オーディオブックとツールを活用して英語力アップ! リプロダクションの幅を広げよう

リプロダクションのススメ

英語を聞いたり話したりする力をまとめて強化できたらいいな、と思ったことはありませんか? そんな効率のいい勉強法、実は本当にあるんです。それが「リプロダクション」。「天駆せよ法勝寺」で第9回創元SF短編賞受賞の著者、バイリンガル小説家の八島游舷(やしまゆうげん)さんが実践しているその方法をわかりやすく丁寧に解説します!

▼リプロダクションって何? という方はこちら!

ej.alc.co.jp

リプロダクションにおすすめのリスニング素材とは?

リプロダクションの素材として、さまざまなサイトの音声が使用できます。

以下は特に英語学習者向けに作られたサイトです。

▼ VOA Learning English(米国の国営放送「Voice of America」が運営)

learningenglish.voanews.com

▼ BBC Learning English(英国の公共放送局「BBC」が運営)

www.bbc.co.uk

VOAとBBCでは、音声ファイルとスクリプトをダウンロードできます。VOAでは簡単な語彙(ごい)が使われていますが、それでもこのコラムでこれまでやってきた内容と比較すると語彙の幅が広く、かなり難しくなっています。ただ、音声ファイルやテキストはパブリック・ドメインとされており、利用者が著作権侵害を気にせずに利用しやすくなっています。

BBCは、イギリス英語の発音を身に付けたい人におすすめです。“Stories for Children”というコーナーもあるので、ここから始めるのもよいでしょう。

www.bbc.co.uk

どちらにも共通して重要なのは、自分が興味を持つ内容を見つけて聞くことです。それぞれのサイトの検索機能を活用してください。

また上級者にはオーディオブックもおすすめです。朗読のほかに、複数の声優が参加するオーディオ・ドラマもあります。オーディオブックの老舗であるAudible.comはAmazonの子会社です。基本的に有料サービスです。Kindleと連携させたサービスが強みです。基本的にネイティブ向けなので、難易度としては最も難しくなります。Audible.comは、日本向けのサービスであるAudible.co.jpと、扱う書籍は重なります(Audible.co.jpで英語のオーディオブックの購入もできます)。しかし、サービスとしては切り離されており、英語のサイトの方が、キャンペーンなどが活発でお得です。英語の音声を主に聞く場合はAudible.co.jpではなくAudible.comに登録することをおすすめします。

www.audible.com

私が考えるオーディオブックの大きな利点は、本を完読できる率が大幅に高まるということです。オーディオブックを聞きながらそれをリプロダクション素材にするのは難易度が高く、根気も必要ですが、自分が本当に聞きたい内容で英語スピーキングが鍛えられるのは魅力的です。

Audacityで自由自在にリプロダクション!

今回は、無料の音声編集ソフトAudacityを活用してより便利にリプロダクション練習をする方法をご紹介します。WindowsとMacの両方に対応しており、以下からダウンロードできます。

▼ダウンロードはこちら
https://www.audacityteam.org/

パソコンでリプロダクション練習するときは、ぜひ試してください。

Audacityを使う利点は主に以下の2つです。

  • 音声の切れ目が視覚的に把握できる。音声の切れ目が視覚的に把握できる。
  • 音声の切れ目をクリックして、そこからすばやく再開できる。

Audacityで自由自在にリプロダクション

1. mp3ファイルをダウンロードしよう

音声として、前述のVOAとBBCから事前にmp3ファイル(音声ファイルの形式)をダウンロードしておく必要があります。Audacityでは、再生速度を変更でき、また音声の波形を見ながらボタン(またはキーボードの「P」キー)で一時停止ができます。

2. 楽に音声の切れ目が予測できる

慣れないと戸惑うかもしれませんが、波形の意味を理解する必要はありません。一つだけ、「波がない線上が無音部分(音声の切れ目)」ということだけ覚えてください。つまり、Audacityでは、音声の切れ目を視覚的に把握できるので、楽に切れ目を予測できます。また、戻るときは数字のある定規のようなところをクリックして移動できます。

