)などまるで「動き」を表しているかのような語まで思い付いたという人も少なくないでしょう。このように、名詞が表すものは「実際に手に取れる物」から「動き」まで実に多岐にわたりますが、子供の頃の遊びとして「しりとり」に慣れている私たちにとって、「名詞とは何か?」はそんなに難しい問題ではありません。

でも、ちょっと考えてみてほしいことがあります。皆さん、名詞の「使い方」についてはどのくらい知っているでしょうか?例えば、名詞の中には「数えられるもの」と「数えられないもの」がありますが、その区別の仕組みは結構複雑です。appleは「物」だから数えられて、waterは「液体」だから数えられない。それなら、「お金」を意味するmoneyは「物」なのにどうして数えられないのでしょうか?everyoneは「みんな」という複数を表しているはずなのに、なぜ単数扱いをされるのでしょうか?名詞の数の考え方は日本語の感覚と違うところがたくさんあって、本当にややこしい問題です。

名詞にまつわる疑問は、まだまだ他にもあります。例えば、Do you want some coffee?(コーヒー飲みますか?)という言い方を聞いたことはありますか?someは肯定文で使うと習ったはずなのに、どうしてこんな表現が許されるのでしょうか?

こんなことを考えれば考えるほど、名詞って意外と難しいなと思えてきます。実際、英語上級者になっても名詞の使い分けはなかなか自信が持てない分野であると言ってもいいくらいです。

それもこれも、冠詞を含め名詞は英語話者の物事の捉え方に深く関わっているからといえます。英語のニュアンスに関係しているからこそ難しい。でも、だからこそもっと知りたい。

今回の特集では、意外と知らない「名詞」への理解を深めていきましょう。ここで取り上げる名詞の謎とそのポイントを理解することで、英語の名詞のニュアンスを前よりも強く感じることができるはずです。

ミステリー①:「一つ」なのに複数形になる、困った名詞?

数の認識の仕方は、言葉によってだいぶ異なります。日本語を使っている私たちからすれば「一つ」なのに英語では「二つ」になってしまう、そんな不思議な名詞を知っていますか?

英語で「眼鏡」はglasses、「はさみ」はscissorsと必ず複数形で表します。眼鏡にはいつだってレンズが2枚付いていますし、はさみは2枚の刃が組み合わさってできています。a glassでは「コップ」になってしまいますし、a scissorと1枚の刃にしてしまったら紙を切ることができません。こんなふうに、英語では「左右に似たようなパーツ」が使われている名詞を複数形で表すことがあり、「絶対複数」と言ったりもします。

絶対複数で意外なのはpantsやjeansなどの「ズボン類」です。右側のpantと左側のpantを合わせてpantsということなのでしょう。そもそも日本語でも「パンツ」と表記しているので間違って単数形にすることはないのかもしれませんが、常にペアになっている認識をしておくことは大切です。というのも、これらを数えるときにはa pantsやa glassesは間違いで、a pair of ~(1 組の~)という表現を使わなくてはいけないからです。a pair of glassesは眼鏡が一つ、three pairs of glassesなら三つです。ではthese glassesはどんな意味になるでしょうか?文脈次第ですが、「この眼鏡」と「幾つかあるこれらの眼鏡」のどちらにもなるようです。なんだかちょっと曖昧な感じですね。

もちろん、ペアで使うことが多くても片方だけなくなってしまうものは単数形にして構いません。socks(靴下)は片方がたんすの奥に紛れ込んでしまうこともあるでしょう。さすがにあまりないかもしれませんが、shoes(靴)の片方をなくしてしまったときは、I lost my shoe in Ikebukuro.(池袋で靴の片方をなくした)などと言うことになりそうです。シンデレラでない限り、ちゃんと両方の靴を履いて帰りましょう。

名詞にまつわる「謎」を解け!「一つ」なのに複数形になる、困った名詞とは?【ENGLISH JOURNAL 2月号】

I lost my shoe in Ikebukuro. 

池袋で靴の片方をなくした。

ミステリー②:代名詞の使い分け、意外と難しい?

