オーストラリアの大学院で開発学を学んだ「ちーや」さんが、英語とポジティブに向き合うコツを紹介します。第5回は「留学前にしておくといい準備」です。
留学後の学習も生活も事前準備が大切
僕はオーストラリアの大学に進学し、渡豪してから5年がたちますが、今振り返ると英語学習や生活面で、「留学前にしておけばよかった」と思うことがたくさんあります。
今回は、僕が留学前にすればよかったと思うことを紹介していきます!(皆さんが僕と同じ轍[てつ]を踏みませぬよう・・・)
中学校で習う基礎英語を徹底的に習得する
第3回でもお伝えしていますが、日常で使用される英語表現の80パーセントは日本の中学校で習うようなものばかりです。
「留学=難しい英単語を使わなければならない」とか、「難解な英文法を使って話さなければならない」などと考えてしまいがちです。しかし、ネイティブスピーカーは簡単な英語表現をたくさん使い、シンプルな英文法でサクッと会話を進めています。
留学前に学ぶべき基礎英語とは、この3つです。
- 英単語
- 英文法
- 発音
留学先で必要になるのは「使える英語力」であり、もっと掘り下げると「実際に話せる英語力」だと僕は考えています。この3つの要素のどれか1つでも欠落すると、英語は話せません。
英語を話すとは、「瞬時に脳内で英作文し、それを実際に言葉にして発声すること」です。
使える英単語数が少なければ考えや気持ちを表現できる範囲が狭くなり、文法力が欠落していると自分の思いを正しく伝えることはできません。そして、脳内で英作文できたとしても、実際に英語を発声できなければ伝わりませんよね!
この3つの要素を同時に鍛えつつ、「使う練習」をしておくと、留学先でも英語力がすごく伸びます。
ここで気を付けていただきたいのは、英単語も英文法も中学レベルのものを使用することです。
日常で使われる英語はシンプルなものが多いので、使用頻度の高いものから勉強すると、短期間で実践力を上げられます。そのため、留学前は英語の基礎力を徹底的に鍛えることをおすすめします!
英語の音を耳に擦り込む
英単語や英文法と並行して進めるといいのが、音の刷り込み、つまりリスニングです。
英単語や英文法は学校で勉強した経験があるため、たいていの人は対策しようとします。しかし、英語の音については、なぜかノータッチで留学する人が多いようです。
しかし言語習得では、「音」が非常に重要です。単語や文法などの文字情報も、英語の「音」さえ脳内に定着していれば、後々伸びていきやすいといわれています。
例えば、母語でも、僕たちは小学校に入るまで読み書きを習うことは基本的にはありませんが(僕の家庭では習いませんでした・・・)、家族の話を理解し、自分の気持ちを言葉にすることができていましたよね。
それは、脳内に日本語の「音」があったからです。
英語においても、音のベースがあれば、読み書きが身に付きやすくなります。
ただ、留学できる期間は限られます。そのため、留学前に、英語の音を刷り込むのと並行して、既述のように英単語や英文法を勉強するのをおすすめします。そうすれば、短期間で総合力が伸びるでしょう。
また、音の刷り込みは発音練習で強化できます。そして、発音練習として最も優れているのはシャドーイングだといわれています。
僕が実際にやっていたシャドーイングの具体的な方法は、第2回を参考にしてみてください!
▼第2回はこちら↓
文法用語を英語で覚える
語学留学をする場合、語学学校を利用する人が多いと思います。その際にやっておくといいのが、「文法用語を英語で覚えておく」ことです。
授業のコンセプトや内容は語学学校やクラスによって異なりますが、基本的にはどんな授業であっても文法には必ず触れます。そのときに、英文法用語を英語で知らないと、最初から授業についていけなくなってしまうのです。
例えば、英文法の基礎である「SVOC」はほとんどの人が知っていますが、次のように日本語に当てはめて覚えている場合が多いのではないでしょうか?
- S:主語
- V:述語
- O:目的語
- C:補語
しかし、英語での(略さない)名称は次の通りです。
- S:Subject
- V:Verb
- O:Object
- C:Complement
留学先の英語の授業では、このような英文法用語が毎日飛び交います。そのため、用語の意味を理解していないと、授業がワカラナイの連続になってしまいます。
難しい英文法用語を覚える必要はありませんが、少なくとも中学校で習う範囲のものは頭に入れておくと、留学先ではかなり役立ちます!
