イギリス英語と大阪弁を駆使して、枠にとらわれない活動を展開している川合亮平さん が、この夏、イギリスに滞在。現地での最新情報をレポートしてくれます。今回は、ファンにはたまらない、ハリー・ポッター スタジオのレポート!
目次
こんにちは。ロンドンから川合亮平です。
約20年前、たいした英語読解力もないのに、“かっこいいから”という理由だけで、そう、ただそれだけの理由で、ハリー・ポッター第1巻『Harry Potter and the Philosopher’s Stone』の洋書を、大阪地下鉄谷町線の電車の中で、これみよがしに広げて、話題の洋書を公共の場で楽しむインテリ青年を自作自演していたのは、何を隠そうこの私です。
どうしても英語力アップを図りたいんや!
洋書を1冊読破するのは感動もの
あなたはそんな僕のことを「あぁ、残念な青年だな」と思うかもしれない。うん、確かにそうかもしれない。それは潔く認めようではないか。
でも、でもですよ、たとえ動機が至極軽率なものであれ、カッコばかり気にして、肝心の目は同じ行を繰り返し繰り返し追っているだけであれ、“どうしても英語力アップを図りたいんや!”と強く志した青年が、どんな形であれ、洋書を手にとってそれを曲がりなりにも読んでみようとしていた行動自体は、尊いものではないでしょうか。ねぇ、そうでしょお客さん!?

Harry Potter and the Philosopher's Stone - Gryffindor Edition
- 作者: J. K. Rowling
- 出版社/メーカー: Bloomsbury Childrens
- 発売日: 2017/06/01
- メディア: ペーパーバック
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今年の6月に発売された新装版!渋い
今となっては記憶が定かではないのですが、僕が最初に読破した洋書、それは多分『Harry Potter and the Philosopher’ s Stone』、または、僕の心の師であるジャッキー・チェンの自伝『I Am Jackie Chan』なんです。
同時期に読んでいたので、どちらを先に読破したのか忘れたけど、僕のちっぽけな歴史上、世紀の名著としてその名を残す2冊です。ところで、自分が好きで選んだ洋書を初めて1冊読破する、という経験は本当に(誰がなんと言おうと)感動ものですよね。

I Am Jackie Chan: My Life in Action
- 作者: Jackie Chan
- 出版社/メーカー: Ballantine Books
- 発売日: 1998/09/01
- メディア: ハードカバー
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家の中で家族が一番頻繁に出入りする場所に飾りたい表紙です
これぞ、ハリーポッター・マジック!
そして僕にとって、初めて確かな手応えと読書の喜びを感じながら読破した洋書が、ハリーポッターシリーズ3作目の『Harry Potter and the Prisoner of Azkaban』でした。
もちろん、2作目の『Harry Potter and the Chamber of Secrets』もその前に読んでいるんですが、徐々に英語読解力がついてきて、この3作目で初めて、しっかり読んでる感を得られるようになったんですね。
そしてついに、4作目の『Harry Potter and the Goblet of Fire』では、面白過ぎて止まらない、面白過ぎて寝られない、英語で表現すると、“I just couldn’t put the book down.”という状態を経験するに至ります。
実はそれまでの僕は、そういう状態(本が面白過ぎて途中で止められないとか、面白過ぎて寝ずに読んでしまったとか)に対して、至極、懐疑的だったのです。そういうことを人が(何かある種の悟りでも開いたかのように)自慢げに言うたびに、眉に唾をタップリ塗りたくっていたものでした。それが奥さん、どうですか。『Harry Potter and the Goblet of Fire』のクライマックスときたら。「本なんかいつでも止めらるし、読んでても寝たいときに寝れるわい」とかたくなに信じていた僕が、本と指先に瞬間接着剤が付いたかのような状態になったんですからね。これこそがハリーポッター・マジックですよ、正味の話が。

Harry Potter and the Goblet of Fire (Harry Potter 4)
- 作者: J. K. Rowling
- 出版社/メーカー: Bloomsbury Publishing PLC
- 発売日: 2014/09/01
- メディア: ペーパーバック
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ちなみに、僕が読んでた初版の『Harry Potter and the Goblet of Fire』のハードカバー本は、それまでの3冊に比べて「すみません、これは・・・、辞書でしょうか?」とおそるおそる尋ねてしまうくらいインパクトがありました。
「このかさは、大阪地下鉄谷町線でこれみよがしに広げがいあるで」と1人ほくそ笑んだものです。普通のバックパックなら、この本だけでパンパンになるくらいの分厚さですから。
4巻目『Harry Potter and the Goblet of Fire』の厚さがすごい!
