英語で言いたいことがあっても、毎回「えーっと」と考えていたのでは会話のスピードについていけません。英語がパッと瞬間的に口から出てくるようにするには、どうすればいいのでしょうか。今回は、効果抜群のトレーニング法を3種類ご紹介。同時通訳者の横山カズさんに聞きました。
目次
英語スピーキングの鍵は「瞬発力」
英語を話すときに一番問題になるのは、「瞬間的に英文を思いつけるかどうか」ではないでしょうか。単語を覚え、熟語を覚え、例文もたくさん覚えたのに、いざというときに英文が思いつかない。そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
ここで1つ、大事な数字を紹介しましょう。あなたが今、英文を1つ作るのに2分(120秒)かかっているとします。これがもし、瞬間的に0.5秒くらいで英文を作れるようになったらどうでしょうか。
120秒÷0.5秒=240
あなたの英語を発信するスピードは240倍になるんです!これならスムーズに英語で会話することができますね。英会話には瞬発力が大切なことがよくわかります。
では、瞬発力を高めるにはどんなトレーニングをすればいいのでしょうか。私のおすすめは、次の3つです。
これらのトレーニングを繰り返せば、何かしようとしたとき、何かを見たとき「英語で発想する」スピードが速くなり、「英語で話す・書く」ことがぐんと楽になります。ぜひやってみてください。
【1】I wonder ~で「英語で思う」トレーニング
人間は話していないときでも、絶えず心のなかで何か考えていますね。「~かな?」「~かしら」とずっと思っているわけです。
この表現「~かな?」「~かしら」を英語にすると次のようになります。
I wonder if S+V
家を出たあと、「ドアの鍵を閉めたかなぁ」と思ったら次のような表現になりますね。
I wonder if I locked the door.
このように、基本的な動詞とシンプルな語彙を使いまわし、何でも「I wonder if S+V」に落とし込んでみましょう。続けていくうちに、「英語で思う」ことが習慣になっていきます。いくらでも英文が作れますよ。
次に例を挙げますので、ぜひ声に出して言ってみてください。
日常生活
朝起きてから夜寝るまで、「~かしら」と思うことは無限にあります。
できるかなぁ。
うまくいくかなぁ。
I wonder if I took in the laundry.
洗濯物入れたっけ?
I wonder if “everything” is all right.
“いろいろ” 大丈夫かな。
人のことを考えたり、心配したりするときもこのパターンが仕えます。
I wonder if he / she's “doing okay”.
あの子、“ちゃんとやってる” かなぁ。
if ~の代わりに、前回紹介したwhatで始まる名詞節を使うこともできます。
I wonder what happened to him / her.
あの人、何があったんだろう?
就職活動
リクルートスーツの人を見かける季節になりました。就職活動中は不安になったり、疑問に思ったり、「~かなあ」と考えることがたくさんありますね。
内定(合格) とれるかなぁ。
どうすればいいかな。
I wonder what's happening.
一体どうなってるのかな。
就職活動がなかなかうまくいかないと「私って人事部の人に嫌われているのかな」と不安になってきますね。この気持ちも英語にしてみましょう。
I wonder if he / she hates me.
嫌われてないかな。
この場合、日本語では「嫌われる」といいますが、英語では受動態にはしません。上記のように、能動態にしたほうが英語らしい表現になります。次のケースもそうで、「彼らは私に何を求めているの?」と考えましょう。
I wonder what they want.
私にどうしろと?
【2】the way を使いこなして話し上手に!
I wonder ~ を使って「英語で思う」練習をしたら、今度は人に話しかけてみたいものですね。the way を使うと、あるものごとに対する自分の意見を簡潔に言えるので、初対面の人にも話しかけやすくなります。
相手のいいところを見つけて、the way を使って気持ちを伝えましょう。次に挙げた例文をどんどん続けて音読し、英語のスピードとリズムに慣れてください。
I like the way you talk.
あなたの話し方が好き(すてきな話し方ですね)。
I like the way you sound.
あなたの声が好き(すてきな声ですね)。
I like the way you walk.
あなたの歩き方が好き(歩き方がすてきですね)。
I like the way you look.
I like the way you dress.
あなたの着こなしが好き(すてきな着こなしですね)。
I like the way you write.
あなたの書き方が好き(すてきな文章ですね)。
「とにかく何でも好き」という感じになってきたので、最後にまとめてこう言ってみましょう。大文字の部分は強く読んで、自分の体に深く印象付けてください。
I mean...I like the way you ARE!!
あなたのすることは何でも好き!
アレンジして、 I LOVE the way…や、I DON'T like the way...、I HATE the way... でも練習しておくとよいでしょう。
the way を使いこなせるようになると、「これが好き」または「好きでない」という意見を素早く伝えられるようになります。
【3】「, which」で途切れることなく話そう
「, which」、すなわち「カンマ+ which」 の使い方を覚えると、思いついたことを継ぎ足し、どんどん続けて話せるようになります。
次の例文を見てください。一見するととても長い文に見えますが、一つひとつはそれほど難しくない短文を「, which」で上手につないでいます。
I went to Kobe the other day and met my old friends , which was a great time because we had such a nice conversation , which I want to do some time soon again , which could be pretty difficult though as my job usually doesn't allow me to do it , which I hate.
この前神戸に行って昔からの友達に会ったんだけど、それがすっごく楽しかったんだ、っていうのも話しててほんとに楽しくて、そしてそれをまたやりたいんだ......そしてそれが結構難しくはあるんだけど、っていうのも仕事の方が許さなくてね、それが嫌なんだけど。
「, which」は「そしてそれが」または「そしてそれを」という訳で覚えておきましょう。理由を表す because や as は、「っていうのも」「っていうのは」という意味です。
この例文は、「残念だなあ」という感情をこめて音読してください。「~したいけど、無理だな。残念だな」というような愚痴って、どんどん続けて出てきてしまいますよね。感情をこめて音読することで、文の先頭から続けて言えるようになりますし、聞いたときにも文頭から理解できるようになります。
まとめ
これまで計4回に渡って、リスニングとスピーキングの練習法を紹介してきました。どれも、練習法を知っているだけでは意味がありません。何度も繰り返し練習して、英語力アップに役立ててください!
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文:横山カズ @KAZ_TheNatural
関西外国語大学・外国語学部スペイン語学科卒。発音検定EPT最高ランク(指導者レベル)、ICEE(国際英語コミュニケーション検定)2012年優勝、英検1級。同時通訳者(JAL)、翻訳家、英語講師。高田学苑英語科特別顧問。エスコラピオス学園 海星中・高等学校英語科特別顧問。学びエイド、リクルート・スタディサプリENGLISH講師。英語を日本国内で独学し、航空・IT・医療・環境・機械・国際関係・文学など多分野で同時通訳者として活躍中。JAL(日本航空)グループ、楽天株式会社では英語力向上と社内公用語化に貢献。「英語4技能」・英語スピーキングのエキスパートとして日本全国で授業と講演を行っている。著書多数。ジパングマネジメント株式会社・文化人枠所属 。
編集:川浦奈遠子