TOEICテスト対策のエキスパート、ハマーさんこと、濱﨑潤之輔さんに、公式問題集を使って目標スコアを達成する学習法を伺いました。
TOEIC対策の基本は公式問題集
検定試験は過去問があるのが普通ですが、日本では(韓国では2017年末にTOEICの過去問が発売されました)TOEICの過去問は出版されていません。公式問題集がその代わりになります。
ただ、この公式問題集に掲載されている問題は、実際のテストを作成しているETS(テスト作成はETS、公式問題集はIIBCが編集・出版)が作っているので、本番を想定した模擬試験として使うことができます。
TOEICを初めて受ける方も、公式問題集を使えば「本番の試験ってこんな問題が出るんだ」ということを、しっかりと把握することができます。
公式問題集を徹底的に使い倒して、確実に成果を出す方法をご紹介しましょう。
ステップ1:時間を計って解いてみる
最後まで解き切れなくてもいいので、まずは時間を計って解いてみましょう。
「こういった音声が流れて、こういった風に解き進めていくんだ」ということは最低限知っておく必要があります。まずはTOEICの全体像、スタートからゴールまでを知ってください。
駅伝に例えると、まずは平地で短い楽な区間をしっかり走れるように練習する、急な坂がある区間やものすごく長く走らなければならない区間はとりあえず後回しにする、というようなイメージを持てるようになることが、まず必要です。
楽な区間が走れないと、難しい区間は走れるわけがありませんし、また、目指すスコアによっては、難しい区間である、パート3、4、7については割り切りも必要です。
ただし、TOEICは駅伝とは異なり、1人でスタートからゴールまで走らなければいけないテストなので、試験の途中で誰かにバトンタッチすることはできないのですが。
時間が足りないことを体感する
TOEICはリスニングが約45分間、リーディングが75分間で約2時間のテストですが、解いてみると、おそらくほとんどの方は時間が足りないことに気付くでしょう。
リスニングは音声にリードされて解いていくので時間が足りなくなることはないでしょうが、75分間でリーディングセクションの100問を解き切れる方は、ほとんどいないと思います。
まずは「こんなにままならないテストなんだ」ということを知っていただくと良いと思います。
ステップ2:徹底的に復習する
次は復習です。
一般的には、復習というと、できなかった問題の解説をしっかり読んで理解し、もう一度解いてみる、という作業が思い浮かぶかもしれません。しかし、TOEICでは、それだけではまったく不十分です。
なぜなら、ある問題を理解したつもりになっても、もう一度全体を通しで解答した時に、時間内に最後まで辿り着けるかどうか、正解できるかどうかはわからないからです。
TOEICは、それぐらい分量が多いテストなのです。ひとつひとつの問題が難しいというよりも、量が多くて消化しきれないというタイプのテストなのです。
時間内にリーディングセクションを消化できるスピードを獲得するまで、公式問題集を繰り返し通しで解答する練習をすること。これが大前提です。
次に、目標スコア別に対策方法を紹介します。
ステップ3:目標スコア別の補強を行う
500点超え、600点超えを目指す方
文法問題の対策が重要です。文法問題でよく出題されるのが、1つの単語の語尾が変化した形の選択肢が並んでいる品詞問題です。品詞問題だけでもいいので、しっかりと理解しておきましょう。
また、公式問題集に出てきた単語や語句は、知らないものをなくし、英文も全て英語のまま意味が理解できるという状態になるまで、しっかりと復習しましょう。このように勉強していくと時間は結構かかります。
リスニングではパート1と2で使われる短文を、リーディングではパート5の短文をしっかりと理解できるようにします。
パート5の英文の内容とパート6、7の内容は大差ありません。ざっくり言うと、6や7に出てくる長文の一部を切り取ったものがパート5です。6や7を切り取ったものである5が理解できないようでは、6や7は当然理解できるはずがないということです。
まずは1、2、5をしっかりとできるようにすること。それまでは、3、4、6、7はとりあえず放っておいて構いません。
700点超え、800点超えを目指す方
このレベルを目指す方は、基本的な知識をある程度お持ちのはずです。なので、時間があれば7~8割の問題は正解できるでしょうし、間違った問題も、解説を読めばなぜ間違えたかを理解できるでしょう。
しかし、TOEICで目指すべきは、解説を読めば納得できるというレベルの理解ではありません。TOEICでは「テスティングポイント」を完全に理解すること、つまり、その問題が受験者の何を測ろうとしているのかを理解できる、また、自分で解説もできるレベルを目指していただきたいのです。
同じ正解でも、「なんとなく正解できた」と「なぜそれが正解で、他の選択肢が正解ではないのかを即座に説明できる」との間には大きな差があります。後者のレベルで理解できる問題が増えることで、解答の正確性はもちろん高くなりますし、スピードに乗って解答することができるようになるのです。
900点超えを目指す方
900点以上を目指す方は、公式問題集でも8割5分~9割ぐらいは取れるはずです。
復習すべき問題が1割程度しかないわけで、その1割をしっかりと復習して終わりという方法もありますが、私のおすすめは、復習の時に200問全てを何度も解き直すという方法です。
TOEICは長丁場で、なおかつ自分の集中力をコントロールしなくてはいけない試験です。ペース配分能力や集中力を高めないといけないので、本番と同じ2時間連続で試験問題に触れる必要性がでてくるのです。そのため、例えば1回目で間違えた20問を復習したら、正答した問題も含めて200問全てもう一度やり直す方がいいと思います。
「間違えた部分だけでなく正答した部分もくり返し解く」ということを常にやっておけば、本番も楽になります。
僕は間違った問題の復習をした後に、最初からすべての問題を解き直し、時間内に200問全問正解できるかどうか試してみる、という勉強を繰り返しやってきました。
僕は今でも同じ模試を10回でも20回でもやっています。皆さんも、ぜひやってみてください!
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濱崎 潤之輔
「HUMMER」の愛称で知られる、TOEIC界のカリスマ講師。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。大学や企業でTOEICテスト対策研修講師を務める。これまでにTOEIC L&Rテスト990点を60回以上獲得。TOEIC L&Rテスト対策合宿・セミナーなども積極的に行っている。著書に『 マンガで攻略! はじめてのTOEIC(R)テスト 全パート対策 』(西東社)、『 中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本 』(かんき出版)など多数。公式Twitterアカウントはこちら。