
「英語多読ニュース」(3月6日号)。今回取り上げるのは、温室効果ガスの一つ、二酸化炭素(CO2)を石炭にしてしまう技術が見つかったというニュースです。
普通の生活を送っていると、地球温暖化のような大きな問題は、どうしても他人事としか思えません。でも、その地球温暖化などの 影響 で、最速20年で北極の氷がなくなってしまう かもしれない ――。そんなニュースを耳にすると、事態の深刻さに 改めて 驚がくします。
www.sciencedaily.comこの人類の未来に大きな 影響 を及ぼす環境の変化に対し、科学者たちは警鐘を鳴らすだけでなく、解決策を見出す努力を日々重ねています。そんな中、オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学の研究チームが、次のような発見をしました。
Scientists have discovered a breakthrough technology, a way to pull CO2 from the atmosphere and turn it back into coal. This new discovery has the potential to change the way we think about CO2.www.forbes.com科学者たちは大気から二酸化炭素を 抽出 し石炭に戻すという画期的な技術を発見した。この新発見は、私たちの二酸化炭素に対する概念を変える 可能性 を秘めている。
二酸化炭素を石炭に戻す。これは史上最大のリサイクル技術とも言える大発見かもしれません。 ちなみに 現在、二酸化炭素に対しては次のような技術が用いられているそうです。
Current technologies for carbon capture and storage focus on compressing CO2 into a liquid form , transporting it to a suitable site and injecting it underground.eurekalert.org現在の炭素捕捉および 保管 技術は、CO2を液状に圧縮、適切な場所に移送し地中に注入することに重きを置いている。
液体にしてどこかに埋めるということは、近い将来、 保管 場所はいっぱいになってしまいます。これでは根本的な問題解決にはつながりません。
また、これまでも固体化の技術はありましたが、極めて高い熱を必要とするため、実用化には至っていないようです。
では、今回の新発見では、どのように空気中の二酸化炭素を捕捉し、石炭に戻すのでしょう。用いるのは、とある液体金属。電気をよく通す物質を触媒とすることで、常温でCO2を石炭に戻せるのだそうです。
The carbon dioxide is dissolved in a beaker filled with an electrolyte liquid and a small amount of the liquid metal, which is then charged with an electrical current . The CO2 slowly converts into solid flakes of carbon, which are naturally detached from the liquid metal surface, allowing the continuous production of carbonaceous solid .medium.com電解液と少量の液体金属で満たしたビーカーに電流を流すと、炭酸ガスは分解される。二酸化炭素は徐々に固形化した炭素の粒となり、液体金属の表面から自然と分離する。そして、この炭素固形物生成は断続的に繰り返される。
今回の発見は、まだ研究室で生み出されたばかりですが、早く実用化されることを願います。研究関係者の一人は次のようなコメントを残しています。
“ While we can’t literally turn back time, turning carbon dioxide back into coal and burying it back in the ground is a bit like rewinding the emissions clock,” RMIT researcher Dr. Torben Daeneke said in the press release .常温で化学変化が起こせるそうですから、そのうち、一家に一台、二酸化炭素リサイクル装置のようなものが常備される時代が、ひょっとしたらやって来るかもしれませんね。「時間を巻き戻すことはできませんが、炭酸ガスを石炭に戻して地中に埋めることで、地球温暖化時計を少しだけ巻き戻すことができるかもしれません」と、ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)の研究者トーベン・デネク博士は記者発表で述べた。
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