オンライン英会話で「リプロダクションの成果」を試す方法とは?

リプロダクションのススメ

英語を聞いたり話したりする力をまとめて強化できたらいいな、と思ったことはありませんか? そんな効率のいい勉強法、実は本当にあるんです。それが「リプロダクション」。「天駆せよ法勝寺」で第9回創元SF短編賞受賞の著者、バイリンガル小説家の八島游舷(やしまゆうげん)さんが実践しているその方法をわかりやすく丁寧に解説します!

▼リプロダクションって何? という方はこちら!

ej.alc.co.jp

世界SF大会で英語のパネル・ディスカッション

2020年7月29日から5日間、世界SF大会、CoNZealandがオンラインで開かれました。世界各地から集まったSF・ファンタジーの作家やファンと楽しく交流できました。世界SF大会(WorldCon)という名前ではあるものの、9割の参加者は英語圏です。私が登壇した3つのパネル・ディスカッションで、日頃の英会話練習の成果を示すことができました。私は国際学会などで発表したことはありますが、英語でのパネル・ディスカッションは初めてでした。

パネル・ディスカッションは、それぞれ約50名から160名の参加者が聴講しました。パネリストの中には大学教授もかなりおり、語彙や内容が高度になることもあります。事前にまとめておいた発言内容に加えて、モデレーターの問いかけや他のパネリストの発言内容、それに対して追加で発言したい内容などメモを取りながら話します。また質疑応答の時間もありました。メモがあっても作業記憶が重要であることを実感します。CoNZealandのレポートはこちらにまとめています。中国人参加者の英語力がこぞって高いのも印象的でした。

パネル・ディスカッションの一つ、“Intersection of Science Fiction and Technology in Japan”(「日本におけるSFと技術の交差」)の動画は、後ほどSugoi Fushigi Showで公開される予定です。

▼ Sugoi Fushigi Show

オンライン英会話では8割話そう

さて、今回でこのコラムも最後です。今回はリプロダクションの成果をオンライン英会話で試す方法についてご紹介します。オンライン英会話とは、ビデオ通話や音声通話で英会話を練習するサービスのことです。コロナで在宅する時間が増えてオンライン英会話を始めた方も多いはずです。

アルクでもオンライン英会話のサービスがありますが、私はDMM英会話を6年間ほぼ毎日25分間続けています。これまで世界52カ国、639人の講師と話してきました。

CoNZealandのパネル・ディスカッションではこの毎日の積み重ねの成果が出せました。
オンライン英会話で私がここ3年くらいしているのは、これまで書いた、またはこれから書く自分の小説の筋を英語で説明する、ということです。小説は日本語で書いていますが、英語で考えながらプロットを説明するうちに新しいアイデアがひらめくこともよくあります。

毎回、セッションの最初に、相手の講師に必ず伝えることがあります。それは、オンライン英会話は自由会話ではなく、私にとってのスピーキング練習であり、私が80%の時間話すということです。このポイントはどの対人英会話練習でも非常に重要です。これを事前に伝えておかないと、向こうが一方的に話して終わることもよくあります。相手の話を聞くのは普通の会話では重要ですが、英会話練習では、自分が話すのでなければ、時間とお金の無駄でしかありません。

では講師には何をしてもらうのでしょうか。講師には、私の話した内容について質問をしてもらいます。この質問は「具体的かつ興味深い質問」でないといけません。パネル・ディスカッションの質疑応答ではどんな質問でもひとまず“That's a good question.”と答える人もいますが、実際は質問にはよい質問とつまらない質問があります。

私が作家であると知った講師から最もよく聞かれる質問は「何にインスパイアされて書くのか」です。この質問には何十回も答えており、私にとっては面白い質問ではありません。私や他の作家の作品の特定のポイントに対する具体的な質問のほうがよい質問です。もちろん、私にとって、その質問に適切に答えることも重要な練習です。これがパネル・ディスカッションなどでの質疑応答に生きるのです。

スマホの背面カメラで風景を説明しよう

またパソコンではなくスマートフォンを持ち出し、外でオンライン英会話をするのも楽しいものです。自分の顔を写す前面カメラではなく、背面カメラに切り替えて外の風景を講師に見せて説明します。オンライン会話のシステムにより設定方法は異なりますが、多くの場合、背面カメラに切り替えることは可能のはずです。

講師は、日本に関心はあっても来たことはない人が多いので、相手も興味をもって熱心に質問してきます。レストランの食品サンプル、様々な飲食店の看板、信号機の待ち時間表示など、見慣れていても英語で説明するとなると戸惑うものも多いかもしれません。一度だけではなく何度も経験を重ねるとスムーズに説明できます。海外からのお客さんを実際に案内するときにも役立つはずです。

DMM英会話の大きな魅力は、さまざまな出身国の講師がいるということです。私の関心は主に文学、芸術、哲学などであるため、ヨーロッパ出身の講師が最も適しています。20代、30代の人でも、英語のレベルは非常に高くまた教養もあります。

また、私はExcelで各国語の単語帳を作っています。この中から、新しく学んだ単語、または知ってはいるが自分で使っていない単語を3つ提示して、できれば会話の中で使ってもらいます。

最後にもう一度リプロダクション練習をしてみよう

最後にもう一度リプロダクション練習をしてみましょう。

今回も、島崎秀定『指名が途切れない通訳ガイドの英語で日本紹介アイデアブック』のコンテンツを利用させていただいています(速度を20%遅くしています)。

 

7回の連載、いかがだったでしょうか。

できれば毎日3分間でも、リプロダクション練習を続けてみてください。少しでも役立った内容、また本記事へのご感想があればぜひこちらからお送りください。

今回のまとめ

  • オンライン英会話は自由会話ではなく、私にとってのスピーキング練習であり、私が80%の時間話す。
  • 講師には、自分の話した内容について興味深い質問をしてもらう。
  • 背面カメラで、外の風景を講師に見せて英語で説明するのも楽しい。

八島游舷さんの本

Final Anchors (早川書房)

Final Anchors (早川書房)

  • 作者:八島 游舷
  • 発売日: 2018/08/15
  • メディア: Kindle版

おすすめの本

この連載で使用の音声は、こちらの書籍に収録。音声の英文や和訳も掲載しています。

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文:八島游舷(やしまゆうげん)
小説家。英語での小説出版を目指している。「天駆せよ法勝寺」(東京創元社。九重塔が宇宙船となり彼方の星にある大仏を訪れる仏飛びSF)で第9回創元SF短編賞受賞。ダウンロード回数は1万を超える。『Final Anchors』(早川書房。2台のAI自動運転車が衝突寸前の0.5秒で対話する)で第5回日経「星新一賞」グランプリ、『蓮食い人』で同優秀賞をダブル受賞。LINE公式アカウントLINE ID: @977nquea。https://yashimayugen.com