3. アクセントやイントネーションを頭の中で再現しよう

波形を見ながら何回かリプロダクションを繰り返して、無音部分で止め、正確な内容を発声できているか確認してみましょう。内言をリハーサルするときは、話し手の口調の特徴、たとえばアクセントやイントネーションを頭の中で再現するとうまくいきます。意味の理解は内容の保持には役立ちますが、意味に囚われ過ぎると、頭の中で別の言葉にすり替わることもあります。音として捉えることも重要です。内言で完全に再現できてから実際に発声します。

4. 音声再生と同時に発声してみよう

最後に、音声再生と同時に発声してみると、間違えている箇所に気付きます。これも一度ではなかなかうまくいかないので、何度か繰り返して問題ありません。ただ内容を暗記することが目的ではなく、鍛えるのは聞きとり、リテンション(内言での記憶保持)、発声という一連の過程ということをお忘れなく。

少しずつリプロダクションする範囲を積み重ねて伸ばしていく練習をするときも、任意の場所にクリックでいけるので便利です。

テンポを変えて聞きやすい速度に落とす

音声の再生速度が速すぎる場合は、Audacityを使って遅く調整できます。単純に音声の再生速度を遅くすると、ピッチが低くなり不自然な音声になってしまいます。自然なピッチを保ったまま音声を遅くして聞くには、テンポを変えます

テンポを変えて聞きやすい速度に落とす

1. mp3ファイルを読み込んだ後でCtrl+Aキーを押してファイル全体を選択します。
2. [Effect]メニューから[Change Tempo…]を選択して"Percent Change"の数字を-20にします(上図)。これでテンポを20%遅くできます。
3. 編集したmp3ファイルを保存する場合は、[File]メニューから[Export]、[Export as MP3]の順に選択します。

リプロダクションは英語で考える練習

リプロダクションは英語で考える練習の一つです。シャドーイングでは記憶する必要がないことに加え、英語の意味を考える必要はありません。音として捉えた情報を音として機械的に発声するだけで成り立ちます。これはこれで一定の効果はあります。英語力が十分に高い人であれば意味について考える余裕もあるかもしれません。しかし、リスニングとスピーキングを並行して行うために、シャドウイングを必要とするレベルの人にとっては、シャドウイング中に意味を考えることは困難です。

この点、リプロダクションでは意味を理解して意識に残さなければ記憶するのが難しいということに気付くはずです。リプロダクションでは、音声を聞いた後で休止してリテンションする間に意味を考える時間がちゃんとあるのです。

また、英語の音を内言として意識に保持する(リテンション)という行動は、翻訳を阻止することにもつながります。以前にも書きましたが英語学習の重要な目標は、頭の中で翻訳をせずに、英語を英語として処理することです。

もちろんリプロダクションだけで英会話練習が完結するわけではありません。リプロダクションで行うのは聞いた内容の意味を考えるというタスクです。自分で言いたいことを言葉にするには会話練習そのものが必要です。次回は、最終回です。Skypeを活用した会話練習をご説明します。

リプロダクションがうまくいかない場合は、どのような点でつまずいているか具体的にお知らせください。次回にこのコラムでアドバイスできるかもしれません(お名前は出しませんのでご安心を)。

本記事へのご感想はこちらからお送りください。

今回のまとめ

  • VOAやBBCの音声ダウンロードを活用してリプロダクション練習をしよう。
  • 自分が興味を持つ内容を見つけて聞くことが重要。
  • 英語学習の重要な目標は、頭の中で翻訳をせずに、英語を英語として処理すること。

八島游舷さんの本

Final Anchors (早川書房)

Final Anchors (早川書房)

  • 作者:八島 游舷
  • 発売日: 2018/08/15
  • メディア: Kindle版

おすすめの本

この連載で使用の音声は、こちらの書籍に収録。音声の英文や和訳も掲載しています。

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文:八島游舷(やしまゆうげん)
小説家。英語での小説出版を目指している。「天駆せよ法勝寺」(東京創元社。九重塔が宇宙船となり彼方の星にある大仏を訪れる仏飛びSF)で第9回創元SF短編賞受賞。ダウンロード回数は1万を超える。『Final Anchors』(早川書房。2台のAI自動運転車が衝突寸前の0.5秒で対話する)で第5回日経「星新一賞」グランプリ、『蓮食い人』で同優秀賞をダブル受賞。https://yashimayugen.com