新たに単語を覚えなくても、すでに知っている単語を組み合わせることで、英語で表現できる幅を広げる方法を紹介します。ポイントは「句動詞」!句動詞の短い意味の固まりをイメージで理解して、英語を発信するスキルを身に付けましょう。今回は動詞「get」の句動詞のイメージを探ります。
ネイティブは単語をイメージで使いこなす!
句動詞は、基本動詞と前置詞・副詞の組み合わせです。今の語彙力でもっと話せるようになりたい、そんな方に速攻役立つ表現方法です。
前置詞は、名詞・代名詞の前に置いて、場所や方向、時など、名詞・代名詞の意味を補う言葉です。with、at、from などがあります。
副詞は、形容詞や動詞などを修飾する言葉で、very、quickly、often などがあります。
今日紹介するのは、動詞 get と前置詞や副詞の組み合わせです。
中学校レベルの語彙力でも、ネイティブ・スピーカーのように英語を感覚的に使いこなせるように、単語のイメージをクイズで学びます。想像力を働かせて get が持つイメージの世界に浸ってみましょう。
動詞「get」は、あるものや状態を得る、手に入れるイメージ!
get は、「得る・着く・(ある状態に)する・(ある状態に)なる」というのが基本的な意味で、あるものや状態を得る、手に入れるイメージがあります。
句動詞クイズ「get +1語」
動詞 get と、前置詞や副詞の持つイメージを想像しながら、さっそくクイズを解いてみましょう。かっこの中の単語のどちらかを選びましょう。
クイズ
Q1.私はスマホなしでも何とかやっていける。
I can get(along・away)without a smartphone.
Q2.やっとお客様サポートに電話がつながった。
I finally got(in・through)to customer support.
Q3.サムはいつも面倒に巻き込まれている。
Sam is always getting(around・into)trouble.
Q4.私にうそをついて、ただで済むと思っているの?
Do you think you can get(away・on)with lying to me?
Q5.本気で勉強に取り組むことにした。
I've decided to get(down・along)to studying.
Q6.彼のことなんか忘れて、新しい人を見つけなきゃだめだよ。
クイズの答え
Q1.私はスマホなしでも何とかやっていける。
I can get along without a smartphone.
「get(着く)+ along(先へ)」=(~なしで)何とかやっていく
Q2.やっとお客様サポートに電話がつながった。
I finally got through to customer support.
「get(着く)+ through(通り抜けて)」=(場所・人に)電話が通じる
Q3.サムはいつも面倒に巻き込まれている。
Sam is always getting into trouble.
「get(着く)+ into(~の中に)」=(事件など)に巻き込まれる
Q4.私にうそをついて、ただで済むと思っているの?
Do you think you can get away with lying to me?
「get(なる)+ away(なくなって)」=(悪いことをして)逃れる
Q5.本気で勉強に取り組むことにした。
I've decided to get down to studying.
「get(着く)+ down(下方に)」=(仕事などに)本格的に取り組む、取り掛かる
Q6.彼のことなんか忘れて、新しい人を見つけなきゃだめだよ。
You have to get over him and find someone new.
「get(着く)+ over(越えて)」=(別れた恋人など)を忘れる
前置詞と副詞のイメージをつかもう
「~に沿って」「づたいに」「先へ」 along の持つイメージは、 「あるものが、長いものに沿ってずっと続いている」です。 |
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at |
「~に」「~を」「~をめがけて」 at のイメージは、「漠然とした場所やある所にある」で、中や外など柔軟に表すことができます。 |
away |
「離れて」「不在で」「なくなって」 away には「ある所から見て、具体的または比ゆ的な意味での道のりが遠い所」というイメージがあります。 |
「~のそばに」「~によって」「そばを」 by は「ある人やもののすぐそばで支えたり、補佐したりしている」イメージです。 |
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down |
「下方に」「底に」「より劣悪な状態に」 down には「基準となる位置より下側にある」というイメージがあります。 |
into |
「~の中に」「~に」「~へ」 into には「あるものの内部へ入り込む」というイメージがあります。 |
off |
「離れて」「脱いで」「止まって」「すっかり」 off のイメージは「あるものが、別のあるものの表面から離れている」です。 |
「上に」「覆って」「越えて」「終えて」 over のイメージは「あるものの上を越える」です。 |
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「通り抜けて」「始めから終わりまで」「終えて」 throuogh には「あるものを通り抜ける、突っ切る」というイメージがあります。 |
どんどん使ってみよう!
会話で使える「get」を使った例文を紹介します。具体的な状況を想像して、声に出して言ってみましょう。
彼女は夫と仲良くやっている。
この本のおかげで試験に合格することができた。
This book got me through the exam.
彼は幸運にも50ドルの罰金で済んだ。
君が何を言いたいのか、分からないな。
I don't see what you're getting at.
ひと月10万円あれば何とかやっていける。
おすすめの本
本記事のクイズは、『英語は2語で何でも言える!』(アルク)を参考にしています。27の基本動詞と、30の前置詞・副詞の組み合わせで、どんどん英語表現のイメージを膨らませることができます。
また、「日本最古の漫画」とも言われる国宝、鳥獣戯画のキャラクター、ウサギ・カエルが本書では案内役として句動詞のイメージをさらに分かりやすく伝えています。
阿部 一 (あべ はじめ)
阿部一英語総合研究所(英総研)所長。文部科学省をはじめ、英検や各都道府県の教育委員会・教育センターなどで、日本人教師や外国人講師に講演会、研修会、ワークショップなどを行う。
編集:増尾美恵子