英語学習で最も取り組みやすいことの一つは、英語を「読む」こと。リーディングのコンテンツにはさまざまな種類がありますが、ここでは「英字新聞」に着目。英語学習者向けの英字新聞『The Japan Times Alpha』編集長の高橋敏之さんに、「会話力向上」に特化した学習法を教えていただきます。今回は全3回の第2回です。
第1回の記事はこちら。
活用術2:スピードを上げる
直読直解には多読が効く
ネイティブスピーカーは1 分間に160 ワード前後を発話するといいます。そのため、ネイティブの発話スピードについていくには、頭の中で瞬時に理解する処理能力が求められます。スピード感を養うなら、英字新聞などで多くの英語に触れる「多読」が有効でしょう。まずはストレスなく読めるレベルの英語をたくさん読みましょう。しっかり理解できるようになったら「音読」へ。左から右に、英語の語順どおりに理解するトレーニングになります。日本語と英語は語順がまったく違うので、いちいち日本語に置き換えているとスピードが遅くなってしまいます。
リスニングも、スピードを養うのに有効なトレーニングです。音読のときに行う直読直解と同様、聞こえてくる順番どおりに理解しなくてはならないからです。まず、いろいろな英語の文章に触れましょう。多読をして、その文章を理解したら音読をする。さらにその音声を繰り返し聞くことで、日本語に訳さず語順どおりに理解する力が養われ、おのずと読むスピードは速くなっていきます。
活用術3:情報処理力を磨く
「木を見るより森を見る」が大切
わからない言葉が出てくるとその都度辞書に頼りがちですが、多読に関しては辞書を引かない方がいいでしょう。普段、私たちが日本語で会話するときは、知らない言葉にいちいち立ち止まって質問せず、文脈から推測して全体を理解しようとしますよね。英語を読むときも、同じように推測力を働かせて先へ進む方が情報処理力は高まります。どうしても気になる単語がある場合は印を付けて、後で辞書を引くとよいでしょう。
英字新聞を読むときは、興味のある記事だけを辞書を引かずにサラッと読んでいくのも手です。人によって趣味嗜し好こうは違います。興味のないものは飛ばしてしまう方が、無理なく継続につながります。興味のある記事は、多読後に精読もしましょう。知らない単語は辞書を引き、完璧に理解するのです。
「木を見て森を見ず」にも気を付けなくてはいけません。先日、オリンピック延期のニュースに、安倍首相がバッハIOC 会長と「中止はないと確認した」という文がありました。confirmed that ~ とあればすぐに理解できる内容が、confirmed with Bach that ~ となっていました。間にwith Bach があるだけで、「どういう意味だろう?」と、細部(木)に気を取られて全体(森)が見えなくなったのです。情報処理力を高め、一語一語にとらわれずに全体を見渡せる力を付けましょう。
第3回に続く
絶対に目標達成したい人、必読
英語学習者向けの週刊英字新聞『The Japan Times Alpha』編集長が、英語の勉強について迷っている人、過去に挫折したことのある人に贈る学習法の本。英語学習に対する誤った思い込みを正し、「ネイティブの話すスピードについていく英語の処理能力を身に付けるには?」「頭に入れるだけでなく、忘れない最強のインプット法とは?」など、目的に到達するためのノウハウを丁寧に解説します。
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高橋敏之(たかはし としゆき)
『The Japan Times Alpha』編集長。ジャパンタイムズ入社後、英語学習紙編集部配属となり、国際ニュースページや英語学習コラムの執筆等を担当。2012年10月より現職。企業・大学での英語研修や英語学習に関する講演会等も多数実施。英字新聞で英語力を飛躍的に高めた自身の経験から、娯楽性と学習効果を両立させた最高の英字新聞を作ることをライフワークにしている。TOEIC990点、英検1級。
取材・文:吉澤瑠美
※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2020年7月号に掲載した記事を再編集したものです。