留学先の情報をSNSなどで調べる
留学先で何が必要になり、どんなものを持っていけばいいのか、というのは、どこへ留学するのかによって大きく異なります。
例えば、メルボルンはオーストラリアにある大都市の一つで、南東部に位置します。国内のほかの都市と比較すると、気候において差が激しい地域です。南半球のオーストラリアでは基本的に6月から8月ごろまでが冬で、その時期に日本からメルボルンへ何を持っていくべきなのかと聞かれたら、僕は「厚手のコートは必須かな」と答えると思います。
でも、留学先が、メルボルンよりも北に位置するオーストラリア東部のゴールドコーストという地域なら、話は全く異なります。僕は去年の7月に、極寒のメルボルンから厚手のコートを身にまとってゴールドコーストに行きました。すると、現地に着いた瞬間、暑くて汗が止まりませんでした。
メルボルンとゴールドコーストは同じ国ですが、どの場所に留学するのかによって、すべき準備も変わってくるのです。
最もおすすめなのは、SNSを通して調べることです。
特にTwitterでは、世界各地にいる方とつながることができ、現地の人だからこそ知っている生の情報を、日本にいながら知ることができます。
僕はオーストラリアについて発信しているので、よければ一度のぞいてみてください!
日本について幅広く勉強する
留学先で友達をつくると、高確率で日本について質問されます。
例えば、自分の出身地のことや、アニメ、音楽などの文化、日本の政治や経済など、あらゆる分野が質問の対象になります。特に日本の漫画やアニメは海外でも大人気で、たびたび話題の中心になります。それがきっかけで仲よくなることも少なくありませんでした。
また、オーストラリアでは大学の授業でも、日本は議論の中心になることが多々ありました。
例えば、国際関係論の授業中、「〇〇の場合、日本はどこまで援助できるのか?」と質問されましたが、僕は知識が乏しかったため、答えられませんでした。そして恥ずかしながら、他国の友人から日本の援助について教えてもらうことになったのです。
海外の人が僕以上に日本のことを知っていて驚愕(きょうがく)すると同時に、「僕は日本のことを何も知らない・・・」と、海外に出て初めて気付きました。
日本について知っていることが多ければ多いほど、会話が増えます。答えられることが多ければ、それだけ深い話もできるので、友達がつくりやすくなります。
自分の興味、関心のあることからで構わないので、日本についてある程度知識を深めてから留学することを強くおすすめします!
歯の治療をする
これは本当に気を付けていただきたいことなのですが、歯の治療は保険でカバーされないことが多く、診察してもらうのにかなりのお金がかかります。
歯の痛みは神経痛なので、当然ながら勉強に集中できません。留学生活そのものも楽しめなくなってしまいます。
現地で歯の治療をするだけで、日本と現地を往復する運賃以上の金額になることも多いので、日本に一時帰国して歯の治療をする人も実は少なくありません。実際、歯の治療という理由だけで、僕は帰国せざるを得なくなりました(泣)。
僕の場合は、そのとき夏休みで、オーストラリアという地理的にわりと近い国だったため帰国できましたが、そうでない場合は頻繁には帰れないと思います。
留学生活を有意義にする1つのコツは、生活におけるストレスをできる限り少なくし、留学先での目標やゴールに邁進(まいしん)することです。
歯の痛みは我慢できるものではないため、渡航前に必ず治療するようにしてください!
留学前の準備で留学がより有意義に
留学先でどんなものを得られるのか、どのようなことができるのかは、留学前にどれだけ準備できたかによります。特に英語力については、日本で事前に準備しておくことで、留学先での伸びが圧倒的に変わってきます。
僕の場合は留学に来てからそれを知りましたが、これから留学を控えている皆さんはまだまだできることがあると思います。今回ご紹介したことを念頭に、ぜひ頑張ってください!
文:ちーや
メルボルン大学開発学修士号卒。留学英語モチベーター。「留学をよりPOPに」をコンセプトに、英語力ゼロから留学を目指す人のための英語学習法やオーストラリア留学のリアルをメルボルンより発信中。Twitterフォロワー1万9千人。
Twitter:@ChiyaMelbourne/英語学習サイト「ゼロ英語」:https://chiya-eng.com/