J.K.ローリングさんのことが気になってしゃあない
物語を書くことが、面白くて楽しくて仕方がない
当然「ハリー・ポッター」シリーズありきの話にはなるんですが、作者のJ.K.ローリングさんのことがものすごく気になるんですよね(恋なのかしら)。僕の仕事観にすごく影響を与えた人物でもあるのです。
だいぶ前の話になるんですが、彼女のインタビューを読んだか、聴いたかしたんですが、そのときの彼女の言葉がいまだにずっと、その当時のインパクトそのままに残っているんです。詳しい前後関係は忘れましたが、大体の趣旨として「物語を書くことが面白くて、楽しくて仕方ない。こんな楽しい作家という職業を他の人がなぜやろうとしないのか、本当に理解できない」と述べられていたのです。相当「ハッ!」としましたね、この言葉を聞いて。
これが才能の個別性というものであり、天職の定義なんやな、と。以来、この発想は、フリーランスとしての僕の仕事との付き合い方の礎(いしずえ)です。迷ったらここに戻れば大丈夫、的な。
以下、J.K.ローリングさんのめちゃくちゃ初々しいインタビュー動画です。1巻が出版された1997年当時のやつ。
そうそう、実は(ということもないけど)今年2017年は、1巻が出版されてから、20周年のアニバーサリーイヤーにあたるんですよ!知ったはりました?そんなこともあり、イギリスでは(たぶん日本でも?)、新装丁のハリポタ本が新たに発売されたり、大英図書館では大々的なハリポタ展が10月から開催されたり、と何かとハリポタづいてます。
『ENGLISH JOURNAL』10月号はハリー・ポッター特集
お知らせとしては、9月6日(水)発売予定の『ENGLISH JOURNAL』10月号に、“ハリー・ポッターの「解けない魔法」”という特集ページがあるんですが、こちら、僕が4ページ担当させていただきました。ハリポタにゆかりのあるロンドンの2つのアトラクションを現地レポートするとともに、J.K.ローリングさんへの熱い想いもしたためました。自分としては結構良く書けたと思ってます。ぜひ読んでみてくださいね〜。

別冊付録・CD付 ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 2017年 10月号
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2017/09/06
- メディア: 雑誌
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20周年だから、とうことも特にないけどハリーポッター・スタジオに行ってきた
ファンなら泣いてもええんやで
先日、ロンドンから列車で30分ほどのところにある、超人気アトラクション『ワーナー・ブラザーズ・スタジオ・ツアー:メイキング・オブ・ハリー・ポッター』に行ってきました。正式名称が長過ぎていつまでたっても覚えられないです。
こちら、本当に超がつく人気の施設なんですよね。数年前に初めて行ったときは結構すーっと行けたんですが、今はチケットも数ヶ月先まで埋まっている状態。こちらのウェブサイト で予約してくださいね。
まあとにかく、「ハリポタシリーズ」全ての映画が撮られた場所ですからね(僕が行ったときは、『ファンタスティック・ビースト パート2』の撮影まっただ中、ということでした)。臨場感が違いますよ。その場所で、実際のセットとか小道具とか衣装とかに触れたりできるんですから。
「恥ずかしがらんでええ、ファンなら泣いてもええんやで」という感じの場所。一つ一つのセットや小道具が本当に緻密に作られていて、映画を見ただけではわからない、世界観の広さに圧倒されます。
では、中をレポートする前に、20周年ということもあるし、とりあえずハリポタに登場する名物の飲み物、バタービールで乾杯しましょうよ。
いざ、憧れのスタジオへ!
やってきましたスタジオに。J館に入ります。
その隣は、K館です。しゃれてるでしょ?
こちらがエントランス。予約は入場時間ごとに分けられているので、スタジオ内は常に良い感じの人数で見学できます。混雑しすぎることがない、という。
そうそう。階段下のハリーの部屋ね。
ホグワーツ・グレートホール!
