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アウンサンスーチー氏はミャンマーの大統領ではない!?【ニュース音声付き】

アウンサンスーチー氏はミャンマーの大統領ではない!?国家顧問ってどんな立場?

世界で起こっている話題のニュースをピックアップ。注目のキーワードから深掘りし、ニュースをひもときます。今回は、アウンサンスーチー国家顧問率いる政権を転覆した、ミャンマーのクーデターに関するニュースです。

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年5月号に掲載した記事を再編集したものです。

ニュースの概要

ミャンマーで2月1日、国軍がアウンサンスーチー国家顧問などの身柄を拘束、クーデターが発生しました。これを受けて6日、国内最大のヤンゴンなど複数の都市で、クーデターに対する抗議デモが始まりました。

この抗議活動は、2007年の僧侶らによる反政府運動「サフラン革命」以来最大の規模で、治安当局の発砲により死者も出ています。ミャンマーは2011年に民政移管を行い、民主化を進めていたところでした。

写真:ロイター

注目Keywords

coup
クーデター

語源は「国家に対する一撃」という意味のフランス語「coup d’etat」です。そのため、英語のcoupも、フランス語同様に語末の「p」を音にせず「クー」と発音します。ミャンマーでは、1948年にイギリスから独立後、1962年や1988年など、これまで何度か軍事クーデターが発生しています。

elected leader
選挙で選ばれた指導者

選挙で選ばれたとはいうものの、アウンサンスーチー氏は議会で選出された大統領(クーデター前のミャンマーの国家元首)ではありませんでした。ミャンマーの憲法では、外国籍の家族を持つ人物は大統領になれないため、すでに亡くなっている夫や2人の息子がイギリス国籍を持つスーチー氏は、要件を満たさないのです。

とはいえ、大統領より権限を持つともいわれる「国家顧問」(State Counsellor)という役職が、2016年にスーチー氏のために新設され、スーチー氏は「事実上の指導者」(de facto leader)だと表現されることも多々ありました。

National League for Democracy
国民民主連盟

スーチー氏が率いる政党で、今回のクーデターが発生するまでミャンマーの与党でした。前回の2016年に続き、2020年11月に行われた総選挙でも国民民主連盟が圧勝したのですが、軍側は不正があったと主張し、今回のクーデターに至りました。

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Tens of thousands rally against Myanmar coup

Reporter: Tens of thousands (1)rallied across Myanmar for a second day on Sunday (February 7) to (2)denounce last week’s coup and demand the release of elected leader Aung San Suu Kyi. The protests are the biggest the country has seen in over a decade.

Crowds filled the streets of Myanmar’s biggest city, (3)Yangon, (4)sporting red shirts, flags and balloons — the color of Suu Kyi’s National League for Democracy party. Many gestured with (5)a three-finger salute, which has become a symbol of protest against the coup.

Protester (voice-over): We have a right to show our disagreement — that we’re against the (6)dictatorships, to prevent (7)inequality, (8)oppressions — (9)in accordance with the democracy. We need to (10)get rid of the fear. I take part in this revolution as I believe that the military dictatorship will fail if we bravely (11)join forces.

Reporter: There was no comment from the (12)junta in the capital, (13)Naypyidaw, some 220 miles north of Yangon. In the southeastern town of (14)Myawaddy, shots were heard as armed police tried to break up a large crowd. It was not immediately clear if there had been any (15)casualties.

On Sunday afternoon, the junta ended a (16)day-long (17)blockade of the internet that had further (18)inflamed anger.

(©Reuters, February 7, 2021)

(1)rally 結集する (2)denounce ~を非難する (3)Yangon ヤンゴン ★ミャンマー最大の都市でかつての首都。 (4)sport ~を(これ見よがしに)身に着ける (5)a three-finger salute ★人さし指、中指、薬指で作るサイン。抗議を意味する。 (6)dictatorship 独裁政権 (7)inequality 不平等 (8)oppression 抑圧 (9)in accordance with ~ ~に従って (10)get rid of ~ ~を取り除く (11)join forces 協力する (12)junta (クーデター直後の)暫定政府 (13)Naypyidaw ネピドー ★ミャンマーの首都。 (14)Myawaddy ミャワディ ★ミャンマーの都市。 (15)casualty 死傷者 (16)day-long 一日中続く (17)blockade 遮断 (18)inflame ~を刺激する (19)United Nations special rapporteur 国連特別報告者 ★人権状況について調査・報告などを行う専門家。 (20)takeover 権力の掌握 (21)halt ~を中止させる (22)draw ~を引き起こす (23)outrage 激しい怒り

松丸さとみ

松丸さとみフリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に『限界を乗り超える最強の心身』( CCC メディアハウス)、『 FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』(サンマーク出版)などがある。
Blog:https://sat-mat.blogspot.jp/
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