困難な状況のときに「耐えろ」って英語でなんて言う?【デイビッド・セイン】

英語を話すとき、「いつも同じ表現ばかり使っているなぁ」と感じることはありませんか?連載「サラッと言いたいネイティブの英語」は、学校では習わないけれど、英語ネイティブはよく使う、自分もちょっと言ってみたいと思えるスマートな英語表現を紹介します。

つらい試練に耐えている人を励ます英語表現

楽しみにしていた春ですが、新型コロナウイルス(英語では通称:novelの影響でイベントなどは自粛ムードですね。また、3月11日は2011年に震災があった日で、今月は平穏な日常生活について考えさせられるところがありました。

そんな閉塞感の漂う日本ですが、英会話スクールでは小学生の生徒さん同士でマスクを分け合うほほえましい光景も目にできました。今回はつらい状況にいる人に使える 便利なフレーズをご紹介したいと思います。

Hang in there.

Hang in there.という表現です。hangは洋服を掛けるハンガーからもわかるように、「?をつるす」とか「垂れ下がる」という意味があります。

そこに垂れ下がれという意味ですが、ニュアンス的には「そこに食らい付いていろ」とか「しがみ付いていろ」というイメージで、困難に直面している人に「諦めずにそこにしがみ付いていろよ」と応援するときに使います。

例えば何かの試験に向けて頑張っている、とか つらい試練に耐えているような状況にいる人に対して使うことができます。会話での使い方を見ていきましょう。

A: I still haven’t secured a job.
仕事が全然決まらないんだ。

B: Hang in there. You’ll definitely get one. Don’t panic.
頑張って。絶対に決まるわよ。焦らないで。

このように、何かを志している最中の人が弱音などを吐いたとき、「そのままそこで頑張って!」と諦めさせないような応援フレーズになります。ここでのthereは実際の場所というよりは、現在その人が置かれている状況を指しています。

相手の置かれている状況が困難であることを理解しつつも、なんとか乗り越えれば、きっと報われるからという気持ちを込めて使います。

A: I was dumped by Jessica.
ジェシカに振られちゃった。

B: Hang in there. There are plenty more fish in the sea.
気を落とすなって、ほかにもいい子はたくさんいるさ。

このように、恋愛など、日常の場面で落ち込んでいる相手に対しても「へこたれるなよ」「くよくよするなよ」と叱咤(しった)するときに使うことができます。

また、スポーツ観戦の応援で、ギリギリのところで頑張っている選手などにもHang in there!(こらえろ!)などと声を掛けることができます。もう一つ、Stick with it!も同じニュアンスで使えるフレーズなので覚えておきましょう。

A: I failed the exam again.
また試験に落ちちゃったよ。

B: You have to stick with it.
諦めちゃダメだよ。

stickは「にくっつく」という意味があるので、「にしがみ付け」のようにhang と似たニュアンスになります。くじけてしまいそうな人がいたら、ぜひ声を掛けてあげましょう。

また、励ますほかに、What’s up?(調子はどう?)などと聞かれたときに、I’m just hanging out.(まあ、なんとかやってるよ)と、あいさつの答えとしても使うことができます。

hangを用いた、よく使う英語表現

ほかにも、このhangを使ったフレーズでとてもよく使うのがhang outという表現です。口語で「つるむ」とか「たむろする」、つまり「遊ぶ」という意味で友人同士でよく使います。

例えば、次のように使います。

A: I’m hanging out with my friends tomorrow night. Do you want to come?
明日の夜、友達と遊ぶんだけど、来ない?

B: Sure, I’m completely free!
行きたい、すごい暇なんだ!

また、これからの予定などを聞かれて、I’m just hanging out with my friend.(ちょうど友達と会うんだ)と、答えることができます。

日本語では「遊ぶ」というのでplayという単語を使いたくなるかもしれませんが、playだと子どもが何かの遊びをするというイメージです。大人が友人たちと「遊ぶ」と言うときはhang outがしっくりきます。日常会話でとてもよく使う表現なので、覚えて使ってください。

あなたの英語の未来は明るい!

人を励ます表現はたくさんありますが、Hang in there!は、声を掛けられるとうれしく、とても力が湧いてくるフレーズです。すでに何かを頑張っている人、頑張っているが困難な状況にいる人に掛ける言葉を覚えて、どんどん使ってみましょう。

英語の勉強を頑張っている皆さん、続けていればきっと身になります。

Hang in there! Don’t give up!

東京・根津エリアを散策するデイビッド・セインさん

デイビッド・セインさんの本

「もう行かなきゃ」はI’d better take off.、「もう水に流そうよ」はLet’s drop it.。ネイティブは実は長いフレーズは使わず、ほとんどが「1行」です。それでも「言いたいニュアンス」がしっかり伝わり、ネイティブが好んで使うフレーズが1冊になりました。日常会話、海外旅行、ビジネス、来日した外国人との会話で、「言いたい英語」が必ず見つかるはずです!

David Thayne
文:David Thayne(デイビッド・セイン)

米国生まれ。証券会社勤務後に来日。日本での30年にわたる英語指導の実績を生かし、英語学習書、教材、ウェブコンテンツの制作を手掛ける。累計400万部を超える著書を刊行、多くがベストセラーとなっている。NHKレギュラー出演のほか、日経・朝日・毎日新聞などに連載。企業・学校などでビジネス英語、TOEIC、日本文化を英語で紹介する講演会や行政向けのセミナーも開催。近年は自然英語キャンプを主催し、オンライン英語教育システムも開発中。 AtoZ Englishwww.atozenglish.jp )主宰。

写真:山本高裕

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