「ワーナーブラザーズ・ハリーポッターツアー」、“ツアー”という名前が付いていますが、別にツアーガイドについてまわるわけではなく、中に入ったら自由に動いて見て回る、というシステム。かなり広いです。
グリフィンドールのコモンルーム!と衣装。全体を見て回るのに、所要時間は最低でも3時間はみておいたほうがいいでしょう。ファンなら5〜6時間あっても足りないよ、正味の話が。
“Up!” と言ったらホウキがピョーンと自分の手に上がってくるあのシーンを体験できるコーナー。こういうHands-onのコーナーも充実してます。
正面に見えますのが、Forbidden Forest。こちらは1年ほど前新たに追加されたアトラクション。3年前来たときにはなかったです。
出た!ホグワーツ特急!(もちろん本物)ピカピカに光ってて感激だな〜。実物はすごい迫力。これも2年ほど前に新たに追加されたアトラクション。
列車の中にも入れます。ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人が座った場所だ!僕は個人的にはここがやけに感慨深かった。だって、この列車での一幕って、どのシリーズでも結構記憶に残るシーンとして描かれてるでしょ?
そうそう、このバスね。このシーンも好きやな〜。伸び縮みするバスでロンドンを駆け抜けるシーン。アズカバンの冒頭です。
緻密なメークとか、VFXの裏側を紹介・解説するエリアも充実してますよ。ほんと、ハリポタ映画の裏も表も大開放。ますますファンになってしまうし、クリエイティブ魂が刺激される。
ここも雰囲気抜群。ダイアゴン横丁ね。
そして、クライマックスはこの建物との感動の再会が・・・。
鼻くそ?鼻水?
実物を見ると欲しくなる!?
足を踏み入れると危険!
散財警報発令中のお土産コーナー。
出ました、ワンド(杖)。キャラクター一人一人全部デザインが違って、その種類はどんどん増え続けているという、究極のコレクターズアイテム。ワンドね、欲しくなるんですよ、実物見ると。はっきり言って何の役にも立たないですけどね。でもまあコレクターズアイテムってそういうものか。
ハリポタに登場する数多くの登場人物の中でも、最も「卑劣(ヴォルデモートよりも)」という呼び声が高いキャラ、ドロレス・アンブリッジ(のオモチャ?)! これ何? これは・・・、いらん!
お土産コーナーでは、物語に登場する架空のお菓子の数々も購入できます。その中でもやっぱりインパクトが強いのはこれじゃないでしょうか。日本語訳では確か、「百味ビーンズ」だったでしょうかね、たぶん。
Bogey Flavourってどんな味?
「百味ビーンズ」はジェリー・ビーンズです。美味しい味ももちろんあるんですけど、耳くそ味とか、ゲロ味とか、そういういかにもこどもが喜びそうな味も混じっているのがこのお菓子の魅力。
その味の中に、Bogey Flavourというのもあるんですよね。
Bogey(ボーギー)ってこれまで日常的に普通に使ってたんですが、これ、イギリス英語なんですね。知らなかった。アメリカ英語ではBoogerって言うらしい。
それで、『ハリポタ』の日本語訳は、たぶん、“鼻くそ味”ってなってたはずなんですけどね。これに僕はあえて(おそれおおくも)ちょっと疑問を呈したいな、と。
Bogey(ボーギー)って、実は鼻くそだけじゃなくて、鼻水にも使うんですよね。サラサラの鼻水はRunny noseとか言ったりしますけど、ある程度粘着性がある鼻水はBogey(ボーギー)の守備範囲です。球際に結構余裕を持ってキャッチできるくらい(唐突に野球比喩を挟む甚だ迷惑な手法)。
アメリカ英語のBoogerの守備範囲は知しませんが。
ってことで、問題になってくるのは、作者のJ.K.ローリングさんはどっちをイメージしてたのかな?ということ。
彼女がもし、ちょっと硬めで粘着力のある鼻水をイメージしてたら、日本語訳は、鼻水味が正しいことになりますよね。
本来は鼻水味のところを、鼻くそ味で売り出しているんだとしたら、それは、鼻水さんに対して甚だ失礼なことになりはしないでしょうか?
でも、鼻くそ味であっているのに、今さら僕がここでゴチャゴチャ言っているのだとしたら、それは鼻くそさんに対して失礼ですね。
う〜ん・・・。この決着、どうつけましょうね?
えっ?どうでもいいって?
はい、わかりました。
失礼しました。
川合亮平でした。
またね。ばいなら〜。