会話や文章の中で既に登場した語の代わりをする「代名詞」という品詞があります。「男性」の代わりをするのがhe、「女性」ならshe、「人以外の存在」ならitを使うことで同じ語の繰り返しを避けることができ、英語を分かりやすくスッキリとまとめることができます。

一見すると代名詞の使い分けは簡単そうですが、少しだけ注意しなくてはいけない点があります。それは、代名詞は必ずしも「直前の名詞の代わりをしてくれるわけではない」ということです。一体どういうことでしょうか。

小学生の女の子が筆箱を自宅に忘れてきてしまったことに気付いたとします。女の子は近くの席の友達にI forgot to bring my pen.(ペン持って来るのを忘れちゃった)と言いました。その友達が「ペンならあるよ」と言いたいとき、適切な表現はI have it.でしょうか? 残念ながら違います。というのも、代名詞は話題に出てきた物と「同一の物」を指し示すからです。このままでは「君のはここにあるよー」と、女の子のペンを友達が意地悪で隠し持っていたかのような感じになってしまうのです。これでは困りますね。

英語では話題に出てきた物と「同じ種類だけれど別の物」を表すときには、oneという代名詞を使います。I have one.と言えば「自分の筆箱からペンを1本取り出して、女の子に貸してあげる」ことができるというわけです。この使い分けは「人」で考えるととても分かりやすくなります。I’ve got a new boyfriend.と「彼氏ができた」ことを自慢する友人に、Oh, I really want him, too.(あら、私もその彼が欲しいわ)と言ってしまったらどうなるか・・・略奪愛が好きな人はどうぞご自由に。

名詞にまつわる「謎」を解け!「一つ」なのに複数形になる、困った名詞とは?【ENGLISH JOURNAL 2月号】

I forgot to bring my pen.

ペン持って来るのを忘れちゃった。

I have it.

君のはここにあるよ。

ミステリー③:carを表すときにitではなくsheを使うってホント? 

代名詞を使う際、指し示す名詞が「人以外の物」であるときはそれが一つなら it を使います。新しいドレスを買ってそれがとっても気に入っているのであれば、I bought a new dress, and I really like it.という感じです。こういう使い方は、私たちが英語を学び始めたときに習ったルールのままです。では、こんな英文ではどうでしょうか。こちらも同じルールで作られた英語なのですが、ちょっとだけ違和感がありませんか?

I have a very cute dog, and I really like it.

a very cute dogは「人ではない」から代名詞はitを使うのが基本ではあるのですが、愛するペットをなんだか「物」みたいに扱っているようで、本当に好きなのかどうかが疑わしい感じすら漂っています。日本語でも飼っている犬を「うちの子」などと言いますが、実はこの感覚は当然英語にもあって、自宅で飼っている動物などにはその性別に応じてheやsheを使います。だから先ほどの英文もI really like him.(この子のこと大好きなの)と言ってOKです。一応文法的にはbabyもitで指し示すことはできるのですが、同じような理由から性別がはっきりとしているならheやsheで表すのが普通です。

こういった用法の極端な例がcar(車)やmotorbike(バイク)です。ピカピカに磨いた愛車は彼氏や彼女同然の存在ともいえますから、バイク好きな人は自身の乗り物に決してitを使ったりしません。愛情が文法規則を超える、すてきな使い方ですね。

名詞にまつわる「謎」を解け!「一つ」なのに複数形になる、困った名詞とは?【ENGLISH JOURNAL 2月号】

She is awesome!

俺の愛車は最高だぜ!

2月号の特集は「名詞にまつわる15のミステリー」

「名詞」について皆さんはどこまでご存じですか?他の複雑な文法と違って、「名詞については大丈夫」と思う人もいるかもしれませんが、実はよく理解できていないことや、モヤモヤした疑問がそのままになっている内容もあるのでは?

今回は「名詞」にまつわる皆さんのさまざまな疑問を解消するためのポイントを紹介し、ネイティブ2人に「名詞のネイティブ感覚」について討論してもらいます。最後には学習のまとめとして、「名詞の確認テスト」30問に挑戦しましょう!

2月号特集コンテンツ

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大竹保幹(おおたけ・やすまさ)

大竹保幹明治大学文学部文学科卒業。神奈川県立多摩高等学校教諭。平成23年度神奈川県優秀授業実践教員(第2部門)表彰。文部科学省委託事業英語教育推進リーダー。著書に『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』、『まんがでわかる「have」の本』(いずれもアルク)など。